悪役令嬢は思い悩む
結果を言えば、武術大会はオーウェンの圧勝だった。
だてに脳筋ではないのね。
学年別での戦いになるから上級生にはオーウェンよりも強い生徒がいるかもしれないが、少なくとも一年生の中ではオーウェンに敵う者はいなかった。
試合中のオーウェンを見つめるクレアのなんと可愛かったことか。
可愛すぎてよだれが出そうだったわ。
「お嬢さま、よだれが危険水域です」
ダグラスのツッコミも冴え渡るってものよね。
あの後、私はダグラスにエマのことを聞かなかった。
いや、聞けなかったという方が正しいのかもしれない。
サラッと聞いてしまえばいいと思ったのに、自分でも不思議だけどどんな答えが返ってくるのか不安を感じてしまったのだ。
私らしくない。
まったくもって私らしくない。
自分のらしくなさが気に入らなかったが、そこまでして聞く必要もないか、という結論に達したのであきらめた。
ダグラスの様子に変わったところがなかったせいもあるかもしれない。
エマについて何も言わないのはダグラスにとってエマがまったくの興味の対象外だからだろうか…。
…ああもう!
やめやめ!!
本人に確認しなければわからないことをうだうだ考えていても仕方ないわ。
よし、気持ちを切り替えよう。
武術大会は表彰式も終え、今日のカリキュラムは終了した。
大会中私は可愛いクレアをひたすら心の中で愛でていて、その私をダグラスが生温かい目で見守っていた。
ある意味一番冷静だったのはソフィかもしれない。
ベイリーは文系らしく武術的なことはそれほど得意ではないらしい。
一回戦こそ勝ち上がったが、二回戦で早々にトーナメントから離脱していた。
いずれにしても、ハンカチ騒動から始まった大会は幕を閉じた。
私の中にエマに対する不安を植えつけたまま。
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