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ISRIGHT -銀河英雄(志望の)伝説-  作者: Penjamin名島
motion03 青の章
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Episode11 「ようやくやっとちゃんと休めるようだな!」



 迫りくるミサイル群、32機がベルトリカに向かってくる。


「おいリーノ、コントロールはこっちに預かる。お前が引き金を持て」


 ベルトリカの標準装備は粒子加速砲と小型ミサイル。


 ただ、敵が一度に32機を発射するのに対して、ベルトリカは6連ポッドが二器基。12機が最大。


「ビーム砲で撃ち落とせるの?」


「安心してリリア、ライフルモードなら射程は十分だから」


 無軌道に飛ぶミサイル群。


 1.2秒間隔で連射が可能なビーム粒子砲が二門。


 着弾までの時間とミサイルの弾数を考えると、一発も外せない計算。


 次々と確実に落としていくリーノ。


 イズライトも使って、ミサイルの軌道を予測して、驚異の命中率で落としていく。


「ダメだよ。残り14機もある。間に合わないよ、無理だよ」


「安心しろちびスケ、俺はどっちかってぇ~と、舵取りの方が得意分野だ」


 ビームをライフルからガトリングに切り替えて、着弾までにリーノは残りを5機まで減らす事ができた。


「リーノ、よく頑張った。あと3秒で残りを落とせよ」


 軌道の読めないミサイルを、後方へ下がり着弾から逃れるベルトリカ。


 少し離れたところで、残りをビームの雨で一網打尽にする。


「きゃあ~~~~~!?」


 残り5機の内の2機が大爆発。


「あたたたたっ」


 リーノは操作桿から手を離し、コンソールで頭を打ち、工作室ではオリビエとソアがひっくり返ってしまう。


「今のは!?」


「反応弾頭が仕組まれていたようですね。ラリー」


「俺、反応ミサイル撃っちゃったんですかぁ!?」


 感知した反応を分析したアンリッサの報告を受け、誰よりも驚いた声を上げたのはリーノ。


「狼狽えんな。お前が落とさなきゃ、直撃食らってたんだ。よくやったな」


 反応弾を落とすまでの、ミサイルの軌道を映し出す。


「見事に隠蔽されてましたね。リーノ、今回のデータを元にシミュレーターを組んでもらうんで、練習しておいてくださいね」


「ははは、……はい」


「どうしてリーノが運転係なの? 武器使ってるほうが向いてるんでしょ?」


 リーノにミサイルの軌道を読めるようになれ。と言うアンリッサにリリアからの質問。


「それはラリーが面倒をリーノに押し付けてるからですよ」


 普段の航行は操舵士が一番忙しくなる。ラリーにとってはそれが一番の問題だった。


「オリビエ、どうだ?」


『大丈夫だよ。ボクの組んだバリアシステムのお陰だね』


「俺の神業的な回避行動のお陰だろ」


『ラリー、そう言って欲しかったからボクにふったでしょ?』


 言葉を濁し、緊張感のないラリー。気の緩みはコントロールルーム全体に。


 リリアロボの中、リリアが首を傾げる。


「なんでみんな落ち着いちゃってるの? 次の攻撃来ちゃうよ!」


「心配ありませんよ」


 メインモニターに煙を上げて、動きを止めているグラップレイダー号が映し出さる。


「リーノがミサイルで反撃不能にしてくれましたから」


 エンジンブロックにミサイルポッド、副砲が破壊され、瀕死状態の田舎海賊。


「リーノお前、俺達の目的を、忘れてたんじゃあないだろうな」


「いやそれがラリーさん、俺、なんの根拠もないんですけど、やっちゃっていいって自信があったんですよ」


 そんな不確かな返答では思いっきり怒られる。そのリリアの予想は外れた。


「結果オーライってことだな。オリビエ、ベルトリカの状態は?」


 ダメージはゼロに等しいベルトリカだが、外観は真っ黒。前もって用意しておいた配線から放電させて被弾を偽装、メンテンンスドックの手配をする。


 メンテナンスは自力か他力かを参加者が決める。


 当然ながら専用ドックで道具も人も揃った状態で修理すれば、復帰までの時間は短縮できる。ただし、メンテナンス船の到着を待たなくてはならない。


 簡単な修理なら自分でした方が早いのだ。


「グラップレイダー号もドックを手配したようです」


 アンリッサは補修船の手配を終えて、工作室のオリビエの元へ向かった。


