悪役令嬢は学園へ行く
オルコット学園への入学まで一週間と迫った日、私は下見も兼ねて学園へ来ていた。
一番の目的は兄に会うことだ。
エレナから見た兄は記憶の中にあるが、自分の目でもちゃんと確かめておきたかった。
この日に至るまで、私はとにかく忙しかった。
月に一度は時間の無駄とも思える王太子との面会があったし、入学までには情報誌の方も軌道に乗せておく必要があった。
ちなみに塩対応を続けていたら王太子は戸惑いを深め、何をとち狂ったのか時々花なんぞを贈ってくるようになった。
花に罪はないから受け取ったけれど。
まぁどうせ入学後は向こうから敵対してくるのでしょうし、当面放置で問題ないだろう。
そして情報誌の方は印刷の目処もたち、今はちょうど記事を集めているところだ。
誌名も最終候補を絞っているらしく私の入学までには決まるはず。
とりあえずは順調と言えた。
攻略対象の内、今日兄に会えばあと残るは宰相の息子と騎士団長の息子か。
この二人には入学すれば会える。
いや、特に会いたいわけではないよ。
あとは、ヒロインがどんな子なのかだけれど…。
ゲームではヒロインは心優しい純粋な子として描かれている。
当然だ。
そうでなければユーザーからの共感が得にくいから。
でもどうかしらね。
なんせ悪役令嬢であるエレナも私が転生したことでいまや別人なわけだし。
ヒロインがどんな子かで私の今後が決まるともいえると思うと、願わくば良い子であって欲しい。
そうすれば私の断罪も回避できるかもしれないから。
王太子の婚約者の座なんて熨斗つけて差し上げるから私のことは構わないでくれないかな。
それにしても最初の選択としてどちらを選ぶべきか悩むわぁ。
ヒロインと仲良くするか、それともなるべく関わらないようにするか。
関わらないようにしてもゲームの強制力で関わることになるのかしら?
それなら最初から仲良くする?
でもヒロインが普通の常識の通じる子でなかった場合は難しいわね。
悶々と考えながら学園内を歩いている内に、教職員棟までやって来た。
数学教師の兄はここにいるらしい。
さて久しぶりの兄妹のご対面といきますか。
私は気合を入れると教職員棟へ足を踏み入れた。
あ。
今回扉を開けてくれたのは学園の警備員だったよ。
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