03.英雄村
俺はまたしばらく眠った。
なにか、心地よい響きが聞こえてきた。
うっすらと目をさます。
マーキュリーさんが隣でうたた寝をしていた。
俺は少しだけ、体を起こす。
まだ立てないけど、半身を起こすことができるくらいには、回復したようだ。
「……どこだろう」
今どこら辺にいるのか気になった。マーキュリーさんは寝ているので、自分で確かめることにする。
ずりずり……と這いずりながら、馬車の最後尾までやってきた。
そこから見えたのは……草原だ。
何もない草原がどこまでも広がっている。
そして……青い空。
雲一つ無い空に、だだっぴろい草原。
ここは一体……?
「もうすぐ付くみたいよ、英雄村に」
「英雄村……?」
「うん。ほら、こないだデッドエンド領ってとこいったでしょ? それのさらに奥にあるのが、英雄村。文字通り、元英雄たちの住む村よ」
「…………」
英雄たち。
その人達に師事すれば、俺は強くなれるんだろうか……。
「修行のまえに、まずは体を治さないとね」
ほどなくして、馬車が村に到着する。
マーキュリーさんが俺に肩を貸してくれた。
一緒に馬車を降りると、田舎村ってかんじの村が広がっている。
少し離れた場所に、ばかでかい樹が佇立していた。
「あの木の根元に、【アスクレピオス治療院】があるのよ」
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