悪役令嬢は見極める
放課後である。
友人とのテスト勉強の時間がやってきた。
前世でこんなにもテスト勉強を心待ちにしたことがあっただろうか?
いや、ない。
心の中で問いかけて答えちゃうくらい楽しみにしていたのだが。
予想通りといえば予想通りの光景に図書館で遭遇した。
なるほど。
これはもう逆ハーレムルートで決定でいいでしょう。
私としては情報がない分不利だけど、その心積もりでいた方が良さそうだ。
「ライアン様、オーウェン様、ベイリー様、ごきげんよう」
私の声かけに閲覧席に座っていた四人が振り向いた。
エマの名前を呼ばなかったのはもちろんわざとだ。
「あら?エマ様もいらっしゃったのですね。エマ様のご友人が向こうの閲覧席にいらっしゃいましたけど、ご一緒されませんの?」
「ごきげんようエレナ様。ライアン様たちが勉強を教えてくださるのでこちらにいるんです」
「まぁ。ご存知なかったのですね。王太子であるライアン様や側近候補のオーウェン様、ベイリー様は学園内の平等のためにもどなたか一人だけを特別優遇することはできないのですよ?」
実は、よくよく調べたら学園の規則にその一文が明記されていた。
おそらく過去に王族が在籍していた時に何かあったのだろう。
「え?でも一緒に勉強してもいいって言われたので…」
「それなら今から席を移られたらいかが?この状況を教師の方々に見られると困るのはライアン様たちですわ」
まぁ、本当のことをいえば誰か一人だけの優遇を禁止しているだけなので、数人で教えてもらうことはダメではない。
つまりエマの友人を含めて勉強する分には問題ないのだ。
もちろんそんなことはわざわざ教えてあげないけど。
しかしそんな規則があるなんて…もしかして過去にも王族を狙った女子生徒による暴走でもあったのかしら?
「そんな言い方をするなんて…ひどいわ!」
いや、何がひどいの?
ここで逆ギレするあなたの方がひどくない?
立ち上がったエマがこちらに向かってくる。
あ、これは。
見たことがある光景だ。
そう、たしか悪役令嬢に絡まれたヒロインが突き飛ばされて泣く場面。
そして攻略対象に慰められて関係をさらに深めるのだ。
エマはそのシーンを再現しようとしているのだろう。
わかっていればこちらも対応のしようがあるというもの。
エマは悲しげな表情をしているが、口元が歪んでいるのに気づいているのか。
あらあら。
性格の悪さが滲み出ちゃってるわよ。
そう思っている間にエマの手が伸ばされた。
あの手が触れようものなら、その瞬間エマは私に突き飛ばされたかのように自分で転ぶだろう。
予備知識がなければその行動にびっくりしているうちに冤罪の確定だ。
でも私は知っている。
だから、エマがタイミングを計るのと同様に私もその瞬間を見極める。
エマの手が触れる本当にその一瞬。
「きゃあ!!」
大袈裟なくらいの悲鳴を上げて、私は後ろに倒れ込んだ。
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