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「まあでも、一応対策はしてるのね」
ミルムが指し示したのは神官が置いた魔道具だ。
「あれが一応瘴気の流れを作って、あえてこの辺りの弱い生き物や魔物の死体に与えているわね」
「それ、アンデッドが大量生産されないか……?」
「アンデッドになれるのはある程度元々の個体としての保有魔力や強さが必要だから。あれならただ吸った瘴気に自分ごと溶かされて終わるわね」
「なるほど」
賢いな……。
ただそれなら……。
「どうしていま瘴気が溢れているのか、よね。まあこれについては例のドラゴンの保有魔力がなくなりかけてるから、っていうことになるわ」
「なくなりかけてるのに増えたのか?」
「ろうそくは最後に火を強める。瘴気もそういうもの」
「じゃあほっとけばこの地は問題ないか……」
「放っておけば、ね。一歩間違えればこの瘴気を集めたドラゴンがアンデッドになる微妙なバランスで成り立っているけれど」
ミルムを連れてきてよかったな。
俺だけだと状況の報告しかできなかったが……。
「俺たちにできる手立てはあるか?」
「そうね……手っ取り早いのは瘴気をドラゴンに寄せて復活した瞬間叩くことね」
「却下だ」
「そういうと思ったわ……」
そうさせないために来てるのに手を加えたら本末転倒だ。
「というか、瘴気をドラゴンに寄せるとか、できるのか」
「あら? 興味が湧いたかしら?」
「違うわ」
「ふふ。まあ私も一人じゃどうかわからないけど、あの魔道具を使えばできるわね」
ああ……。
なるほど。もともと瘴気を流すための魔道具があるならドラゴンに向ければそれで……。
「ま、それ以外ってなるともう、この瘴気をちょっと払うなりもらうなりして減らして、あとはドラゴンの状況確認。そしてドラゴン以外の依代の排除ね」
「ドラゴン以外、か」
「万が一こんなところで賢者でものたれ死んでたらリッチが生まれるわよ」
恐ろしいな……。
「まあじゃあ、改めて調査だな」
「ええ。ちなみに瘴気は宵闇の魔力と同じよ。貴方でも慣れればコントロールできるわ」
「そうなのか」
「ええ」
そう言うと目の前に手をかざし振り払う素振りをするミルム。
それだけで瘴気が左右に分かれて道を開けた。
「すごいな……」
「減らしたり全体の流れを変えるのはともかく、このくらいはすぐね」
「だと良いが……」
ミルムについていくように瘴気がなくなった道を進んでいった。
身に余るポイントとランキングありがとうございます
そろそろ一日一話になると思いますが今日は投稿します!
いつもブクマ感想評価レビュー等ありがとうございます!
書籍化決まってる別の作品も本日更新です
テイマーもの繋がりということでよかったらぜひ
https://book1.adouzi.eu.org/n3007fs/
テイマーの限界を超えたみたいなので女の子をテイムして最強パーティーをつくります 〜俺にテイムされると強くなるらしくSランクの獣人も伝説の聖女もエルフの女王も最強の龍王も自分からテイムされにくる〜




