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「これは……」
「我が家は代々、このためにあったようなものだからねえ」
セシルム卿に連れられてはいった地下の一室には、ところせましと魔物の素材が並べられていた。
ひと目見て貴重なことがわかるものから、もはや何かわからないほどぼろぼろになったものや謎の液体が並ぶ部屋だった。
「あれが、君たちに渡したいものだよ」
地下室にはいってすぐ目に入る、特大の生物の角。
「いいのか?」
「元々そのつもりだよ。あれを売りに出せば私が渡した屋敷くらい、大したものではなくなってしまうだろうけれどねえ」
笑いながらそんなことをいうセシルム卿。
笑い事じゃないだろうな……。
「売りに出すつもりはない」
「うむ。加工して武器や装備に活かすのもいい。自由にしてくれて構わない」
「なら……」
ミルムと目を合わせる。
「【夜の王】」
ミルムの出現させたコウモリたちが巨大な竜の角を運んでくる。
部屋の中央、開けた場所まで持ち込んだところで、ミルムがさらに力を込めたのがわかる。
「これは……?」
セシルム卿が驚く間もなく、ミルムの魔法により巨大な角が圧縮されたように黒いエネルギーの塊に変化する。
その間に俺もアールを喚び出した。
「わかるか?」
『きゅーっ!』
待ちきれないと言わんばかりの態度にミルムが頬を緩ませて黒い塊をアールのもとにそっと届けた。
『きゅきゅー!』
アールの体を黒い渦が包み込んでいく。
一見怪しい攻撃を受けているような状況だが、アールの表情は心地よさそうなものだった。
それと同時に、アールの持つエネルギーがどんどん高まるのが肌で感じ取れた。
「まさかこんな使い方があったとはねえ」
セシルム卿にも伝わったらしい。
「使えるくらいの保存状態で助かったわね」
「野ざらしの骨じゃあ使えなかったもんな」
「それは、役に立てたようで何よりだよ」
──アールの存在進化が確認できました。ユニークモンスター「古代竜グランドメナス」からユニークモンスター「アール」に進化しました
──「アール」が竜種から竜王種へ進化したためスキルが強化されます
──エクストラスキル【竜の加護】がユニークスキル【竜王の加護】へグレードアップしました
──エクストラスキル【竜の咆哮】がユニークスキル【竜王の咆哮】へグレードアップしました
──エクストラスキル【竜の息吹】がユニークスキル【竜王の息吹】へグレードアップしました
──能力吸収によりステータスが大幅に向上しました
──使い魔強化によりレイ、エース、ミルムの能力が向上します
「おお……」
「ほんとにすごいわね……」
力が伝わったミルムがもう呆れたようにつぶやいた。
ステータスが強化されたことを示すように光を放つ俺たちにセシルム卿が驚いていた。
無事目的を果たし、それでも変わりなく甘えたがりのアールの頭をなでながら笑いあった。
遅くなりましたー
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