061
俺の報告に頭を抱えたギレンが、怒りを押し殺して確認する。
「いずれにしても、ドラゴンゾンビの復活を企んだやつがいるってことには違いねぇわけだ……」
管轄の範囲での大事件。
大きな被害は幸いなことにミルムのおかげで出なかったとはいえ、事をしでかした人間がどこに所属していたかがわかれば、その所属団体ごと問題になることは明らかだった。
逆に言えばこの状況、俺が今言った事実が広まるだけでもあらぬ憶測を元に問題に発展する可能性がある。
「だから、これを持ってきた」
持ち帰った大きな荷物を取り出す。
「【宵闇の棺】」
「おお?! いつの間にか便利なもん使えるようになりやがって」
取り出したのは瘴気の流れをコントロールしていたあの装置だ。
ミルムの力を持っても自力で流れは作れないと言っていた。
だとすれば今回の黒幕も、この装置には何かしらの痕跡を残している可能性が高い。これは俺だけでなくミルムも同意の上だったので間違いないと言ってもいいだろう。
残念ながらミルムでは解析ができなかったが、ギレンなら伝手をたどって可能なはずだ。
「まさかこれを持ち帰れるやつがいるとは、やったやつも思わんかっただろうな……」
「まあ、普通に運ぶのはしんどいだろうな」
装置は大きさこそギルドの卓と同じようなものだが、重さがおかしいのだ。
【怪力】で有名なミノタウロスであるエースがちょっとしんどそうにするレベルだからな。
「だがこいつがありゃ、特定はできるな」
「良かった」
「ああ。誰かわからん状態でそわそわするよりずっと良い。良いだろう。こいつは俺が預かろう」
「よろしく頼む」
「さて……主役をこれ以上引き止めてちゃ悪いな。報酬やら報告はまた明日だ。今日はもうちょい、飲んでこい!」
「そうするよ」
ギレンに送り出されるように席を立つと、すぐに見ず知らずの冒険者たちが声をかけてきた。
「いつの間にそんな強くなったんだ!? いや元々Sランクパーティーだったわけだから俺らなんかよりつええのは知ってたけど」
「嘘つけてめえ。今までランドはフェイドのおまけだとか言ってやがっただろうが!?」
「ばかやろー! 今ここでいうやつがあるか!?」
完全に出来上がったおっさんたちだった。
まあ、俺の評価についてはもはやギルド内では悪い意味で定着してたし、別に気にしてないんだからいいんだけどな。
「そんなことよりどこであんな可愛い子見つけたんだよ!?」
「そうよ!? パーティー組むなら私だってお願いしたいのに!」
「待てよ? 二人しかいねえなら俺たちも……」
「馬鹿野郎ドラゴンゾンビに勝てる奴らについていけんのかよ?」
男女問わず次々に声をかけられる。しかもこんな、好意的に。
フェイドたちと組んでいたときには考えられなかったことだ……。
そう考えるとなんというか、感慨深いものがあった。
ミルムの方もそうみたいだ。
楽しそうに話をしているミルムと目が合うと、満面の笑みをこちらに向けてくれていた。
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次回から元パーティー視点が3〜4話入ります
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復讐のネクロマンサー 〜使い魔を勇者に殺された俺は、殺した魔物の数だけ強くなるスキル【ネクロマンス】に目覚めて無双する〜




