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「結局結構もらっちゃったな」
「あんなこともあったし気を使ったのね」
あの後本当に最低限必要なものだけもらっていこうとしていた俺たちだったが、マロンにあれもこれもと渡されているうちにかなりの量の商品をタダでもらうことになってしまった。
当初の目的だった俺の防具、というか服も新調できた。魔力の通った素材でできた服はこちらの力を高め、当然ただの布より丈夫なようだった。
「【宵闇の棺】のおかげで助かったな」
レイとエースが持ちたそうにしてたけど。
「お前らはもう荷物持ちじゃないとこで活躍してもらわないといけないからな」
『キュウオオオン』
『グモォオオオオ』
それぞれ撫でながらそう告げるとやる気を出してくれたようだったので良かったとしよう。
こいつらのおやつになりそうなものも買えたし後であげよう。
「それにしても、ここは栄えてるわね」
「そうだな」
ミッドガルド商会の本店やフェイドたちが使っていた店のように建物を持つような店よりも、露天を出して賑わうところが多く見られていた。
「おっ。可愛いお嬢ちゃん、どうだい? これは王都で人気のりんご飴ってやつだが」
「あまーい! なにこれ美味しいじゃない。十本もらうわ」
「ま、毎度……」
言い終わる前に食いついたうえ、持ちきれない量のりんご飴を買い込むミルムの食い意地に若干露天のおっさんも引いてる始末だった。
「人間も捨てたもんじゃないわね!」
「そんな理由で……」
半ば呆れながらも商店街となった露天を歩き続ける。
ミルムはやはり目立つだけの容姿をしているようで色んなところで声をかけられていた。
当然ながら商売人である彼らはおだてにおだて声をかけるわけだから……。
「ふぁによ!」
【宵闇の棺】にも入れず両手いっぱいに大量の食べ物を大事そうに抱え、食べ物を頬張るミルムがいた。
「いや……どれだけ入るんだ?」
「あら? 言ってなかったかしら」
ミルムが一度食べるのをやめてこちらをみた。
「私は精霊体に近いのよ。食べなくても死なないわ」
「え……」
それでこんなに食ってたのか……?
「何か失礼なことを考える顔をしてるわね……あなたの【食事強化】に近いスキルよ」
「【食事強化】……ああ」
食った分が栄養じゃなく別のものに変換されてるのか。
「【魔力変換】。エネルギーになるものを取り込むことで私の魔力にするスキルね」
「すごいスキルだな……」
その話だとおそらく食べ物じゃなくてもいいってことだ。かなり便利そうだな。
それにしても……こうして声をかけられるたび相手をするミルムを見て一つ思ったことがある。
「最近あんまり人間相手の抵抗がなくなってるよな」
「それは……その……」
突然顔を赤らめて向こうを向くミルム。
「あなたが……いるからよ……」
「えっと……」
ぼそっとつぶやかれたその言葉に、返す言葉が見つからなかった。
なんとなく居心地がいいような悪いような、複雑な空気のまま賑わう商店街を二人並んで歩き続けた。
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感想返せてませんがとても嬉しいですいつもありがとうございます
次回から元パーティー視点に入ろうと思います
よろしくおねがいします
今日はこちらも更新します
https://book1.adouzi.eu.org/n3007fs/
テイマーの限界を超えたみたいなので女の子をテイムして最強パーティーをつくります 〜俺にテイムされると強くなるらしくSランクの獣人も伝説の聖女もエルフの女王も最強の龍王も自分からテイムされにくる〜




