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86.戦い終えて



《シーフ視点》


 ……俺は、目を覚ました。


「シーフくん……おはよう」

「ま、きゅりー……さん?」


 先輩冒険者、マーキュリーさんが、俺をのぞき込んでいた。

 なんで……ここに?


「うわっ」


 マーキュリーさんが俺を抱きしめてくれた。

 その無駄にでかい乳が当たる。


「……良かったわ、目が覚めて……皆……凄い心配したんだから……」


 心配……。

 そ、そうだ!


「アウルムは!? あいつ……ぐあぁあ!」


 俺が立ち上がろうとした瞬間、体に激痛が走った。

 立っていられないほどの痛みをおぼえる。


 筋肉が悲鳴を上げてるのがわかった。

 今までに無いレベルで、体が疲労を感じてる。


「シーフくん……とりあえず、落ち着いて。全部終わって、あなたは帰ってきたの」

「全部……?」


「ええ、依頼も。アウルムとの戦闘も。全部」

「…………」


 マーキュリーさんの声から嘘を言ってるようには感じない。

 ということは、本当に全部片付いてる……わけか。


「そうだ……今、いつです? ここは?」

「今はアウルムとの戦闘から、10日後よ。王都の治療院」


「! 10日も……」

「ええ。あなたは、その間ずっと眠り続けていたわ」

「…………マイは?」


「マイちゃんも無事よ。今は……依頼に行ってるわ」

「依頼……? マイが?」


 ど、どういうことだ……?


「シーフくん。今回の依頼で、マイちゃんのSランク昇格が決定したわ」

「! っしゃ……! マイ! やったぞ!」


 ついに、念願が叶って……。

 いや、待て。じゃあなんで、マーキュリーさんからは、申し訳なさそうな音が聞こえてくるんだ。


 俺たちの夢、二人でSランクとなり、最強のパーティとなる。

 マーキュリーさんはそれを知ってる……。


 ! まさか……。


「そう……シーフくん。今回昇級が決まったのは、マイちゃんだけ」

「! ……そう、か」


 しょうが、ない。

 マイは凄い付与術師だ。一方で、俺は……マイの強さに並べていない。


「シーフくん。マイちゃんはSランクとなったことで、単独での任務が与えられるわ」

「な……!? ど、どういうことだよ! マイと俺はパーティを組んでるんだぞ!?」


「そうね。でも、相手はSで、あなたはAランク。力が釣り合ってない二人に、パーティを組ませるのは【危険】だと、ギルドも、ギルド協会も判断したわ」


 パーティを組ませるのが危険……?


 なんだ、それは……。


「なんだよ! マイは……俺とパーティを組まないと! あいつは、俺が守ってやらないと……」

「シーフくん」


 マーキュリーさんが、俺を真っ直ぐに見てくる。


「これは、あなたと、マイちゃんのためなの。今のあなたたちでは……力が並んでいない。マイちゃんにあわせようとし、あなたは無茶をした。その結果、10日も眠った状態で、しかも、今も動けてない」

「そ、それはそうだけど!」


 マイに遭わせて無茶をしたのは、事実だ。

 

「シーフくん。君はしばらく、療養。地方にある、【アスクレピオス治療院】に行ってもらうわ」


「アスクレピオス……治療院……?」


「あたしの故郷、デッドエンドってところにある、治療院。そこであなたは、治療を受けて。正直、ここじゃ……あなたの体は治らない」


 ……!?

 そんな……深刻なレベルで、俺の体は、ヤバいことになってるのか……?


「長時間の神降ろしに加えて、マイちゃんの動きに合わせようとして、あなたの体はもうボロボロなの。正直、生きてるのが不思議なレベルよ」

「………………」


 言われ、俺は何も言い返せなかった。

 俺の体の各所から聞こえる、悲鳴。それは、今まで聞いたことないもの。


 このままだと、死ぬ可能性がある。

 そう……死の音。俺が今まで、奪命の一撃ヴォーパル・ストライクで、倒してきたやつらと、同じ音が聞こえるんだ。


「デッドエンドで、しっかり体を治してきなさい。そして……強くなるの」


 マーキュリーさんが俺の目を見る。

 そこには、憐憫の感情はなかった。


「…………強くなれる?」

「ええ。あなたが、諦めさえしなければ」

 

 ……諦めるだって?

 ハッ! あり得ない。


「マーキュリーさん……俺を、デッドエンドの、アスクレピオス治療院ってとこに、連れてってくれ」


 そこで治療を受けて、俺は……強くなるんだ。

 そして……一足先にSランクとなったマイに、並び立つ。


 絶対に。

 マイ、おまえを……独りぼっちにはさせない。


 絶対に、おいついてやるからな!

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― 新着の感想 ―
[一言] たぶん無いとは思いつつも 別作品の主人公との邂逅を期待してしまう
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