78.秘中の秘
《ルイスSide》
三人……否、四人で協力して、アウルムを討伐することになった。
切り札は、シーフ。
彼の体力が回復するまで、時間を稼ぐのが、自分の仕事だ。
ルイスは、魔法バッグから、2丁の新しい拳銃を取り出す。
黒い銃身に、緑色のラインが走っていた。
「接続……開始!」
拳銃から、緑色のラインが伸びる。
それは銃の持つ手を伝い、腕へと伸びる。
「が……! ぐぅ……!」
ルイスの体に力が満ちる。
体の底……否、彼女の持つ拳銃から、力が入り込んでくるようだ。
「ほぅ……なるほど。言うなれば、それは魔物武器か」
どうやらアウルムはようやく……こちらに興味を抱いたようだ。
「魔物を加工して作られた武器だな。人体に接続することで、その魔物が持つ力を、己の力に変えられる……はは! 良い武器だな」
……恐ろしい。
ルイスは内心で戦慄していた。
今彼女が持っている武器は、スナイプ家の家宝であると同時に、秘中の秘だ。
この魔物武器は、魔蟲とよばれる、妖精郷に生息する凶暴な魔物を使って作れた武器である。
人体と接続することで、尋常ならざる火力と速射能力を手に入れる。
が、それと同時に、自分の命を削るリスクも存在する。
それゆえ、スナイプ家ではこれを人前で決して使わないようにと、厳命されてきた。
スナイプ家の秘伝とも言うべき武器だ。
それをアウルムは、一見しただけで、構造を全て見抜いてしまった。
「タネを見抜かれたのだ、勝てる見込みはこれでゼロになったぞ、どうするのだ女?」
にやり、とルイスは笑う。
自分がかけてる眼鏡を、乱暴に投げ捨てた。
「勘違いしないでください。私は端から、勝つつもりはありません」
あの二人が、万全の準備を整えるまでの、時間を稼げればそれでいい。
「はっ、まあせいぜい楽しませてみろ」
「言われずとも……!」
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