029
「これが……?」
ミルムの見せてくれたスキルについて改めて説明を求めた。
「黒の霧、文字通り霧を発生させたり、自身を霧化する能力ね」
「すごいな……」
霧化できるとなるともう、物理攻撃はほとんど効かないことになるはずだ。
「そして夜の王。自身の魔力を元に使い魔を生成する能力ね」
「生成……?」
「そう。他にも色々便利な使い方はあるけれど、基本的にはそのために使っているわ。あ、さっき腕を治したのもこれよ」
「そうなのか!?」
とんでもないスキルだな!?
「ふふん。いい気分ね。久しぶりに強くなれたわ」
「そりゃよかった」
「で、このあとどうするのかしら? 一緒に魔物を統べる王になるのかしら?」
なんだそれ。冒険者辞めて魔王に……いや確かになれそうなスキルなんだけどな……。
無視することにした。
「ミルムが良ければだが、一緒に冒険者をやらないか?」
「いいわよ! 面白そうじゃない」
良かった。
仲間になるとは言ったがその上でこちらに合わせてくれるかはわかっていなかったが、どうやら気に入ってもらえたらしい。
「じゃあ、ギルドまで戻るか……あぁ、人間が多い場所は……」
「いいわよ。貴方がいるなら」
「そうか……」
随分心を許してくれたものだなと思った。
これもテイムとネクロマンスの影響だろうか……?
「ランドだ」
「え?」
「名前。教えてなかっただろ?」
「ランド……ランドね! いい名前じゃない!」
妙にテンションの高いミルムとともにギルドへ帰ることになった。
◇
「あ、待てよ」
「どうしたのかしら?」
「なんかこいつらが行きたいとこがあるって言ってた気がしてな」
そもそもレイとエースに引っ張られてああなったんだった。
『キュオオオン』
「可愛いわね、この子たち」
撫でられて尻尾を振るレイとミルム。確かに可愛い。
「行きたかったのはミルムのところだったってことか?」
『グモォオオオ』
「なるほど……」
「ちょっと! なんて言ってるか私にはわからないわよ!?」
「ああ。えっと……これ、加工できるか?」
【死霊の棺】からレイとエースの身体を取り出す。
エースが言った内容は、自分たちの骸をミルムに渡せというものだった。
「今の、宵闇の棺かしら?」
「いや、死霊の棺ってやつだ」
「多分宵闇のほうが便利よ? 使ってみたら?」
そんな簡単に言われても……と思っていたらあの声が響いた。
──宵闇の棺を取得しました
まじか。
「これで手持ちの荷物は全部持たなくていいわけ」
「おおっ……!」
『グモォ』
荷物持ちをさせられていたエースが吠える。
仕事をとられたという不安そうな声と表情だった。
「安心しろ。お前はこれからも頼りにしてるから」
『グモォオオオ!』
やる気になってくれたらしい。
見た目はイカツイが割と単純で可愛いところがあるやつだった。
2回目!
よろしくお願いしますー!




