悪役令嬢は兄の計画を聞く
「王位継承権順はどうなっているのですか?」
「今のところはライアン殿下が王太子だから彼が継承順としては一番だ。しかし側妃様の出産された王子殿下は正式に継承権を放棄している訳ではないから何かあった時はその権利が生きてくるだろう。国王陛下としても、ライアン殿下に一抹の不安を感じられていての措置だったのではないかと思うのだが…」
いやいや、大変なことを聞いてしまったわ。
うっかりするとお家騒動じゃないの。
しかも王妃はそのことを知っているって…。
第一王子に対してどう思っているのかを考えると怖いわぁ。
だって、どう考えても邪魔じゃない?
「お兄様、まさかと思いますがその第一王子に王太子殿下になっていただこうと考えているのではないですわよね?」
「そのまさか、だ」
ええー!!
今までその存在を隠されていた王子がいまさら表舞台になんか出てくる?
しかも、その場合王妃が敵に回るんだけど!
「ただ問題が一つある。側妃様がお亡くなりになってから第一王子殿下は身を隠されたままだ。今どこで何をしているかを知る者はほぼいないだろう」
んん?
つまり、今どこにいるのかもわからなければ、第一王子がどんな人かもわからないってこと?
そんな人に期待をかけるって、けっこうなギャンブルだと思うけど!?
「お兄様。それはあまり現実的ではないのではなくて?そもそも第一王子殿下がどんなお考えを持っていらっしゃる方かもわからないですし、身を隠されているのであれば、もう王家には関わりたくないのかもしれませんわよ?」
しかも出てくれば身の安全は保証されない。
「しかしこのままライアン殿下が跡を継げば問題が起こることは明白だろう。側妃様は聡明で思慮深い方だったと言われているし、第一王子殿下にかける価値はあるんじゃないか?」
たしかに、このままライアンが王太子殿下のままなら私の命は風前の灯火のようなもの。
兄の提案は魅力的ではあるけれど、これって王家に対する反逆行為だよね?
そんな大事件にしてしまっていいのかどうか…。
「まずは国王陛下がどう思われるかが鍵なのでは?」
「…そうだな。陛下が心からライアン殿下に跡を継がせたいとお考えであれば、この計画は反逆罪として裁かれるくらいの重罪だ。…しかし、おそらくそうはならないだろう」
何を知っているのか、兄はそう言うと口を閉ざした。
暴漢による侯爵家当主殺害事件。
国王陛下の婚約者の変更。
秘匿された第一王子。
…あれ?
待って。
これって…。
そこまで考えたところで、私の頭が急に割れるように痛くなる。
「…っ!」
痛い痛い痛いー!!
痛みを訴える頭の中にぐるぐるといろいろな映像が流れ込んできて気持ち悪い。
「エレナ!?」
兄の声が遠くから聞こえて…私の意識はそこでぷっつりと途切れたのだった。
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