表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/106

50.不可能を可能にする妹


 セーフゾーンにて。

 救助者たちを外に出したあと……。


「で、この石碑どうする? なんか凄い文字なんでしょ?」


 どうやらこの世界には存在しない、神の文字ってやつらしい。

 そもそもここに調査に来た連中は、こういう未知のお宝を発見するために、来たわけだ。


 となると、この文字の書かれた石碑は、彼らにとって喉から手が出るほど欲しいものとなる。


「紙に書き写し、専門家に情報提供しましょう。そして、その人名義で、神の文字として発表する。そうすれば、シーフさんに負担が掛からないかと」


 なるほど。

 俺の名義だと、冒険者としての活動を阻害されかねないからな。


 ルイスさんが魔法カバンから紙とペンを取り出す。

 そして紙に文字を書き写そうとするも……。


「!?」

「どうしたの?」


「文字を……書き写せない……」

「え?」


 ルイスさんがペンを走らせる。

 しかし、紙の上に文字が描かれないのだ。


【一般人に、神の文字は取り扱えないよ。専門の職業ジョブ持ちじゃないとね】


 ……なるほど。

 神の文字を取り扱えるやつは、限られてるのか。


 盗賊おれ付与術師マイも取り扱えなかった。


「書き写せないってなると……石碑を回収する感じ?」

「ですね……。ただ、迷宮の壁はとても強固です」


 ルイスさんが魔法弾を、壁めがけて発射する。

 がきぃん!


 銃弾は弾かれ、壁はへこみすらない。


「シーフさんの奪命の一撃ヴォーパル・ストライクでは?」

「無理。壁を完璧に壊すことはできるかもだけど、それじゃ意味ないでしょ」


 俺の奪命の一撃ヴォーパル・ストライクは強力だが、しかし【強力すぎる】という弱点を持つ。

 加減ができないのだ。


 生命を持つ者なら即死させ、無生物は破壊してしまう。

 

「シーフ兄さん。わたしに……任せてっ」

「マイ」


 いつもより、積極的にマイが話してる。

 なにか……変わったのだろうか。


「どうするんだ?」

魔導人形ゴーレムから採取したスキル、【錬成】を使うの」


 錬成……?


「鉱物の形態を変えるスキルですね。ただ、扱いにはかなりの修練が必要となります」


 スキルを得たばかりの俺では、扱いきれないってことか。

 するとマイが「任せてっ」という。


「スキル付与【錬成】!」

 

 瞬間、俺のダガーが淡く光り輝く。


「兄さん。それで壁を切って」

「これで……?」


 弾丸を弾くほどの硬度の壁を?

 ダガーで切れる……?


 いや、マイが切れるというのだ。

 できるに決まってる。


 俺はダガーを迷宮に壁に突き刺す。

 手に衝撃が走る……はずだった。


 さくっ!


「おお! すげえ! クッキーみたいに簡単に壊れるぞ!」


 俺はサクサクと石碑の部分だけ、壁を切り取る。

 どどんぅ……!


 石碑が地面に墜ちる。


「マイ! これどうやったんだ?」

「えと……錬成を、ダガーの刃だけに付与したの。壁にダガーが刺さった瞬間、錬成が発動し、壁を構成する分子を移動させ、切り取りやすくしたの」


 何を言ってるのかさっぱりだけど、マイがスゲえってことだけはわかった!


 ……って、ん?

 ルイスさんから、また驚愕してる音が聞こえるぞ……?


「どうしたの?」

「……マイさん。それは、規格外です」


 それ?

 どれ……?


「マイさんは今、デバフとバフ、同時にかけております」

「? どういうこと?」


「錬成は、相手の硬度を下げる……つまり、デバフ効果を持つスキルです。それを、シーフさんに付与バフした。デバフとバフは両立しない、その原則を……彼女は限定的ですが、打ち破って見せたのです」


 これも何言ってるのかわからんが……。

 そういや、師匠が言っていた。


 バフとデバフは同時にかけられないって。


 マイは今、それをやってのけてる……ってことか!?


「す、すげえぞマイ! どうしちゃったんだよ! いつもすげえけど、今日は特にすげえじゃん!」


 マイが照れくさそうに言う。


「なんか今日、凄く……調子が良いの!」


 さっきの時間停止タイム・ストップの部屋を見てから、調子が良いみたいだ。

 良い物を見て刺激を受けたのかな……?


「なんにせよ、マイは凄い!」

「えへへ……♡ でもまだ、バフデバフの両立、完全に掴んだわけじゃないから……」


「それでも、すごいよ! 誰にもできないことやってのけたんだから!」

「えっへへ~♡ 兄さんほめすぎだよぅ~♡」


 ……しかし、マイ。

 おまえはドンドン進化していくな。


 兄ちゃんを……置いて。


わたしを受け入れればもっと強くなれるよ?】


 ……無視。

 人間を捨てるつもりはない。


 マイが人の身で、ここまで強くなってるんだ。

 俺だけズルするわけにはいかないんだよね。

 

【★☆大切なお願いがあります☆★】


少しでも、

「面白そう!」

「続きが気になる!」

「妹ツエエエ!!」


と思っていただけましたら、

広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】から、

ポイントを入れてくださると嬉しいです!


★の数は皆さんの判断ですが、

★5をつけてもらえるとモチベがめちゃくちゃあがって、

最高の応援になります!


なにとぞ、ご協力お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