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「お前さん。ミレオロってわかるか?」
「ミレオロ……?」
「魔術協会のトップ……いやこういった方がわかりやすいか。不死殺しのミレオロだ」
不死殺し……ミレオロ……。
そう言われれば確か聞いたことはある。ヴァンパイア狩りがまだ推奨されていた時代、ヴァンパイアはもちろん、無数のアンデッドを殺してきた英雄の名前だ。
「不死殺し?」
アイルがきょとんとしていた。
「お前さんたち……特にミルムの嬢ちゃんにとっては天敵だろうな」
ミルムは何も言わない。
年齢を考えればミルムの国を襲ったのと同一人物ではないと思うんだが、思うところはあるだろうな。
「待ってください。なぜミルムさんの天敵に……?」
「なんだランド。お前それも言ってなかったのか?」
「あ……」
すっかり忘れてた……。
技を見てるから知ってるものと思っていたが、たしかにはっきり明言はしていなかったな。
どうしたものかと思っていたらやれやれと言った顔でミルムがふわりと席を立った。
「え?」
アイルが口を広げて驚く中、ミルムはわかりやすく、その力を示してくれていた。
「見ての通り、私はヴァンパイアよ」
ミルムが羽を広げ、目を妖しく輝かせてそう告げる。
一見普通の人間からすれば恐怖をかきたてられるようなその姿を見て、アイルはこういった。
「キレイ……」
「っ!?」
想定もしていなかった言葉がアイルの口から出たことで、ミルムのほうが赤面している始末だった。
「がはは。流石ランドが連れてきただけあっていいじゃねえか。こっちの嬢ちゃんもよ」
「まあ、引かれるよりいいな」
ギレンも気に入ったらしい。
ミルムだけバツが悪そうに顔をそらして座り直していた。
「で、そのミレオロがなんでいま……?」
話を戻す。
ギレンは思い出すだけで嫌だと言わんばかりに顔を歪ませながら話しはじめた。
「フェイドたちの動向を追ってたんだ。ギルドとして」
「それは知ってる」
まさかの失踪からしばらく経つし、普段のギルドならそろそろ情報が入ってきている頃合いだ。
今日もその情報かと思ってきたんだが……。
「ギルドはミレオロ率いる魔術協会からの圧力を受け、調査を断念している」
「圧力……?」
「ああ。上の奴らはそう堂々と言ってるわけじゃねえが、あれはどう見ても圧力だ。魔術協会ってのはそのくらいには、力を持った組織なんだよ」
心底嫌そうな顔でギレンがそう言った。
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