16:いざ行かん王都(所要時間六時間)
英雄街道ナルズロード。
ボスモンスターは緋眼虎。
強そうな見た目だったけど瞬殺。ここ推奨レベル10だし……。
緑風平原アムソート。
ボスモンスターはランペイジスネイク。
口から卵を発射する攻撃で一瞬ピンチに陥ったけど撃破。
輝彩洞窟フォラエラ。
ボスモンスターはグリッターゴーレム。
そろそろ苦戦するかな……と思いきや魔法耐性が低くランペイジスネイクよりも簡単に倒せてしまった。
――――――
……と、そんな感じで道中大した苦労もなく私は王都レオーネにたどり着いたのだった。
まあエリアがかなり広いのでマップを見ながら最短で進んでもここまで6時間くらいかかったけど。
最初の街を出発した時点で既に陽が沈みかけていたので、ゲーム内時間ではとっくに深夜だ。
「まあ人はめちゃくちゃ多いけど……」
ここ、王都レオーネはアリフラに存在する12の主要都市の中で一二を争うレベルで人が多い。
単純に土地が一番デカいのでプレイヤーが購入できる家が沢山あってここを拠点にしている人間が多かったり、有名な生産職が集まってる通りがあったり、そういう理由で人が多いらしい。
さて、まずは目的を果たすために魔術師になろう……と言いたいところだけど、まだ魔法使いレベルが20に達していないのでもう少しレベルを上げる必要がある。
一応ここまでくる間にもレベルは上がっているけど常に格下相手の戦闘だったので大して成長していないんだよな。
というわけでこの辺りでレベル上げを少ししておきたいんだけど、流石にそろそろ初期装備では心もとなくなってきている。正直杖はともかく防具なんかあってもなくても紙装甲をノリで補強した程度の差にしかならないと思うんだけど、中には魔法の威力に関連する装備があるかもしれないし、せっかくなのでここらで心機一転衣替えとしよう。
「いらっしゃいませ~」
軽装備を売っているらしい店に入ると、温和そうな猫耳の女性が出迎えてくれた。ルナと同じキャットシッカーか。当たり前だけどNPCにもいろんな種族がいるんだよな。
彼女は私を見るなり、壁に掛けてあった装備一式を持って駆け寄ってきた。
「装備が欲しいんですよね? それならこちらはどうでしょう!」
彼女が持ってきたのは青月の法衣という装備のセット。足元まである長いローブが特徴的なセットで、まさに魔法使いが着る感じの装備……なんだけど……
「VIT14か……」
どこのゲームでも大体同じだとは思うけど、アリフラには武器や防具に装備条件がある。
この青月の法衣セットはVITが14以上ないと装備することができない。
そして今の私のVITは13。魔法使い用の装備すら着れないのか……。
「もっと軽いものとかあります? 防御力は高くなくてもいいんで」
「それならこちらですね」
次に彼女が持ってきたのは薔薇の術衣セット。
必要VITは12なので問題なく着れるうえ、魔法の威力を高めてくれるらしい。
「試着とかってできます?」
「ええ、できますよ!」
というわけで実際に着てみた。
袖の分離した特殊な形の胴装備。薔薇の刺繍が施されたプリーツスカートに、膝下くらいまであるロングブーツ。
頭防具は一般的な魔法使いの帽子だけど、薔薇の花が付いているのがいい感じ。
コルセットを巻いているのもあって少し高貴な感じでカッコいいと思う。首のリボンはかわいい感じだけど。
動きやすそうだしこれにするか。
値段は35000リィン。所持金は…………28000リィン。
「……ここって素材の買取とかできます?」
「できます!」
――――――――
フォストリエで集めた素材を売り払うと、序盤の装備にしてはまあまあな額になった。
薔薇の術衣一式を購入し、それから別の店で武器とアクセサリーを購入して残金は約8000リィン。
杖はシンプルに今装備できる中で一番魔法攻撃力の高いものを選び、アクセサリーはMP回復速度を若干速くするものを選んだ。
――装備――
右手:カーカイドの杖
左手:――
頭:薔薇の術衣(頭)
胴:薔薇の術衣(胴)
腰:薔薇の術衣(腰)
足:薔薇の術衣(足)
装1:魔蒐の肩套衣
――――――
とりあえずこれで装備更新が終わったので、次はちょっとレベル上げと金稼ぎを並行するためにクエストを受注してみようと思う。
確かギルドで受けられるはずなので、マップを開いて場所を確認しつつ歩いて――角を曲がろうとしたところで走って来た少女とぶつかってしまった。
「きゃっ」
「わっ。……大丈夫?」
いろいろな種族があるので断言はできないけど、人間なら10歳くらいの少女だ。
注視してみると、綺麗な金色の髪の上に緑色で「ファリス=アーディオン」と名前が表示される。NPCだ。
NPCで良かったな。これが仮にプレイヤーだったとしたらジョブ次第ではぶつかった瞬間にHPがごっそり削られていたかもしれない。
「あ、ご、ごめんなさい! わたしは大丈夫ですっ」
少女はしりもちをついていたけど、特にケガとかはしてないように見える。
それにしても、こんな夜遅くに出歩くには少し若すぎるというか……補導とかされないのか?
それだけ治安がいいのか、それとも何か事情があるのか。家まで送ったりしたほうがいいのかな……なんて考えていると、少女が私の服をきゅっと掴んで話し始めた。
「あ、あの……冒険者さんですよね?」
「冒険者……まあそうか。うん」
「お願いです、わたしをラバロンスまで連れて行ってください!」
[クエスト『ある少女の大冒険』を受注しますか?]
……あ、突発的なだけで普通のクエストか。これもユニークだったらどうしようかと思った。
そういえばこっちには書いていなかったんですけど、別で投稿している「ユーカリの武器製作生配信(仮)」という小説とアリフラは世界観が共通しています。というか同じゲームの話です。
そちらを読むとより楽しめる部分もあるかもしれませんが、基本的にはアリフラだけ読んでいれば全部分かる感じにしていこうと思っているのでわざわざ読まなくても大丈夫です。




