182 ギルドマスターの失態①
「ほぉ……のこのこ現れたか」
「あら。ギルドマスター直々にお出迎えなんて……暇なのね」
「貴様……」
王都ギルド。
ギルドマスターカイエンは待ち構えるように入口付近に突っ立っていた。
ミルムの言う通り暇だったのか……いや前回の雰囲気を考えるとギルド職員のいる空間に居場所がない可能性も否定しきれなかった。
「依頼からたったこれだけでやってきたということは音を上げて帰ってきたということだろう? Sランク冒険者が聞いて呆れるなぁ? やはりその不相応なランクは返納してもらわねばならんか? んー?」
「確認だが」
「ん?」
いちいち取り合っているときりがないから本題に入ろう。
「この依頼、本当に持ってくる竜のランクや状態によって報酬は支払われるんだな?」
「何を今更? それが言い訳のつもりかね?」
「良いから質問に答えてくれ」
「ちっ……ああそうだ。この依頼に上限はない。依頼者と私の信頼関係で成り立っておるからな。万が一貴様らが依頼者の想定を超えるようなものを連れてこれたとしても、王都ギルドが払い切るのだ。だからそのような言い訳……」
「そうか。それを聞いて安心した。納品したい。室内だと建物が壊れると思うから外のほうが良いと思うけどどうする?」
「は……?」
口を開けたまま役に立たなそうなカイエン。
見るに見かねて奥からギルド職員たちが出てきてくれていた。
◇
「ふん。出任せも大概にしろ! 外でしか見せられぬようなサイズの竜など……」
「ではランド様、こちらに」
「ああ、ありがと」
「貴様ら……この私を……」
「あああんた、そこは危ないぞ?」
「へ?」
【宵闇の棺】から神竜、ベリモラスの骸を取り出した。
──ドシン
「ひっ……」
「だから危ないって言っただろう」
「きさ……貴様……」
カイエンは腰を抜かして立てなくなっていたが手を貸すものは誰もいなかった。
「さて、鑑定額はどうなる?」
「えっ? いや……これ……一体何を持ってきたんですか⁉」
「竜よ。見てわかるでしょう? 貴方達もよく知る竜よ」
「いえ……こんなサイズの竜なんて神話の中でしか……いえ、まさか……⁉」
「大地の覇者ベリモラス、といったらわかるかしら」
「ええぇえええええええ」
ギルド職員たちの叫びが轟く。
騒ぎを聞きつけた冒険者たちも集まってきていた。
昨日更新できてなかったようで……




