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ISRIGHT -銀河英雄(志望の)伝説-  作者: Penjamin名島
motion03 青の章
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Episode06 「またかよ! あのクソ……!!」



 今回はベルトリカチームへの依頼が、リーノを通して無人戦隊ジャッジメントオール、ブルーティクス隊長、フォレックス=マグナ当人からあった。


 リーノに依頼に答える権限はなく、隊長に了承を得て回線をアンリッサに回した。


 正規のプロセスを経て交渉をしてもらい、間もなく改めてオーダーが回ってきた。


「ったく、なんで俺達まで」


 アンリッサの鶴の一声で、カートと共に依頼を引き受ける事になったラリーがぼやく。


「しょうがないんじゃあないか、リーノと言うよりベルトリカが必要な依頼なのだから」


 オレグマグナ主催、銀河評議会開催の宇宙船レース。


 当然、公的な賭けレースとなり、多くの経済効果が見込まれる。


「見せ物になるようなこんな依頼を、よくあのアンリが受けたよな」


 ノインクラッドをスタートして、キリングパズールを通過し、ワールポワートを折り返してスタート地点に戻ってくる。


「これを通常空間で行うってのか」


「そんなのランベルト号が圧勝しちゃうじゃない」


 詳細を読むカートの肩越しに、リリアが彼のウイスクを覗き込む。


「いや、ランベルト号は参加しないって、フォレスさんは言ってたよ」


「そりゃ、そうだろう。あんな非常識な船を参加させたら、賭けの対象になんてなりゃしないだろう」


 ラリーはそう言うが、ベルトリカにブルーティクスがいるだけで、賭けは成立すると思わせることができる。


「それでどんな対抗者がいるんだ?」


 カートは話を進める。


 参加表明チームはベルトリカとブルーティクスを含めた8チーム。


「同業者はジャッジメントオールだけか。ってこいつら犯罪者じゃあないかよ」


「知ってるんですか? ラリーさん」


 英雄と呼ばれるようになってからは、自分達から仕事を探すことのなくなったチーム・ベルトリカ。


 その事件の発生推測場所が、リゾート惑星ワールポワートとあって、不純な動悸で依頼書を勝手に手に取ったラリーは、いつも通りにアンリッサに叱られた。


「ブックレットファミリー、ドン・ブックレット。もう牢獄から出てきてたのか」


 闇取引の現場を押さえ、ラリー史上最速で事件を解決してできた空き時間を、リゾート惑星で存分に羽を休めたのは2年前のこと。


 親玉を取り押さえたとあって、報酬もかなり高かった案件は、たかが2年で出てこられる刑のはずがない。


「多額の保釈金でも払ったのだろう?」


 カートは適当に答えて話を続ける。


「こっちは海賊だな。発掘船だとうそぶく“グラップレイダー号”を駆る、“真摯の夜明”とかいう、ふざけた連中か」


「海賊が発掘船を?」


「リーノ、そんなもん嘘に決まってるだろ。そいつらまだ何も問題なんて起こしちゃいない無認可海賊だぞ。ネットニュースの片隅にしか出てこないようなチンピラさ。カートも大袈裟に読まなくていいだろ」


