58話 エンドラハードコア その1
とある日の配信終了後、いつもの様に長時間座り作業をして溜まった疲れを取るために、伸びをしているとハジメから連絡が来た。
『おーいホムラ今大丈夫か?』
今日の配信が長時間だった為疲れもあったせいか、若干面倒臭いと感じたが俺はハジメに返信を返した。
『面倒だけど大丈夫だぞ』
『素直だな!そこは嘘でも黙っとけよ!まぁいいや、それで本題なんだけどさ、ウチのENにウィルシスって子が居るんだけど知ってるか?』
ウィルシス?あーなんだっけか確か……
『最近何か男性の声が入って燃えてた子だっけ?何か女性vtuberは、ちょっと配信に男の声が入るだけで燃えるなんて可哀想だよな〜』
『そうそうその子。それでその子がホムラとコラボしたいって言ってるんだけどどうだ?あと俺の身近に生きてるだけで常に発火してる男性Vも居るけど、そいつよりかはマシだと思うぞw』
『うっせwそれでコラボって何するんだ?あと俺殆ど英語喋れないぞ』
『あーそれなんだけど、マイクラフトのエンドラハードコアを一緒にやりたいらしいぞ』
『へー、エンドラハードコアね』
マイクラフトとは世界の全てがブロックでできており、その世界で家や街を建築したり、モンスターを倒したり、広大な世界を冒険したりと、その圧倒的自由度で人気を博しているゲームだ。
それでエンドラハードコアとは、一応マイクラフトの世界には何体かのボスと呼ばれる生物が居て、その中の1匹にエンドラゴンと言うドラゴンが居て、そいつを一度でも死んでしまったら復活が出来ないゲームモードで、一度も死なずにそのエンドラを倒すのがエンドラハードコアと言うものだ。
『俺は別にコラボは大丈夫なんだけど、初のコラボでエンドラハードコアって大丈夫か?あれ1人でさえ結構大変なのに、2人以上でやるとなると相当長丁場になると思うぞ?』
『あーその辺は大丈夫じゃない?ウィルシスちゃんお前のファンだし。それにエンドラハードコアも配信で何度もクリアしてるし大丈夫だと思うぞ』
『え!?何?俺のファン!何だよハジメ!それをもっと早く言ってくれよ!さ!それでそのウィルシスさんとはいつコラボ出来るんだ?』
『勢いキモwまぁ俺も初めてホムラのファンって聞いた時はすげえ驚いたな。そーいやお前の後輩のクラゲちゃんが炎上してる時に、後輩から聞いたって言ったけどその後輩ってのがウィルシスちゃんなんだよな、何でもお兄さんが大のユメノミライのファンで、それ経由で気付いたとかなんとか』
『そうだったのか、って事は最近の炎上もお兄さんの声が配信にのっただけなのか?』
『そうそう、まぁその炎上も普通に炎上した次の配信にそのお兄さんが配信に出てすぐに解決したらしいけどな』
『何だその鎮火能力!是非俺にください』
『いや流石にホムラの常時炎上状態の状態異常の鎮火は無理だろwまぁもし鎮火出来たとしてもホムラの場合鎮火と同時に別の場所から発火しそうだけどなwww』
『や、やめてよハジメ君!たとえ本当のことだと言えど相手が傷つく事は言ったらダメなんだぞ!先生に習わなかったの!』
『ごめんね』
『いいよ!』
その後はいつもの様に何の生産性もないクソみたいな会話を永遠に続けた。
それと今度の週末に、俺とハジメとウィルシスさんの3人でコラボする事が決定した。
◯
という訳で週末
「Hello!今回はアンダーライブとアンダーライブENとユメノミライの3つのグループでの異色コラボだ。まずはこの俺アンダーライブ一期生の二階堂ハジメだ!次はこいつだ!」
「Hello, I'm Wilsys from Under Live EN. Today I'm really looking forward to my first collaboration with Homura-sama, who I love very much.」
(こんにちは私はアンダーライブEN所属ウィルシスデース。今日は私の大大大好きなホムラ様との初コラボすっごく楽しみデース!)
「あーえっと、何言ってるか全然わかんないけどEN所属のウィルシスちゃんです」
「よろしくデース!」
「そして最後はここ最近どんどん冬に近づいて外は寒くなったのにも関わらず、コイツの近くはいつでもホットな男!九重ホムラ!」
「Nice to meet you, Willis. Thank you for inviting me to collaborate with you today. And is it true that you are my fan?」
(初めましてウィルシスさん。今日はコラボに誘っていただきありがとうございます。それと俺のファンっていうのは本当ですか?)
「yes yes.」
「I'm grateful for that」
(そっかそれはありがたいな)
そんな感じで俺とウィルシスさんの2人で会話していると、その会話を黙って聴いていたハジメが急に叫び始めた。
「あぁぁぁぁ!!!お前ら2人とも英語で喋んじゃねぇ!俺がわかんねぇだろ!それにホムラァ!お前確か英語喋れないって言ってたよな?何で普通にペラペラと喋れてんだよ!騙したな!」
「What are you talking about, Hajime? Is this common knowledge?」
(何言ってんだハジメ?これぐらいは常識だろ?)
「That's right Hajime-senpai! Besides, Japan is a majority-rule country, right? In that case, if it was me, Homura-sama, and one of Hajime-senpai, wouldn't it be better for us?」
(そうですよハジメ先輩!それに日本は多数決の国ですよね?それなら私とホムラ様の2人と、ハジメ先輩の1人だったら私達の方が正しいんじゃないですかぁ?)
「だから!わかんねぇって言ってるだろうが!」
コメント
:俺もわかんねぇw
:LOL
:nice joke
:俺はハジメ側だな
:ギリ何とか聞き取れる
:クソワロタ
「はぁ、しょうがないなぁ〜ハジメ君は……ちょっとは英語の勉強してみれば?」
「ホムラ様のいう通りデスよハジメ先輩」
「うっせ、俺だって使っただろHelloってな!」
「いやそんなん小学生でも言えるレベルじゃねぇか!やるならせめて自己紹介ぐらいは英語で言ってみろよ」
「そこまで言うならやってやんよ!Hi! my name is Hajime Nikaidou thank you!どうだ!」
「はい、という訳で俺たち3人でエンドラハードコアやって行きたいと思います」
「オモイマース!」
「無視してんじゃねぇ!」




