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79.時間、稼ぎ



 ルイスはシーフたちが万全の状態になるまで、時間を稼ぐことにする。


 魔物武器を装備したルイスの視力は、超強化されている。

 アウルムの体内には、12の急所が存在する。


 脳が3つある……ならば……!

 脳をつぶせば、体は止まるはず。


 ルイスは銃口を頭に向けてぶっ放す。


 ドバッ……!


「む? なんだ……レーザーか?」


 放たれたのは、一筋の光。

 それが真っ直ぐにアウルムに向かってくる。


「下らん。こんなもの……いや、待て。この術式……そうか! はは!」


 アウルムはこのレーザーのしかけに気づいたようだ。

 瞬間、レーザーが枝分かれしてく。


 樹形図のような、無数のレーザーが、アウルムの肉体を貫いた。


「なるほど、増殖の魔法が付与された魔法弾か! いいな!」


 だが今ので脳3つを潰せていない。

 攻撃を見抜いた瞬間、急所の位置を微妙にずらした。


 脳3つのうち1つしか潰せなかった。

 それにすぐ脳は再生する。


 が、それでいい。

 ルイスは移動し、またも枝分かれする魔法弾を放つ。


 ドバッ……!


「タネが割れた手品ほどツマランものはないぞ?」


 アウルムは攻撃を完全に見切り急所をずらす。

 回避行動を取らないのは、アウルムがこちらを舐めているからだとおもわれた。

 所詮、メインディッシュの前の前菜……。

 いや、食前の水くらいにしか、思っていないだろう。


 そんなのは百も承知だ。

 ルイスは銃を抜いて、もう一度弾丸を放つ。


「くだらん……もっと楽しませろ……!」


 今度は、アウルムが銃弾を掴む。

 そして、ぐしゃり……と潰そうとしたのだが。


「ほぅ」


 ドガァアアアアアアアアアン!


 今度は枝分かれせず、大爆発を起こした。

 

「なるほど、同じ攻撃に見せかけ、実は違う魔法を付与していたのか。ふふ、なるほど……なかなか面白い」


 今ので脳2つはと消しとばせた。

 だが、アウルムが機能停止するそぶりは見せない。


「こうして多数の魔法弾を使い、相手を困惑させ、時間を稼ぐつもりか。よいよい、遊びにつきあってやろう」


 なんともいらつく。

 相手はすでに、バーンデッド兄妹との戦闘にしか興味をしめしていないのだ。


 でも……それでいい。

 ルイスは役割をただ、全うする。それだけでいい。

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