110.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
俺は耳を澄ませる。
目の前の巨体から発せられる、おびただしい数の「音」を拾うために。
(……すげえな。こりゃまるで、鉄塊だ)
インノケンティウスの筋肉は、ただ太いだけじゃない。
繊維の一本一本がワイヤーのように高密度で、骨格がきしむ音は、重厚な城門の開閉音に似ている。
ドクン、ドクンと脈打つ心音は、傲慢なほどに力強く、一切の揺らぎがない。
自分は最強だと信じて疑わない、絶対王者のリズムだ。
(だが……単調すぎる)
強さは本物だが、音に遊びがない。
俺は敵の戦力分析を終え、フッと息を吐いた。
「死ねぇぇぇッ!!」
インノケンティウスが咆哮と共に、丸太のような右腕を振り下ろす。
大気を裂く轟音。
直撃すれば人間などミンチになるであろう一撃が、俺の頭上へと迫る。
ドゴォォォォン!!
地面が爆ぜ、土煙が舞い上がった。
クレーターの中心に拳をめり込ませたインノケンティウスが、ニタリと口角を上げる。
「バッハッハ! 口ほどにもない! 所詮は羽虫よ!」
「誰が羽虫だ」
「あ?」
インノケンティウスが目を見開く。
俺は彼の拳のすぐ横、わずか数センチの位置に立っていた。
髪の毛一本触れさせず、涼しい顔で彼を見上げる。
「なっ……!? 貴様、いつの間に……!」
「大振りなんだよ。あくびが出る」
「チッ! 運のいいガキめ!」
インノケンティウスが苛立ち、今度は左の裏拳を薙ぎ払う。
さらに追撃の右ストレート、振り下ろしのハンマーナックル。
ドゴォン! ズガンッ! バゴォォン!!
怒涛の連撃が森を破壊していく。
だが、当たらない。
俺は最小限の動きで――首を傾け、半歩退き、上体を反らすだけで、その全てを紙一重で回避し続ける。
「ぬ、ぬおおおおっ!? なぜだ!? なぜ当たらん!?」
「聞こえてねえとでも思ってるのか? アホだな、アンタ」
「なんだとぉ!?」
俺は耳を指差して嘲笑う。
「アンタが殴ろうとする直前、筋肉が収縮する音がする。関節がどっちに回ろうとしているか、重心がどっちに傾いているか……全部『音』で丸わかりなんだよ」
聴覚を極限まで研ぎ澄ませた俺の世界では、相手の行動は全て予告されているに等しい。
筋肉のきしみ、血流の加速、骨の摩擦音。
それらが攻撃の意思より先に、俺の鼓膜に届く。
つまり、これは音による『未来予知』だ。
「嘘を吐くなぁっ! そんな芸当、人間にできるはずがないわぁっ!」
インノケンティウスが顔を真っ赤にして激昂した。
理屈を超えた現象に恐怖し、それを打ち消すように全身のバネを使った最大火力のタックルを仕掛けてくる。
「潰れろぉぉぉぉぉッ!!」
戦車のような突進。
だが、その音は一番大きくて、一番分かりやすかった。
「ほら、右足に体重が乗りすぎだぜ」
俺は突進の軌道を見切り、すれ違いざまに彼の足元へチョンと足を出す。
タイミングは完璧。
巨大な質量と速度が、自身のバランスを崩す凶器へと変わる瞬間だ。
「あ――?」
インノケンティウスの視界が、ぐるりと回転した。
ズドォォォォォォォン!!
巨体が盛大に宙を舞い、背中から地面に叩きつけられる。
地響きと共に土煙が上がり、無敵の筋肉ダルマが空を仰いで大の字になった。
【おしらせ】
※2/11(水)
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