悪役令嬢はクラス代表になる
「それでは、Aクラスの発表会の代表はエレナ嬢とエマ嬢ということで決定したいと思います」
ライアンの言葉にクラス内から賛同の声が上がった。
「エレナ様とご一緒させていただくなんて恐れ多いですわ」
代表として教壇前に並んだエマが話しかけてくる。
そんな殊勝な言葉をどの口が言うのか。
思わず死んだ魚のような目になりそうになったわ。
エマはすでに隠す気がないのか、それとも隠しようもなく悪意が滲み出てしまっているのか、可愛らしい顔が台無しの眼差しをしている。
ゲーム内ではあんな目はしていなかったんだけどね。
おかしいなぁ。
可憐で愛らしいエマはどこにいってしまったのか。
人はやはり内面が現れるってこと?
「エマ様はバイオリンがとてもお上手と伺っておりますので、楽しみにしていますわね」
艶やかに微笑んで言ってやった。
エレナの良さはその華やかさにもある。
公爵令嬢としての美しさと品格。
その違いを見せつけてあげるわ。
…まぁ、前のエレナが身につけたものだけど。
残念ながら私はまったくの庶民だったからね。
私の言葉にエマの表情が一瞬こわばったのを私は見逃さなかった。
ああ、やっぱり。
エマは人前でバイオリンを発表できるような腕前ではない。
私は確信した。
ならば、エマは必ず私が悪役令嬢となるように仕向けてくるだろう。
自分で手を汚すのか誰かを使うのか。
ゲーム内ではエレナが仕掛ける側だったからエマがどう出るかわからない。
でも何となく、彼女は自分の手を汚さないと思う。
もし何かの都合で細工が発覚してしまっても、自分に疑いが向くようなへまはしないに違いない。
そこら辺のずる賢さが間違いなくある。
やだやだ。
ヒロインはやっぱり純粋で応援したくなるような性格であって欲しいよね。
小狡いヒロインなんて、特殊な性癖の人しか楽しめないじゃないの。
だから。
エマにはご退場願うわ。
年度最後に学園内で開かれる舞踏会まで、追いつめられるのは私ではない。
私がちゃんと引導を渡してあげる。
断罪されるのは私ではなくエマ、あなたよ。
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