悪役令嬢は思案する
孤児院への慰問は私的に実りある物だった。
子どもたちは可愛かったし、問題点も見つかったから。
やっぱり早急に必要な対策は教育よね。
孤児に限らず平民の中にも、もしかすると教育を施せば光る原石はいるかもしれない。
むしろ自身の立場にあぐらをかいている貴族よりもよほど良い人材がいたりしてね。
生まれに縛られずに教育を施し、門戸を広くして登用すれば国はさらに豊かになるに違いない。
そのためにも、まずは王都の学園に優秀な平民を通わせられるようになるといいんだけど。
問題は学費?
前世の奨学金制度みたいな物があれば可能性も広がるんだけどなぁ。
あとは貴族が平民と同じ学舎で学ぶことを受け入れられるかどうかかしら。
ああでも、それは私の考えることではないわね。
つらつらと思考を飛ばしながらの想像は、最終的に自分の今後を考えたら無理だということに思い至る。
人の心配をしている場合ではないわ。
とりあえずゲームにおけるエマの情報操作に対抗する策は取った。
これで平民の中でも一方的にエマを支持する事態にはならないだろう。
ゲーム内において、実は大きなイベントは先日の芸術祭と学年末に行われる修了式の二つだけだ。
芸術祭で共通ルートから個別ルートに入ってからは、攻略対象との仲を深め、恋愛イベントで胸きゅんする展開が主になるからだ。
エマはライアンルートだからエレナは無関係にはなれないけどね。
ライアンの中にエレナに対してのヘイトが溜まるように、エマはさらに何かしら仕かけてくるだろう。
冤罪をかけられないようにするためにも、今後はなるべくエマとの接触を避けたいところだけど無理よねー。
デュランに頼んでいる映像と音声を記録するためのアーティファクトがあるのが一番かしら。
ああ、ついでに商業ギルドを紹介してもらって商会を作った方がいい?
デュランに代行してもらっている出版業はかなり順調で、気づけば私の個人資産もかなり増えている。
このままいけば公爵家から追放されても生活の心配はないだろう。
ただ、令嬢では銀行に口座が作れない関係で現状はデュランにお金を預かってもらっている状態だ。
だいたい、なんで貴族女性は銀行口座が作れないのよ!
ここでもつくづく男尊女卑を感じるわ。
それに、この現状ではどこまでいっても貴族の女性は自分の人生を主体的に生きられないじゃないの。
働くことも許されず、できることはなるべく高位で人柄の良い男性に嫁ぐことだけ。
それすら親の都合によっては望まない相手に嫁がされることが多い。
唯一貴族女性でも働ける場所は王族もしくは高貴な貴族の侍女くらいだが、それもお小遣い程度を除いて賃金は実家に渡されてしまう。
逆に平民の女性は働くことが当たり前な分自分の口座も持てるが、頑張って働いてもなかなか実入りが少ないのが現状だ。
貴族と平民では利用できる銀行も異なり、ここは明確に線引きされている。
よくよく考えると問題だらけの世界よね。
前世から考えると信じられないわ。
あー!
また思考がそれてしまった。
まずは私だけの口座を作って資金を入れることからね。
今ある枠組みでとなると、やはり商会を作るしかない。
よし、ここはまたデュランに活躍してもらいましょう。
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