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復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!  作者: 鈴宮(すずみや)
【2章】ゼリック婚約計画!〜悪女はピュアすぎる兄を遠ざけたい〜
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13.アインハードとゼリックの理想の女性

(お兄様の婚約か)



 そんなこと、考えたこともなかった。家でもゼリックの結婚について話題に上がったことはなかったし、復讐計画で頭がいっぱいだったもの。


 だけど、わたしの復讐計画を進めるにはこれしかない。


 ゼリックには可愛い婚約者を迎えてもらう。そして、シスコンから卒業して、わたしのことは放っておいてもらうんだ。そしたらきっと、もっと自由に動けるようになる。アインハードへのアプローチもずっとしやすくなるはずだ。



(ありがとう、アインハード)



 まさかこんな形で復讐計画のアシストをしてもらえるとは思わなかった! わたしのなかのアインハードの株は爆上がりだ。



「そうですわ、お兄様! 早く婚約者を見つけないと! 素敵な女性はすぐにお相手が決まってしまいますから」



 本当は今すぐ家に帰ってゼリックの婚約者選びをはじめてしまいたい。パパとママをその気にして、ゼリックにふさわしい令嬢を探してお相手と引き合わせたい。だけど、アインハードの好感度も上げなきゃいけないし、次にいつ会えるかもわからないから我慢しなきゃだ。



「大丈夫、僕のことならきちんと考えてるよ」



 ゼリックはそう言って、わたしの頭をよしよしと撫でる。あまりにも無邪気な笑顔に、わたしは思わず面食らってしまった。



「考えるだけじゃダメです。きちんと婚約までしてしまわないと」


「そう? そんなに急ぐ必要ないと思うんだけど」



 ゼリックはさり気なくアインハードに同意を求める。すると、アインハードは「そうだな……」なんていう曖昧な返事をした。



(急ぐわよ!)



 だって、わたしの復讐がかかっているんだから!


 妹のわたしをこれだけ溺愛しているんだから、婚約者なんてできたらゼリックは絶対に超大切にするでしょう? きっとしょっちゅう会うだろうし、頻繁に手紙も出すだろうし、そしたらわたしに構ってる暇はなくなるはずで……。



(でもそれって、ちょっと寂しいな)



 胸がズキンと小さく痛む。

 婚約者ができたら、もうわたしを撫でてくれなくなるのかな? 可愛いって言ってくれることも、ギュッて抱きしめてくれることもなくなるかもしれない。兄妹なんて、それが当たり前なのだろう。だけど、これまでゼリックがわたしに向けてくれていた愛情が他の人に注がれるのは、結構しんどいかもしれないと思った。



(やめやめ!)




 そんなことを考えるなんてどうかしている。わたしはゼリックとアインハードに向き直った。



「お二人はどんな女性が理想ですか?」



 せっかくだから、この機会に両方の理想を聞いておきたい。ゼリックのお相手探しはわたしが主導したいし、アインハードの理想がわかったらそれに自分を近づければいいんだもん。自然な流れで聞き出すチャンスができたのは幸運としかいいようがない。わたしはそっと身を乗り出した。



「理想か。そうだな……俺の場合は王太子妃にふさわしい女性というのが前提条件になるから、美貌と教養を兼ね揃えている女性、ということになるが」


「それはそれとして、殿下にも好みがあるでしょう? 可愛い系の女性が好きとか、大人っぽい女性が好きとか。髪の毛はストレートがいいとかふわふわがいいとか、ドレスの色合いとか。活発な女性と物静かな女性ならどちらが好ましいとか、色々」



 前提条件はさておき、好みの部分についてはアインハード本人にしかわからないんだから、しっかり考えてこたえてほしい。アインハードはわたしの質問に少しだけ驚いた様子だったけど「そうだな……」と首をひねった。



「どちらかというならば、可愛い系の女性が好き……だと思う。髪は似合っているならどちらでも構わないが、ドレスは暖色系のほうが好みだ」


「なるほど」



 確認した内容を頭のなかに叩き込みながら、わたしはウンウンとしきりにうなずく。



「あとは自分の意見をきちんと言える女性のほうが好ましい、といったところかな」


「そうなんですね」



 わたしはそう言って密かにガッツポーズを浮かべた。


 これでアインハードの理想がわかった。もちろん、妃選びには彼の両親やお目付け役たちの意向が大いに反映されるんだろうけど、アインハードの意見だって尊重されるに違いない。大変ありがたいことに、アインハードの理想からわたしはそう離れていないと思うし、今のまま頑張っていれば可能性はあると思う。っていうか、絶対に選ばれないとだ。



「それじゃあ、お兄様の理想は?」


「聞きたい?」


「ええ。お聞きした内容をもとに、わたしが素敵な女性をきっと見つけてみせますわ」



 笑顔のゼリックに向かって、わたしはニコニコと微笑み返す。



「リビーだよ」


「え? わたしがなんですか?」



 文脈から判断がつかず、わたしはそっと首を傾げた。



「僕の理想はリビーそのものだよ」


「……ええ?」



 その瞬間、わたしの頬が真っ赤に染まった。



(ゼリックの理想がわたしって……)



 考えながら、心臓がドキドキと高鳴りはじめる。

 ゼリックがわたしを溺愛しているのは知っている。だけど、今わたしたちがしているのは恋愛対象に関する話だもの。そんな回答がくるとは夢にも思っていなかった。



「ゼリック、リビーが聞いているのは理想の妹像じゃなく、結婚相手の好みの話だぞ?」



 アインハードにとってもゼリックのこたえは予想外だったらしく、ほんのりと頬を染めながらそう尋ねている。



「別に間違っていませんよ。僕にとっての理想の結婚相手がリビーというだけです」


「えええ?」



 ゼリックは一切照れることなく、サラリとそう返事をした。これ、冗談で言っているんじゃない。多分本気だ。



(どこまで純粋なのよ……!)



 ゼリックったら出会った頃とちっとも変わらない。ピュアで真っ直ぐ過ぎてわたし(とアインハード)が恥ずかしさといたたまれなさで悶絶してしまう。



(まずい)



 このままではゼリックの興味関心をわたしから引き剥がすのは至難の業だ。つまりは永遠にアインハードとの仲を邪魔されてしまうだろう。



(早く素敵な女性を見つけて、お兄様の目を覚まさせなければ)



 わたしはそう心に誓ったのだった。


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