悪役令嬢は質問を受ける
「なぜですか?」
情報ギルドからの帰り道、馬車を停めてある場所に向かって歩いているとダグラスから質問が飛んでくる。
「何が『なぜ』なのかしら?」
「アーティファクトのこともそうですけど、学園にデュランの手の者を潜入させる理由ですよ」
私はデュランに二つ依頼をした。
一つはアーティファクトの情報収集。
そしてもう一つは、学園内へ私の指示通りに動く手駒を潜入させることだ。
最初はティミード伯爵家のマリーを利用するつもりだった。
でも彼女は私を裏切る危険性が高い。
デュランのところで人材も確保できるならそれに越したことはなかった。
エマにやられてばかりもいられないしね。
こちらから仕掛けるならそれ相応の人材が必要だ。
学園内にいても不自然ではない者、生徒かもしくは先生か、できればそこらへんで使える人がいるといいんだけど…。
少なくとも二つ返事で引き受けてくれたということは、人材に心当たりがあるのだろう。
やっぱりデュランを味方に引き入れられたことは大きい。
…おっと、ダグラスの質問を放置していたわ。
「そんなに知りたいの?」
私の揶揄うような返事に、案外真面目そうな言葉が返ってくる。
「護衛として、お嬢さまのお考えを知っておくことは必要かと」
「へぇ。以前は『護衛としてはお嬢さまの身の安全を守ることだけが仕事』って言っていたと思うのだけど、違ったかしら?」
珍しくもダグラスがぐっと言葉につまった。
ええー…。
ダグラス何か悪い物でも食べたの?
らしくない言動をしてるわよね。
「訂正します。お嬢さまの心と体を守ることが仕事なので」
心と体…。
何だか大事にされているみたいで誤解しちゃうんですけどー!
すごいわぁ。
攻略対象って息を吐くように甘めの言葉を言えちゃうのね。
だってダグラスよ?
あの何事もお金次第という考え方の。
…何か悪いことが起こる前兆じゃないでしょうね?
「お嬢さま?何か失礼なことを考えていませんか?」
…は!
いけないいけない。
ついつい思考が斜め上に流れてしまったわ。
「いいえ、何も」
私はしれっと嘘をつく。
いやほら、ここは正直に言ってもいいことないしね。
「ダグラス、女性は秘密があってこそ魅力が増すってものよ?」
「お嬢さまには当てはまらない言葉ですね」
…どういう意味よ?
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