「いや、だからこそ無視できないんじゃあないか?」


 ベルトリカやブルーティクスが参加するレースにエントリーしてくるだけ、自称発掘船に自信があるのだろう。


 噂の真相を知る、いい機会ではある。


「えーっと、あとはキリングパズールの金持ちが二組と、ノインクラッドからの二組って、いいのこれ参加しても?」


 ソアがデータを読み上げ、気になる部分を強調して、メインモニターに映し出す。


「キリングパズールの金持ちって、これミリシャじゃねぇーか」


 フィッツキャリバーからの参戦チーム“ミリーズパイレーツ”。


 登録名“キャンショット・キャリバー号”。


「ランベルト号に比べて、かなり小さくてシャープなフォルムですね」


「ホント、足無しの烏賊ね」


 リーノが言おうとした事を、リリアがそのまま口にする。


 もう一方の金持ちは。


「ただの偶然じゃあないよな」


「こんな偶然ないでしょうし、そんな恥ずかしい真似する人もいないでしょ」


 登録者名サラーサ=ファンビューティー、怪盗セレブ号で参戦とある。


「こっちもそうだよね」


 リリアが指差したのはノインクラッドからの参加者。


「ヘンゼンブル=サンクペス? ああ、顔出ししてんだ。これ、本名かな?」


「ドクトル・ヘルかぁ、トンでもないイベントに呼ばれちゃいましたね」


 ボトルを並べるラリーが4本目を開ける。


『もう、ラリー! いい加減にしないとアンリに言いつけるよ』


 文句をいいながらもティンクは新しいボトルを用意する。


「はははっ、そんじゃあこれで最後にするよ」


 曲者ばかりの参加者達の中で、ノインクラッドからのもう一チーム。


 みんなが気付きながらも誰も触れないチームを含め、レースは一月後にスタートする。






 通常空間で航行をすると、一般の輸送船で一年はかかるであろう距離を競いあう大レース。


 この地に集った人類の叡知の結晶は期限を一ヶ月として、銀河評議会が出資する莫大な賞金獲得を目指す。


「優勝したところで、俺達のもんにならないんだろ?」


 依頼内容が確定してからのこの三週間、ずっとぼやき続けるラリーをコントロールルームから追い出し、残りメンバーは最終フェイズを進める。


「今回もよろしくお願いします」


「全くあのジジイはよ」


 客人の相手を任されたラリーは、ボトルの栓を開けて一気に煽る。


「だめですよ。飲酒運転になっちゃいます」


「大丈夫だよ。こいつはソフトドリンクだ。栄養剤だよ」


「本当ですか? ちょっとチェックさせてもらいますよ」


「嬢ちゃんも警官らしくなったもんだな」


 抗うことなく呼気チェックを受け、次のボトルを開けると、気配を悟ったクララリカ=クニングスは飲む前にそれも調べる。


「ラリーさん……」


「お約束だ、お約束」


 舌打ちをするラリーに満面の笑みを浮かべて、ボトルを奪い取りテーブルの上に置く。


「俺達はオレグマグナの御曹司から、依頼を受けたはずなんだがな」


「まだ言ってるんですか? 無理ですよ。警部補がそんな話を聞いてくれないのは、ラリーさんが一番知ってるでしょ」


「ちっ!」


 更に出したボトルもクララにあっさり取り上げられ、不機嫌ラリーは無言でコントロールルームに戻った。


「それじゃあ皆さん、私は“クーランゲル”に戻ります」


 ラリーに続いてコントロールルームに顔を出し、クララはこのレースの為に建造された警察チームの高速艦に戻っていく。


「どうしたラリー?」


「なんでもねぇよ。準備は済んだのかよリーノ」


 カートに噛みつき、リーノを威嚇する。


「はい! あ、えーっと……」


「もう全項目のチェックは完了してるわよ。後はキャプテンの号令待ちだったの」


 あたふたするリーノに代わってソアが報告をしてくれる。


 操舵士、ボサリーノ=エギンス。


 副操縦士兼電算士、ソア=ブロンク=バーガー


 機関士、カーティス=リンカナム。


 索敵士、リリアス=フェアリア。


 整備士、オリビエ=ミラージュ&ベル。


 メインAI、ティンク=エルメンネッタ。


 そして船長フィゼラリー=エブンソン、火気管制士。


 ベルトリカ総員5名+高性能人工知能2。


 スタート地点に到着し、レース事務局の最終チェックをクリアした。


「ティンク、残り時間は?」


『あと、30分』


 スタートは10分置きの時間差で行われる、順番は事前のくじ引きで決められている。


 1番手、“ドン・ブックレット号”、登録者名“ドン・ブックレット”。


 2番手、“怪盗セレブ号”、登録者名“サラーサ=ファンビューティー”。


 3番手、“グラップレイダー号”、登録者名“真摯の夜明”。


 4番手、“キャンショット・キャリバー号”、登録者名“ミリーズパイレーツ”。


 5番手、“ベルトリカ号”、登録者名“チーム・ベルトリカ”。


 6番手、“デルゼルブス5228号”、登録者名“ヘンゼンブル=サンクペス”。


 7番手、“クーランゲル号”、登録者名“銀河評議会警察機構軍”。


 8番手、“ブルーティクス号”、登録者名“ジャッジメントオール”。


 参加チームが増えることはなく、全8チームが1時間10分をかけてスタートし、大レースの火蓋が切って落とされた。

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