165 王都ギルド②
「いらっしゃいませ。王都ギルドははじめてですか?」
「そうだな」
「かしこまりました。ではまず皆さんのギルドカードをご提示下さい」
それぞれギルドカードを差し出した。
俺とミルムは暫定Aランク。
そしてアイルも辺境伯騎士団時代にBランクにしている。
「これは……かなり上位の……って、Sランクパーティー!?」
受付嬢の声に周囲がざわめいた。
「フェンリルがいないから気づかなかった! そうかSランクのテイマーパーティーがいるって聞いたことあるぞ」
「テイマー? いやテイマーの割に全員明らかにオーラが違うだろ」
「だから異常なんだって! 噂じゃ単体でSランク認定ももらってるらしいぞ」
ことの発端となってしまった受付嬢が申し訳無さそうにしている。
でもまあ、来た目的を考えれば目立つのは悪いことではないか……。
「気にしないで良い。それよりここで受けられる一番難易度の高いものを出してほしい」
「すみません……ありがとうございます。かしこまりました、少々お待ちを……って、ギルドマスター?!」
受付嬢が立ち上がったところで、後ろから小柄な老人が現れた。
「何の騒ぎかと思えば……」
表情から察するに、あまり歓迎はされていない様子だ。
だがこちらは冒険者ギルドには貸しがある。王都ギルドがどう考えているかはわからないが……。
「誰かと思えば田舎のトラブルメーカー御一行か……田舎でおとなしくしておれば良いものを……」
どうやらこの爺さんはあまり俺たちをよく思っていないらしい。
とはいえ本来であればこちらが頭を下げられても良い状態だ。Sランク認定したパーティーの失態、逃亡、その尻拭いを全て任されたような格好だ。
さらに言えば現在進行系で事態は動いている。
ミレオロへの対応を考えれば王都ギルドと俺達は連携するべきかと思っていたが……。
「ここはお前らのような田舎者が来る場所ではないぞ? 王都はレベルが高いのだ。ほれ、お前の求めた高難度クエストだぞ? どうだ? このレベルでは全く対応できんだろう?」
いやらしく笑いながら一枚の依頼書をこちらに向けるギルドマスター。
内容を確認する。
「納品依頼?」
「そうだ。それだけ相手のランクが高いのだ」
上位のクエストで納品だけを求められることは珍しい。
通常上位の冒険者に求められる働きは危険度の高い魔物の討伐や高難度の地域への調査がメインになる。
極端な話、納品依頼は各地を転々とする商人でも対応できるからな。
依頼内容を見ていたミルムが口を開いた。
気づけば発売2日前!
Twitterに特典SS情報まとめてあります!
9店舗あるのでぜひよろしくお願いしますー!




