014 発言
「お前らのせいでレイが死んだんだ。その結果、たまたまこうなっただけだ」
「ふざけんな! んな意味のわかんねえことが通ると──」
なおも続けるロイグを黙らせたのはレイだった。
『キュウアアアアアアアアアアアアア』
「うおっ!? な……なんだよ……やろうってのか! くそが! ああっ!?」
レイの咆哮はロイグの身体をビリビリと震わせる。
ミノタウロス五体を圧倒する存在となったレイ。その本気の咆哮が響き渡ったのだ。
ギルドは軽い騒ぎになっていた。
「ひっ……」
「おいおい……ランドが連れてた犬だろうあれ……あんなに強かったのか!?」
「そりゃそうだろ! ランドはあいつらに混ざってるからああ見えてただけだ! Sランクパーティーだぞ!?」
「にしたってあれ……ロイグが動かなくなってんぞ?!」
どうやら咆哮だけでも感じとる部分があったらしい。
そしてみんなの注目はレイからロイグへと移った。
「ロイグが吠えられただけで手も足も出てねえじゃねえか」
「ちょっとびびったがまぁ、あいつ相手ならな……」
「むしろちょっといいザマだ」
「おいおい、聞こえんぞ」
「ははは」
当然ロイグの耳にも声は届いただろう。
顔を真っ赤にさせていたが、それでもレイに睨まれて動けなくなっていた。
『…………』
「ぐっ……」
なけなしの気力で威嚇するロイグを無言の圧力で制するレイ。
精霊体になったレイはもはやこれまでとは別物と言って良い隔絶した力を持つ。
その圧を直接受けているんだ。身体を震わせて黙り込むしかなくなったのもまぁ、わかるといえばわかる状況だった。
「だがランド……ロイグの今の発言は一理あるぞ」
「ん?」
フェイドは半ばヤケクソになっているような、投げやりな声で呼びかけてくる。
「こんなことができるのに黙っていたなら俺もギルドへ訴えかけることもできる」
「訴えかける……?」
「そうだ。しっかりと話をしなかったせいでパーティーを危険に晒したんだ。当然……」
「フェイド……自分で何を言ってるかわかってるか?」
「何を……あ……」
相当気が動転しているようだった。
「しっかり話をしなかったせいでパーティーを危険に晒した」
このセリフはそのまま、リーダーであるフェイドにのしかかるものだった。
「なるほど……一度ランドさんの話を聞いた上で処分を決めましょう」
「待て! 俺たちの話はどうするんだ?!」
「あなた方はランドさんが来る前に十分話をしてくれたと思います。自ら望んでランドさんが犠牲になった。自分たちは止めたが聞かなかった。普段からランドさんは様々な仕事を率先してこなしてくれていた。その分、報酬も多めにわたしていた。こんな形だが死んだランドについてはギルドをあげて語り継いで欲しい。以上でしょうか」
「待──」
「もし……」
制止しようとしたフェイドをニィナが逆に制して言葉を続けた。
「これらの発言が虚偽によるものだと今証言するのなら、ギルドとしても虚偽の報告を上げる冒険者としてリストアップが必要になります」
「な……」
事実上死刑宣告だったかもしれない。
ギルドへの虚偽申告は重罪だ。ギルドでの活動ができなくなる、すなわちSランクとして築き上げてきた地位も何もかもを一瞬で失うことになる。それどころか、場合によってはギルドが懸賞金をかけて指名手配を行うという事態にもなりかねない。
「あなた方の主張、この後のランドさんの主張、その後、状況を見て総合的な判断を下します。もし異議があればそれ以降にしましょう」
うつむくフェイドはそれっきり顔をあげられなくなっていた。
「では、行きましょう」
ようやく誰も止める人物がいなくなったところで、ニィナさんについてギルドカウンターの奥、応接間へと入っていった。
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