「畜生、アンリのやろう、ドック入りするまで飲むなだとぉ。到着まで3時間もあるんだぞ」


 各ドック船は、担当チームの後を追いかけている。


「本来なら30分くらいでランデブーするはずですもんね」


 グラップレイダー号を追いかけるために、相応の加速をしたベルトリカに置いて行かれた船が、追いついてくるのに時間がかかるのも先刻承知のラリー。


「ここにいてやるが、俺は寝るからな」


 待っている間にベルトリカは順位を二つ落とすが、予定通りに最下位までゆっくりすると、ラリーがチームリーダーとして決定した。






「久しぶりだな。グレッグ」


「フェゼラリー、人をわざわざ指定しやがって、何を企んでる?」


 グレッグ=バラクーア、銀河評議会の職員。ラリーとカートの旧知の元コスモ・テイカーだ。


「お前らが来るまでに、できる限りの修理は終わらせた。中のメンテナンスはこっちでするから、洗浄だけ頼むわ」


 今、船内ではラリー以外のみんなが、修理やメンテやチェックに大忙し、猫の手も借りたいくらいの大忙し。


 と報告しているが、実際に忙しいのは、オリビエとその手伝いをしているアンリッサ、グラップレイダー号の分析をしているソアとリリア。


 カートとリーノはトレーニングルームにいる。


「お前は修理に加わらなくていいのか?」


「俺は情報収集だよ。こんな所じゃあなんだから、レストルームへ行こうぜ」


 レースの状況は当然の事ながら、参加者より主催者の方が事細かくトレースしている。


「俺を指名した理由がそれか?」


「データはみんな開示するのだろうが、直接聞かないと見えないこともあるだろう?」


「そんな事言って、みんなが忙しくしてるのに、1人飲むのが目的だろう?」


 グレッグとは10歳ほどの年の差があるが、ラリーを対等な友人として接してくれる。


「俺は仕事中だからな。少しなら付き合ってやってもいいが」


「堅い事はなしだ。お前の仕事は俺達のサポートだろ?」


「はぁ~あ、分かったよ。とりあえずは飯だ。その後の事は、その時に話し合おう」


 ドック内の食堂は時間帯を外していて、室内はガラガラだった。


「あれ? ガキんちょにちびスケも来てたのか?」


 ケーキセットを前に、小型端末を操作中の二人を見つけて近付く。


「ちょうどいい所に」


 グラップレイダー号が、どれほど古代文明を用いた船なのかを検討中だった二人。データを探すソアに、端末にまとめるリリア、推論も随分と形になりつつあった。


「グレッグ、紹介するよ。こいつらは俺のチームメイト、イカれた変人共だ。見てくれに騙されるなよ」


「変人の親玉が、何言ってくれちゃってるんだか」


「そうだそうだ、私をソアと一緒にしないで、あいた!?」


 ロボの受けた感覚が、リリアの額で再現される。


 イカれた変人と言う紹介の、一部を実感するグレッグは苦笑する。


「あれ? クルーは総出でメンテナンス中なんじゃあ」


「情報の整理も補修中にしなきゃならないからな。この二人にはオリビエの作業の合間に、そっちの方もやってもらってんだよ」


 口から出任せを、よくもスラスラと。


「それで何か分かったのか?」


「それ、この人に聞かれてもいいの?」


「大丈夫だ。こいつはいざとなったら、俺達の身内になれる男だからな」


「おいおい、厄介事に巻き込むなよ」


「こいつは評議会職員だが、頭の固い木っ端役人とは違うからな。安心しろ」


「お前が俺をどう思ってるのか、よく分かったよ」


 かなり位の高い友人を交えて、ソアの見解を聞かせてもらう。


「あの船をどんな経緯で、無認可海賊の手に渡ったのかは知らないけど、あれはランベルト号と同じ、古代文明の遺産の寄せ集め。向こうほど完成度の高い代物ではないけど、そんじょそこらの最新鋭船とは、比べものにならないスペックを持ってるわ」


 観測データから、搭載されているエーテル機関や高濃度フェルミ粒子砲、反応弾頭を搭載できる小型ミサイル。


「出所か……、後でアポースのおやっさんに報せるか」


「おいラリー」


「どうした?」


「なんて厄介な話を聞かせてくれたんだ」


「あっ?」


 評議会職員は、聞かなかったでは済ませられない話に、頭を抱えて悩ませる。


 ベルトリカがメンテナンスドックを出るのは、10時間後とラリーはメンバーに通達した。

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