嵐と忘れられた歌
リバートンに夜が重くのしかかった。
日没以来、空は暗くなり、宿屋の時計が10時を告げると、遠くで最初の雷鳴が太鼓のように響き渡った。
雨は静かに降り始め、やがて激しい雨となり、瓦屋根や窓を叩きつけた。まるで侵入しようとしているかのようだった。
私はベッドにいて、ランプの明かりは消え、白い閃光が部屋を照らす天井を見つめていた。
エララは私の隣の簡易ベッドで眠っていたが、ひときわ大きな雷鳴が壁を揺らした時、彼女が身動きするのを耳にした。
彼女は音もなく起き上がった。
彼女はメイド服を着たまま(帽子だけ脱いでいた)、静かな足取りで私のベッドに近づいてきた。
稲妻が彼女を照らした。茶色の髪が波打つように流れ、怯えたように大きく見開かれた青い目、胸の前で両手を組んでいた。
「レディ・ムーン…」彼女は震える声で囁いた。「雷…怖い…」催眠術ではなかった。
もしかしたらそうだったのかもしれない。だが、恐怖は現実のものだった。
洗脳では、未知への恐怖という人間の本能は消えない。
そしてその瞬間、エララはかつてないほど人間らしく感じられた。
私は一言も発せずにシーツをめくった。
「おいで」と優しく言った。
彼女はすぐに私の隣のベッドに上がり込み、怯えた小動物のように私に寄り添った。
彼女の体は暖かく柔らかく、雷鳴のたびにわずかに震えていた。
私は彼女に腕を回した。
彼女は私の胸に頭を預け、私の心臓の鼓動に耳を澄ませていた。
再び稲妻が部屋を照らし、続いて窓を揺らすほどの雷鳴が響いた。
エララはさらに身を寄せた。
「レディ…」と彼女は呟いた。
一人にしないで…
私は彼女の茶色の髪をゆっくりと撫で、柔らかなウェーブに指を通し、空気の湿気で湿った束を絡ませた。
「シーッ…」私は囁いた。
私はここにいる。
あなたを離さない。
彼女は目を閉じ、息を荒くした。
深く考えずに、私は歌い始めた。
優しく。
ほとんど囁くように。
それは、私が幼い頃、雷が同じように怖かった日本で、母がよく歌ってくれた歌だった。
何年も忘れていた、日本語のシンプルな子守唄…しかし、あの苦しみと孤独は、記憶の片隅にしまい込まれていた。
「ねんねんころりよ おころりよ
ぼうやはよい子だ ねんねしな
外の風は冷たいよ
お母さんが守ってあげるから…」
ゆっくりと歌った。最初は低く震える声だったが、だんだん温かくなっていった。
指は彼女の髪を撫で続け、首筋を滑り降り、背中に柔らかな円を描いた。
エララは少しずつリラックスした。
呼吸が落ち着いた。
震えが消えた。
まるで私の温もりに溶け込みたいかのように、彼女は私に寄り添ってきた。
歌い終えると、次の雷鳴は遠く、ほとんど柔らかな音のように聞こえた。
エララはかすかに頭を上げ、暗闇の中で瞳が輝いていた。
「奥様…」と彼女は囁いた。「あの歌は…美しい。
私を…安心させてくれる。
まるで怖かったことがなかったかのように。」
私は彼女を見た。
「母の歌です」と私は言った。声はほとんど聞こえなかった。 「子供の頃…嵐が怖かった時…母は私にそう歌ってくれたの。
母は私を抱きしめてくれた。
母は私に、何も悪いことは起こらないと思わせてくれたの。」エララは微笑んだ。小さく、心からの笑み(洗脳された彼女の心が許す限りの心からの笑み)。
「今は私があなたを抱きしめているの」と彼女は囁いた。
「そして、あなたも私を抱きしめている。
もう二度と怖くない…あなたがここにいるから。」
私は彼女の頬を撫でた。
「そして…もう二度と一人ぼっちにはならない」と私は答えた。声に出していることにほとんど気づかなかった。
再び雷鳴が轟いたが、今度は震えはなかった。
母はただ寄り添ってきた。
私たちはそのままだった。私は彼女の髪を撫で、母は私の胸に頭を乗せ、私の心臓の鼓動に耳を澄ませていた。
雨が窓を叩きつけた。
時折、部屋の向こうで稲妻が走った。
この世に生まれて初めて…
憎しみを感じなかった。
ただ、私の心の中に、奇妙で危険な温かさが芽生えていた。
エララは私のものだった。
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