193 状況整理
「あの神竜を……まさか本当に……」
「あと二体いるけどね」
「お話を聞く限りもはや時間の問題なのではと思ってしまいますね……」
「次はアイルも行くか?」
「え……」
固まるアイル。
実力としてはもう並のSランクには勝てるくらいの強さだと思うんだけどな。あとは実戦経験を積んで自信が持てるかどうかだろう。
かくいう俺も常にミルムのそばにいるから言うほど自信があるわけではないんだけど……。
そんな話をしているとロバートが率いるメイドが二人、姿を現した。
『主人様。報告させていただいても?』
「もちろん」
メイドから情報を聞いたロバートから改めて報告内容が伝えられる。
メイドたちから得られた情報は二つだった。
一つ目は頼んでいたセシルム卿への連絡だ。
『セシルム辺境伯、ギルドマスターギレン、ミッドガルド商会会長マロン、お三方に当たりましたがわかったことは敵勢力が用意できそうなSランク冒険者は3名程度だろうということ。そしてこちら側に戦力としての補強は望めないことでした』
「3名か……」
こっちの戦力が増えないことはわかっている。
ギレンの管轄にこの戦争に巻き込めるような実力者はいない。フェイドたちが筆頭パーティーだったんだからな……。
セシルム卿の私兵団も一番強いアイルがすでにいるわけだ。
そしてそもそもマロンさんはそれらを雇う側であって自分の兵など持たない。いや強いて言えば俺たちがその役割を担っているか……。
「ミレオロ、メイル、クエラに、Sランク3人……。数で負けることはないにしても、騎士団の他にも戦力は揃えてくるだろうなあ」
「良いじゃない。そっちは任せても」
「まあ……」
アイルとロバートならSランク相当のイレギュラーが来ない限り騎士団と他の冒険者程度は対処仕切るだろう。
「できればSランクの一人か二人くらい、引きつけてくれると楽かしら?」
アイルに向けてミルムがそう言う。
「引きつけられるでしょうか?」
その言葉に俺とロバートは内心驚いた。
つまりこれは……。
「引きつけられれば任せられるということね」
アイルが静かにうなずき、ミルムが満足そうに笑った。
「いいわ。そこまではお膳立てしてあげる」
『有象無象は我々におまかせくださいませ』
これでミレオロ、クエラ、メイル、あと二人……。
「ミルム、俺、レイ、エース、アールでちょうど、か?」
ベリモラスは数に数えられないだろうしな。
「Sランクでどんなのが出てくるかわからないけれど、そっちの二人は私がなんとかするわ」
「おお……いや、待て?」
「貴方は従魔を率いて万全の体制でぶつかればいいじゃない」
俺が、ミレオロたちを引き受けるってことか……。
「これはベリモラスに交渉しておいたほうが良いかもな……」
ミルムは相変わらず不敵に笑うだけだった。
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宮廷テイマー、コストカットで追放されて自由を得たので未開拓領域に使い魔の楽園を作ることにする~竜も馬も言うことを聞かなくなったから帰って来いと今更言われても……もうエルフと同盟を結んだので……~




