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「あの……ランド殿」
「ん?」
アールに取り付けた籠のなかでアイルが声をかけてくる。
「私を連れて行ってくださるのは嬉しいのですが……本当に良いんですか?」
「置いていくって言ってもなんとかして付いて来ただろ?」
「うっ……」
アイルはすぐ顔に出るなぁ。
まあ性格的に付いて来ると思ったし、今から言う内容にも抵抗はないと思っているけど……。
「アイルが今のままだと正直、守りきれるかわからない」
「はい……」
シュンとするアイル。
いちいち顔に出るのが可愛い……。
いやあんまりそういうことをしてる場合じゃない。ミルムに睨まれてるし本題に入ろう。
「ロバートとかわした【盟約】を、アイルとも交わしたいんだ」
「なるほど………………わかりました。すぐに自害します」
「待って!?」
なんでミルムといいすぐそういう物騒な方向になるんだ。
「死なないでいいから。というか死なないためにやるんだから……」
アイルだって子ども作れなきゃ困るだろ。
そんな変な方向に思い切りよく行動しないでほしい。
「俺はネクロマンサー以前にテイマーだった。だから多分、【盟約】は交わせる」
「私は【テイム】されるということでしょうか?」
「いや、多分【ネクロマンス】にはなると思う。ただどちらにしても、アイルは強くなれるはずだ」
「わかりました! やってください!」
一瞬の躊躇もなかった。
その覚悟に俺も応えよう。
「いくぞ?」
「はい。いつでも」
「【ネクロマンス】」
──アイルと【盟約】に成功しました
──エクストラスキル【上級防御術】を取得しました
──使い魔強化によりアイルたちのステータスが上昇しました
「これは……!」
「良かった。いけたみたいだな」
アイルにも力がみなぎっているのは見れば分かる。
そして俺も新しいスキルを覚えた。騎士らしいスキルだな。
「また何か覚えたのかしら」
「上級防御術ってのをな」
「まさかランド殿……私のスキルを!?」
アイルにとっては初耳か。
「ごめん。ただアイルの力がなくなるわけじゃないから」
「いえ。全然それは良いのですが……まさかそこまでのお力だったとは……」
アイルが驚いているところにミルムがかぶせにいった。
「慣れればちょっとやそっとのことでは驚かなくなるわよ。その男、ユニークスキルを複数持ってるのだから」
「ユニークスキルを複数!? ということはもうエクストラスキルくらいでは……」
「今も多分、なんか一つ増えたな、くらいにしか思ってないわ」
図星を突かれていた。
「ぐ……私が生涯をかけて唯一手にしたエクストラスキルが……そんな……」
めちゃくちゃ俺が悪いやつみたいだぞこれ?!
「ま、それ以上の恩恵はあるから安心なさい。自分の力が何倍にも強くなったんじゃないかしら?」
「確かに……信じられないほどのエネルギーを感じています」
「しっかり使いこなすことね」
「はい……!」
なんだかんだミルムは面倒見がいいというかしっかりフォローしてくれるので頼れるな。
そんなことをしていたらあっという間にギルド付近に到着した。
アールを撫でて【宵闇の棺】に戻ってもらい、改めてギルドに足を踏み入れた。
なんかここで書かないといけないことがあった気がするんですが思い出せない……!
FANBOXやnoteを今日明日で更新するのでよかったら遊びに来てください!
いや言いたかったことはコレじゃなかった気がする……!




