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「このフロアの秘密を探ってくれ!」
ロバートとは違って意思の疎通が言葉で図れるほどには安定していないが、こちらの指示はつたわるようですうっとゴーレムたちの身体を透過してダンジョンの探索に進みだした。
「便利だな」
「しっかり対応しないと、貴重な領民を失うわよ」
俺がすっかり油断していたところで、ゴーストの一体に向けてゴーレムが光線のようなものを放った。
「助かった」
ミルムが間一髪、【夜の王】でゴーストを守ったことで無傷だったが、あれだけのエネルギーを浴びればゴーストは消えていただろう。
「アイル、レイ、エース、それぞれ一体ずつ守れるか?」
「おまかせを」
『キュオオオオオン』
『グモォオオオオオ』
三体のゴーストにマンツーマンで守備にあたってもらう。
その間に俺たちは……。
「やれるだけやりましょう。久しぶりに羽を伸ばせるわね」
何も言わずとも理解したミルムが戦闘モード特有の金色の瞳を輝かせた。
文字通り普段は隠している羽を広げ、ミルムも広くなった戦場で暴れ始めた。
……というかさっきまでのは本気じゃなかったのか。
「すごいな……っと、俺もやるか」
【黒の翼】と【黒の霧】を発動させ、俺も戦闘モードを取る。
【夜の王】を駆使してなるべく多くのゴーレムたちを引きつけて破壊。再生したらまたすぐに破壊を繰り返した。
ちなみにミルムは俺が一体のゴーレムを倒す間に五体は粉々にしていた。
なんか楽しそうだな……。ストレス発散のために攻略後もここを使うのはありかもしれないと思い始めていた。
◇
「なるほど。ゴーレムに種類があるのね」
「で、三体で一組、そいつらを順番通り倒せば再生しないわけか」
よく見れば三体一組が十セットで合計三十のゴーレムが再生を繰り返しているだけだった。
たまたま順番通り壊れたらしい二組のゴーレムがすでに再生しなくなっているので残りは二十四体。
「仕掛けがわかればあっさりね」
「そうだな」
ゴーレムの頭頂部に記された文字が順番を現していたらしい。
確認しながら次々粉砕していく。
だがそんな様子を見たアイルから出た言葉は……。
「お二人がおかしいだけで普通は仕掛けがわかってもこんな数相手にできませんからね!?」
とのことだった。




