表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/106

69.前に出る、付与術師



《ルイスSide》


 シーフ・バーンデッドが、人を助けている一方。

 妹のマイは、黄金のアウルムとの戦闘を楽しんでいた。


「ふむ……傀儡を操る腕は、貴様の方が上か」


 アウルムの周りに、たくさんあった黄金は、ほぼ消滅していた。

 マイ……というか、マイの操るルイスが、黄金の化け物たちを狙撃してたおして見せたのである。


「ぜは……! はぁ……はあ……はぁ……」

「あらぁ、もう限界ですかぁ?」


 ルイスはその場に膝を突いて荒い呼吸を繰り返す。

 マイによって、ルイスは人間の限界を超えた動きを、し続けていた。


 最初はマイの鋼糸によるサポートがあったおかげで、疲労を一切感じないで戦えていた。

 しかし人間は生き物、疲労はたまるものである。


 ルイスは、黄金の化け物を全て倒し終えたと同時に、倒れてしまったのだ。


「お疲れ様でしたぁ」


 マイは、ルイスを無理矢理立たせることはしないようだ。

 鋼糸の拘束を解く。


 ……ルイスは、もっと戦闘させられると思っていた。

 ギリギリのところで、良心が働いたのだろうか。否。


「ここからの戦いではぁ、ルイスさんじゃ役者不足ですからねえ」


 ……どうやら、マイは次の展開を予想してるようだ。

 アウルムがニヤリと笑って、こちらにあるいてくる。


「では、最後は直接、拳を交わすとしよう」


 アウルムの両腕からは、異様なオーラが漏れている。

 ルイスはあの手に触れたら危険だと、直感した。


 そして同時に、完全に戦意をおられてしまう。

 もう立ち上がれなかった。


 マイはルイスがこうなるのを予想していたのだろう。

 だから、傀儡化を解いたのだ。


「いいですよぉ」


 マイは、アウルムにむかって歩き出す。

「ま、まって……マイさん……。あなたでは、無理です。あなたは……付与術師。殴り合いなんて……」

「……そうですかねえ」


 マイが、つぶやく。


「わたし、ずぅっと試したいことがあったんですよぉ」

「試したいこと……?」


 マイが、手に持っている杖を、自分のこめかみに当てる。


身体強化エンハンス

「! 付与バフを……自分に!」


 付与魔法。それは、味方を強くする強化魔法……。だが今マイは、そのバフの対象を、自分にむけている。


身体強化エンハンス……身体強化エンハンス……身体強化エンハンスぅ……」


 マイがバフを重ねがけするたび、彼女の体から放たれるプレッシャーが、跳ね上がる。


 アウルムは、万全の状態のマイと戦いたいのか、彼女のすることを見守っている。


「さぁ……最終ラウンドですよぉ……」


 ぽいっ、とマイが杖を地面に投げる。

 パキンっ、と杖が壊れた。


 マイが……拳を構える。


「付与術師が、杖を捨てて良いのか?」

「ええ。あの杖……正直もうボロボロで」


「はは! おまえの力について行けなくなったってことか。いいぞ、吾輩を殺せたら、新しい杖を作ってやろう」

「死人がどうやって杖を作るんですかねえぇ……! 見物だなぁ……!」


 マイは拳を構え、腰を落とす。

 実に、自然な構えだ。まるで、武闘家のようだ。


 あり得ない……あの子は、後衛職。

 付与術師エンチャンターのはずなのに……。


「さぁ……征くぞ」

「はぁい……!」


 二人が地面を蹴り、そして……拳を、ぶつけ合う。

【★大切なお知らせ】


好評につき、連載版をスタートしました!


『【連載版】カバンの勇者の異世界のんびり旅~ハズレ勇者と王城から追放され奈落に落とされた。でも実はカバンは何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せられるチート武器だった。今更土下座されても戻る気はない』


広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!


リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。


https://book1.adouzi.eu.org/n1872iu/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 大変おもしろくテンポが素晴らしいです。 誤字報告させていただきます 役者不足は当人の能力に対して仕事の難易度などが足りていないことを表すもので文脈と真逆になってしまいます
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