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109.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

 薄暗い森の奥深く。

 魔力が淀む洞窟の中で、黄金の鎧を纏った魔族――『黄金のアウルム』が、舌打ちと共に傷口を押さえていた。


「チッ……。あの小娘、ふざけた真似をしやがって」


 その体には、抉り取られたような傷跡が刻まれている。

 再生能力の高い魔族の肉体が、治癒を拒絶している。

 妹、マイにやられた傷だ。


 ズシン、ズシン。


 不意に、地響きのような足音が洞窟を揺らした。


「バッハッハ! 無様だなアウルム! 人間風情に後れを取るとは、『黄金』の名が泣くぞ!」


 豪快な笑い声と共に現れたのは、巨岩のような筋肉の塊だった。

 身長は二メートルを優に超え、全身に鋼鉄のような筋肉を鎧のように纏った巨漢。

 魔王軍きっての武闘派、『無敵のインノケンティウス』だ。


「……五月蝿いぞ、インノケンティウス。何の用だ」

「何、面白い獲物がいると聞いてな。貴様をそこまで追い詰めた人間……『マイ』とか言ったか?」


 インノケンティウスが、極太の腕を組み、ニタリと笑う。


「俺様の筋肉よろいを試すのに丁度いいサンドバッグになりそうだと思ってな。これからその娘をひねり潰しに行くところよ!」

「……よせ」


 アウルムが冷ややかな視線を向ける。


「あの女は止めとけ。規格外だ。今の貴様じゃ、肉片も残らず消し飛ばされるのがオチだぞ」

「バッハッハ! 面白い! この『無敵』の肉体に傷をつけられるものなら、やってみろと言うのだ!」


 インノケンティウスは聞く耳を持たない。

 彼は己の肉体強度に絶対の自信を持っている。

 アウルムの警告を鼻で笑い飛ばすと、洞窟の出口へと向かって歩き出した。


「精々、死に土産話でも持ってくることだな」

「見ていろ! その小娘の首を、貴様への見舞いにしてやるわ! バッハッハ!」


      ◇


 ドォォォォォン!!


 森の木々をなぎ倒し、インノケンティウスが我が物顔で進撃する。

 マイがいる屋敷への直進ルート。

 障害物など意に介さず、直進してくるその姿は、まさに生きた災害だ。


「邪魔だ邪魔だぁ! 俺様の前を塞ぐものは、森だろうが岩だろうが粉砕するのみよぉ!」


 彼が目の前の巨木を拳で粉砕しようとした、その時だった。


「……そこまでだ」


 風に乗って、静かな声が届いた。

 インノケンティウスが足を止める。

 粉塵が晴れた先、一本の細い人影が立っていた。


 ボロボロの服を着た、小柄な少年。

 俺――シーフだ。


「あぁん? なんだ貴様は。人間か?」


 インノケンティウスが見下すように鼻を鳴らす。


「失せろ雑魚。俺様は今、機嫌がいい。虫ケラをプチプチ潰す気分じゃないんだ」

「お前らの会話、全部聞こえていたぞ」


 俺は敵の巨大な威圧感にも動じず、淡々と告げる。


「『マイ』を狙っているんだろう? ここから先は通さねえよ」

「ほう……?」


 インノケンティウスが目を細めた。

 数キロ離れた洞窟での会話を聞いていたという事実に、僅かな興味を抱いたようだ。


「地獄耳な鼠め。……だが、その細腕でこの俺様を止めるつもりか? 『無敵』と呼ばれる、このインノケンティウス様を!」


 インノケンティウスが、その鋼鉄の胸板をドンと叩く。

 物理攻撃を一切受け付けない、絶対防御の肉体。

 だが、俺の耳には聞こえていた。


 ドクン、ドクン……。

 奴の心臓の音。

 筋肉が軋む音。

 そして――物質としての『限界』を告げる、微かな不協和音が。


「無敵、ねぇ」


 俺は右手をかざし、意識を集中させる。

 師匠との修行で掴んだ感覚。

 対象の『終わりの音』を聞き分け、そこに触れる。


「どんなに硬かろうが関係ねえよ。……そこに『音』がある限りな」


 俺は一歩、踏み出した。


「バッハッハ! 良い度胸だ! ならばその身体で味わうがいい! 絶望という名の鉄槌をなぁ!」


 インノケンティウスが拳を振り上げる。

 巨大な質量が、俺目掛けて落ちてくる。

 修行の成果を試すには、これ以上ない相手だ。

【お知らせ】

※2/5(木)


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