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追放されたお荷物テイマー、世界唯一のネクロマンサーに覚醒する 〜ありあまるその力で自由を謳歌していたらいつの間にか最強に〜  作者: すかいふぁーむ
領地開拓……?

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189 領地視察⑥

「おお、ここが……」

『ええ。どうぞ中に。ですが周囲のものに触れぬようお気をつけください』

「もちろんです」


 アイルとロバートの案内で騎士団員たちがセラの工房にたどり着く。

 工房、とは言ったがその規模はもはや……。


「工場か? これは……」

「王都の施設よりでかい……」

「いや、お前らそうじゃねえだろ……なんで工房の中からこんなバケモンの気配が漂ってくんだよ⁉」


 ビンド、ジル、ヴェイがそれぞれ驚きを口に出す。

 ヴェイの言葉にベリウスとガルムは一瞬焦りを覚えたが、気にする様子もなくアイルがこう答えた。


「中の職人は気難しいのでくれぐれも……」

「ええ。わかっております。良いな? 特にヴェイ……」

「……わーったよ」


 落ち着いた声で制止したベリウスだが、ここに来てコントロールしきれないヴェイを連れてきたことを若干後悔し始めていた。

 この戦力で目の前の老人とはやりあいたくない。

 となった以上、ここに戦力を持ってきていることは悪手と言える。

 何事もなく視察が終わることを願いながら工房に足を踏み入れた。


「これは……!」


 先頭を切って室内に入ったベリウスの目に飛び込んできたのは、にわかには信じがたい光景だった。


「なんだこりゃ……」


 ヴェイも思わず呆ける理由は工房、いや工場の設備にあった。

 セラの作ったゴーレムと街から集められた職人のゴーストたちによって、セラの工房を中心に大規模な自動レーンが備え付けられ、絶え間なくあらゆる素材や加工された武具が流されている。

 ハイエルフの血を引くセラの無尽蔵な魔力が動力源となって、大陸でも類を見ない大規模工場が完成していたのだ。


「ロバート、いつの間に……?」

『報告だけはあがっておりましたがここまでとは……』


 これに驚いたのは騎士団員たちだけではなかった。

 だがそれを顔に出すわけにもいかず、ひとまずどこまで様子が変わったかを観察することに徹する。


 まず目に入るのは、セラのもとに素材が流されていき、セラが作った武具をゴーレムたちが受け取って適切な保管場所に流していく中央工房。

 その周囲には見習いとしてセラを模倣したり新たな武具を制作する職人たちの作業スペースが隣接されている。

 そしてセラの作った武具のうち汎用性の高いものを選んで量産するゴーレムや職人による生産工場としてラインが張り巡らされているというのが工場の全貌だった。


「ここまでの生産拠点があるとは……」


 ようやく我に返ったベリウスがアイルたちに声をかける。


「ここはミッドガルド商会の工場でもありますから」

「ミッドガルド⁉ あの大商会とすでにお付き合いが……?」


 話が違うとベリウスは内心舌打ちをした。

 背後にいるのはせいぜい辺境伯程度、ミッドガルドとの付き合いもそれとなしには情報に入っていたが生産拠点を領地内に置くほどだとは聞いていなかった。

 いや、それがわかったのがこの視察の収穫なのだが、もはや戦うことが既定路線のベリウスにとっては目をつむりたくなる情報が増えたことになる。


「ですのでお見せするのは特別です。この件やここで見た武具のことは他言無用でお願いいたします」

「それはもちろん……」


 警戒心もなくこんな重要なことを公開したアイルにベリウスは感謝していた。

 そこまで計算のうちだとは思いもよらないのだろう。最初から小娘と侮っている相手だから。


「では、あまり長居も職人にご迷惑でしょうし──」


 必要な情報は得た。

 あとは帰るだけとベリウスが判断したその瞬間だった。


「おっ、良いもん作ってんじゃねえか」

「ヴェイ⁉」


 あろうことかヴェイが中央工房のセラに声をかけにいったのだ。



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― 新着の感想 ―
[一言] あちゃー 仕事中に邪魔をするなんて……死んだな
[一言] オイオイ、あいつ死んだわ
[良い点] ヴェイ死んだわ…
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