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猫可愛がりしていたら、喰われました。  作者: 不知火螢


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 なんと説明すればいいか分からない部分はふわっとだけ話をして、ひとまず簡単な調査結果の報告は終わった。今後の動きは、私も姉様が戻ってこないと何とも言えないし、もし兄上の協力を仰げなかった場合、また別の手段を考える必要がある。

 王都にいる兄上ならまだしも、辺境伯である父上を姉様が連れ出すとはさすがに思えない。


 今日はもう、これ以上することも特にないので、宿泊している部屋で当初の予定通り、のんびり過ごすつもりだ。

 姉様がすぐに戻ってくる可能性もあるが、父上に書状を書いてもらって、そこから更に兄上の元に行くとなると、もっと時間がかかるはずだ。


「兄上かぁ……」


 八つ年上のヴィルは、十五の頃から一年の大半を王都で過ごしていた。なので、すぐ上のマルクス兄様やマリーナ姉様ほど、親しくはない、というと語弊があるのだが、思い出があまりないのは事実だ。

 年が離れているので、辺境伯領に兄が帰ってきた際には、ミハエル殿下と二人してとても可愛がってもらっていた。

 そんな兄上は、去年には領地に戻ってきて結婚する予定だったのだけど、あれ、どうなったんだろ。急遽ミハエル殿下が王都に戻られることになったので、兄上が側に付いてサポートすることになったけれど。

 殿下と兄上の話は、あちこちをふらふらと放浪している最中にも時折聞こえていた。これまで現王妃、第一王子と第二王子たちが蔑ろにしていた貧困層や孤児たちへの支援政策を打ち立て、積極的に支援をしているようだ。

 このあたりはきっと、オルトマン辺境伯領にいたころの経験が活きているのだろう。辺境伯領では、優秀な人材を見逃さないために、様々な対策を取っている。その一環として、福祉や教育制度が整っている。はっきり、これらに関しては王都よりもはるかに進んでいるという自負がある。

 次期辺境伯である兄上が側にいる、というのはやはり大きいのかもしれない。


「リート、リンデ、伯父さんと伯母さんに会いたいー?」


 言葉が返ってこないのをわかっていて、二人に問いかける。

 とはいっても、まだ殿下に新しい婚約者ができていない以上、殿下の側近である兄上に会わせるわけにはいかないだろう。

 だって、殿下が知ったら、自分の身分も立場も投げ捨てて、絶対に「責任を取る!」って言いだすのは目に見えている。私はそんなことさせたくないから、家を出たのだ。

 

「でもなぁ、兄上来るなら、隠しきれるかなぁ」


 正直、今回の一角兎討伐が一瞬で終わるか、少し長引くか分からない。そうなったら、兄上は王都に帰るか、この宿に泊まるかになると思うのだけど、私がここにいるとわかったならば、確実に説教は免れない。

 兄上は辺境伯の継嗣として、私とは比べ物にならないほどのあれこれを頭に詰め込まれているし、姉様のようにすぐに気を逸らしてくれる何かがあるわけでもないのだ。

 説教となると、多分、この部屋に来るわけだし……見知らぬ他人ではなく、兄が来るのだから、二人を奥さんに預けるというのもおかしいし……


「兄上、事情を説明したらちゃんとミハエル殿下に内緒にしててくれないかなー!」


 今の二人の関係性が分からないから何とも言えないけれど、元々兄上は面倒見のいい人だ。なんだかんだ言いながらも、絶対に殿下のことを見捨てることはないだろう。だからこそ、私が殿下との子供を産んだことを知ったら……反応分からなーい!!


 認識阻害の魔法だって、絶対に兄上にも姉様にも通じない。二人の実力なら、リートとリンデを見たら、間違いなく認識阻害を掛けていると一目でわかるだろう。

 私が産んだ、白銀の髪に紫水晶(アメジスト)の瞳を持つ赤子たち。私が何も言わなくても、ミハエル殿下との子供だと一目瞭然だ。隠し立てのしようがない。


 白銀の髪も、紫水晶の瞳も、どちらも国王陛下と同じで、王族由来の色だ。そしてこれらは、第一王子、第二王子が持たないため、だからこそミハエル殿下が次の王に相応しい、と考える人たちの一部が持つ共通認識でもある。

 婚約がまだ解消されていない今、私が王族の色を持つ子供を産みましたー! というのが世に知られたら……だめだ、やっぱだめだ。私が殿下の足を引っ張るわけにはいかない。


 私は王妃どころか、王太子妃の器ではない。こうして、冒険者としてふらふらしてみてよくわかった。私は気ままに動くのが向いている。貴族の末席として動くことはするが、それはあくまでもオルトマン辺境伯領の民に限るのだ。その対象が国全体となると……ちょっと無理な気がする。

 もちろん、臣下としてゆくゆくはミハエル殿下の治世を支えるつもりだけど、それとこれは別の話。


 婚約が正式に解消されたあとも、しばらくは家に戻らず、二人を連れて放浪するつもりだ。少なくとも、殿下の地盤が固まるまで。

 そして、家に戻ったあとは新たな婚約を結ぶことなく、独身を続けて二人を育てていくことだろう。

 オルトマン家は政略で家同士の結びつきを強くする必要はないし、血を繋げるという意味では、息子と娘を出産済だ。私が政略結婚をする必要はないし、殿下以外に好きな人は絶対にできないだろう。

 ヴィル兄上は結婚予定なのでオルトマン家は安泰だし、なんならマルクス兄様もマリーナ姉様も家に残る気満々なのだから、そこに私が加わっても問題ない、だろう。

 何も、兄上に代替わりしてからも本邸に住もうとしているわけではないし。我が家、無駄に敷地広いから別邸いくつかあるし。


 ……まぁ、それは全部、殿下との婚約が解消されてからの話だけど。


「うん、やっぱり何とかいい感じに理由を誤魔化して、奥さんに預かっててもらおう」


 何度考えても、兄上にリートとリンデの存在がばれるのは、ちょっとリスクが高すぎる。


 ――なんて、考えていたのに!


「ラヴィニア!!」


 まさか、いきなりドアを開けて兄上がこんにちはしてくるとは、誰が思うというのか!!

しかし、ミハエルには既にばれているのである!


資格試験のため、一週間お休みします。次の更新は2/12(木)予定です。

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