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13.目指す方向



 ……目を覚ます。俺は波打ち際に打ち上げられていた。

 今度も、マーキュリーさんが助けたのかと思った……。


 けど、マーキュリーさんの音が周囲からは聞こえてこない。

 ……だとすると、おかしい。どうやって俺は戻って来れたんだ……?


 体を起こす。体中から、悲鳴が聞こえてきた。


 骨が折れてる場所。筋肉が裂けている場所が……俺にはわかった。


「なに……が。どうなってんだ……?」


 わからない。ただ、急に感覚が鋭敏になったのだ。

 腹が減ってるからか、極限まで精神状態が追い詰められてるからか。


 とにかく、俺の耳にはいつもより多くの情報が入ってくる。


「…………」


 師匠は、俺が天才ではないといった。

 リリア院長すらも。多くの人たちが俺には才能が無いという。


 でもそれは、マイのような、天才的戦闘の才がないってだけだ。

 ……俺にだって、ちゃんと武器さいのうはある。


 音を聞き分ける、この鋭敏な耳……超聴覚の力が。

 俺が鍛えるべきは……これなのだ、と俺はなんとなく、直感した。


 他に、マイに勝てる要素があるとしたら、そこだからだ。


「…………」


 俺は……知らず、目を閉じた。視覚情報を閉ざすことで、より……聴覚を研ぎ澄ませる。

 目を閉じて鋭敏になった聴覚は、色んな音をひろえる。あらゆる音を、拾える。

 波の音。潮騒。俺の脈動。呼吸音。……そして。


「なんだ……これ……?」


 暗闇の世界のなか、俺は……世界をはっきりと知覚できていた。

 目を開けていたときりも、世界が広く……そして明るく見える。


 ……そうか。これは、耳で捕らえた世界の姿だ。

 聴覚情報から、周囲の状況をとらえ、何がどこにあるのかを、頭の中で再現してるんだ。

 そういえば、蝙蝠は暗がりのなかで、超音波を発しながら、飛んでいるという。


 暗い世界であっても、音の反射だけで、敵の位置を知る。反響定位ってやつだ。


「…………」


 俺は、しばし目を閉じて、より多くの音をとらえる。

 すると……空中に、何か妙なモノを見つける。


 空気にも、音がある。そして、その音は場所事に異なる。


 空気と空気がぶつかり合う、場所。そこは、空気の面とでもいうのか、そこだけ他と違って密度がある。


 俺は……そこめがけてジャンプ。

 空気の面をとらえて……そこを足場に、もう一度、ジャンプ!


 タンッ……!


「できた……!」


 俺は空中に居た。これだ、と思った。

 そう、俺は目にみえないものを、見ることができるんだと理解した。


 これこそが、俺の力の本質。伸ばすべき才能!

 俺は再び目を閉じて、周囲の音を聞く。


 空気の面は複数、存在する。

 それらを伝っていけば、がけの上へと行ける……!

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