157 王都へ
「じゃあ、留守は任せる」
『ええ。いってらっしゃいませ』
ダンジョンの攻略も終わり、マロンからの物資も無事届いた。
すでに四つのダンジョンは周回コースとして稼働を始めており、毎日潤沢な資源がセラの工房に運び込まれていた。
領地開拓の部分では一段落と言えるだろう。
アンデッドしかいない街ではあるが、自我のあるアンデッドも見られるようになっており、そういった種はマロンの運び込んだ物資によって人間と変わらない生活ができるように見た目をいじれるようにしておいた。
そういった者たちに街の施設の管理を任せたので、ダンジョンの周囲の街は一見すればちらほらながら人が動いているように見える状態になった。
「これでいつでも人は受け入れられるわけだ」
「まあ、いてもいなくてもいい状態にはなったわね」
「本当にありがとうございます……しっかり棲み分けもできていますし、これなら混乱もほとんどなく領地が活気づく未来もそう遠くないように思います」
自我がほとんどないゴーストやゾンビのような種はダンジョン周回の他、各地の農地開拓にあたってもらっていた。要するに裏方。
アイルが言ったようにアンデッドらしいアンデッドはもう街にはおらず、ロバートとその直属のメイド部隊の管理によって規則正しく生活を送っているらしかった。
「で、王都には何をしに行くのかしら?」
「さあ? セシルム卿に呼ばれただけだからな……」
セシルム卿は辺境伯領を離れ、王都にいるとのことだった。
魔術協会に対する牽制や、王都騎士団との話し合いで出向いたんだろうけど……。
「なぜ私まで呼ばれたのかは気になりますね……」
「うまくことが運んでいるなら私達は必要ないのだから、まあなにか面倒なことになっているんでしょうね」
ミルムの言う通り、まあスムーズにことが運んでいない雰囲気だけは手紙から察することはできていた。
「もしかするとランドさんの爵位が伯爵位以上になるから王城に呼ばれている……とかでは?」
「だとしたらセシルム卿からしか手紙が来てないことが不自然だな……」
「どのみち行かないとわからないのだからさっさと行けばいいじゃない」
「それもそうだな」
アイルの慰めはありがたいがいまここで話していても仕方ないのは事実だ。
「じゃあ、頼むぞ」
『きゅるー!』
アールを喚び出すと嬉しそうに鳴いて甘えてきた。
アールに任せれば王都も一瞬だろう。
領地のことはロバートに任せ、俺たちは王都に向かうことになった。
国の名前とか街の名前とか全然考えなかったんですが出してましたっけ……?
ないよね? とりあえずそろそろ不便なので適当につけてだそう




