悪役令嬢は目撃する
ひとまず目的は達成したので、私たちは控え室から応援席の方へ移動することにした。
エマと男どもがどうするか、考えるのもアホくさいので放置だ。
「クレア様、大丈夫?」
一応ハンカチを渡したものの、やはりオーウェンとエマの姿がショックだったのかクレアの元気がない。
「やはり男性はエマ様みたいな可愛らしい女性を好ましく思うのかしら?」
ぽつりとこぼされた呟きに私は驚く。
いやいや、何を言ってるの?
あんな性悪女よりもクレアの方がどれだけ可愛いか。
見た目の話をすればエマは可愛い系でクレアは綺麗系だ。
そこら辺は好みの問題になるけれど、どう考えても性格はクレアの方が良い。
かなり良い。
素直で純粋で、貴族社会で揉まれている割には裏表もないし、何よりオーウェンのことを想っている。
これでクレアではなくエマを選んだら、それはオーウェンに見る目がないということだけど…。
いかんせんここはゲームの世界でもあるから。
どんな強制力が働くかわからないのがつらいところだ。
「え?私はクレア様の方が断然可愛いと思いますわよ」
私は勢い込んで言った。
だって納得がいかなかったから。
エマのせいでクレアが自信を失うのは許せない。
正面から見つめながら真顔で私が言ったからか、クレアの頬がほんのり染まる。
「ありがとうございます。エレナ様にそう言っていただけて嬉しいですわ」
…っかー!
クレアが可愛すぎてつらい。
え?
何?
誰よ、クレアが気が強いって言ったの。
あ、私か。
たしかに気の強い面はあるかもしれないけれど、めちゃめちゃ素直よ。
どうしましょう。
デュランの妹のミラに匹敵するぐらい私的癒しになっているわ!
私は心の中で悶える。
…あら?
こんな感じで私がもだもだしてると必ず入るダグラスのツッコミがない。
おかしく思って振り返ると、いつもすぐ側にいるはずのダグラスの姿がなかった。
視線をやれば少し先でエマにつかまっているダグラスが見える。
は?
どういうこと?
っていうか、最近私『は?』と思うことが多すぎない?
ダグラスはエマから何か言われているようだったが、すぐに断りを入れて離れようとしている。
そこにさらにエマが話しかけて…エンドレス?
まさか。
まさかと思いたいけどやっぱり。
今までのエマの行動を見る限り、彼女は逆ハーレムルートを狙っていて、そこにはダグラスも含まれるってこと?
ダグラスって誰かを攻略した後にしか攻略できないはずだったけど…。
何か裏ルート的な攻略方法があるのだろうか。
残念ながらそこらへんの情報を持たない私には判断ができない。
それとも、ゲームの世界ではあるけれどエマが違う攻略をしているの?
少なくとも今の時点でダグラスはエマに興味がないみたいだけど、私は心の中に不安が広がるのを感じていた。
数多の作品の中から読んでいただきありがとうございます。
少しでも続きが気になりましたら、ブックマーク登録や評価などしていただけるととても励みになります。
よろしくお願いします。




