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ISRIGHT -銀河英雄(志望の)伝説-  作者: Penjamin名島
motion03 青の章
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Episode03 「やればできるもんなんだな!」



 この街で定期的にやってきては、世間を騒がせる犯罪者は3人。


 独自の理論で人型機械を悪魔のマシーンに仕立て上げるロボット工学者、ヘル・サンクスペスト。


 人一倍目立つことを好み、ただ興味を持った物に執着し、迷惑を撒き散らしながら奪い去ろうと大暴れする怪盗セレブ、サラーサ=ファンビューティー。


 どんな乗り物でも超一流に乗りこなす元傭兵、ギブン=ホグワープ。通称マスター・ギブン。


 定期的に現れては、己が欲求を満たすのだが、ここ最近の立て続けに起きている事件には関わっていない。


「それはつまりどう言う?」


 前を歩く隊長にリーノは尋ねる。


「あの用意周到で抜け目ない三人と違って、ここ最近の犯人は全て逮捕されているんだ」


「そして誰も、その三人との接点がない?」


「その通りだ」


 対戦そのものが初めての相手には、アームボンバーも有効であったりする。


「もぐりの犯罪者があんなロボットを持ってるなんて」


「そうなんだ。モビールならともかく、巨大ロボットなんてどこで手に入れているのやら」


 取り調べの内容を警察から回してもらっているが、中には初犯のチンピラまでいて、なにがこの街に起こっているのかがまだ見えていない。


「そうだ、ようやく完成したんだよ例の」


「本当ですか? おめでとうございます。俺、シミュレーターで見た時から興奮が止まなかったんですよ」


「本物を見る前からかい? まぁ、ボクも一緒だけどね」


 不謹慎ではあるが、次の出番が楽しみとなったフォレスとリーノの元へ、出撃要請が舞い降りる。


「今回は俺達もブラストレイカーで出ます」


「了解だ。だが見せ場を渡すつもりはないぞ」


 リーノはベルトリカに連絡を入れて、アークスバッカーと夜叉丸の利用許可を要請した。






 結果として先輩のモビールを借りることはできなかった。


「信用してたのに……」


「信じる方がどうかしてるのよ」


 コパイにいるソアの溜め息が重くのし掛かる。


 ブレイブティクスの合体と、警察が犯人を公園に追い込むのがほぼ同時で、どうやら今回も犯人はブルーティクスと初対戦の相手のようだ。


『フォレス、あいつ距離を取って、ライフルを構えてるわ』


『俺達の事をよく知っているということだな』


「隊長、俺が牽制しましょうか?」


 シュピナーグはブルー4号機と5号機と横並びに待機して、敵ロボットを標準内に収める。


『リーノ君はそこで見ていてくれ、行くぞ鉄拳アームボンバー!!』


 ブレイブティクスの左前腕が火を噴き、一直線に敵ロボット目掛けて飛んでいく。


 その攻撃を読んでいた犯罪者はサイドステップで躱そうとしたが、思った以上のスピードと軌道変化する前腕は見事にヒットした。


「よし、成功だ」


 敵ロボットの左肩の装甲を殴り飛ばした。


 これまでダメージを与えるどころか、当たることもなかった自慢の兵器が初ヒットしたのは偶然ではない。


 空飛ぶ鉄拳はこれまでのデータの蓄積を元に、ブルーティクスにもたらされた新装備“グラビティーウォール”から発生する重力波の干渉が、どう作用すればいいかの計算の結果がだった。


『次々行くぞ』


 重力波で完全制御された鉄拳は、完全にコントロールができるわけでなく、敵を殴り終えた後は地面に落ちるだけ。


 稼働腕に付け替えて接近戦を仕掛ける。


 いつものパターンなら、ここで青皇剣を落としてもらうのだが、フォレスはもう一つを試したくて無警戒に突っ込んでいく。


『なんのつもりだぁ!』


 犯罪者が叫んでライフルを構えるが、左腕が思うように上がらず、不安定な銃身が向けられる。


『くそ、あたらねぇ!?』


 敵は銃身を右足で蹴り上げ、奇跡的な一撃がブレイブティクスのコマンダーコクピットに向かってくるが、銃弾は目前で重力波に阻まれて跳ね返り、ブレイブティクスは敵を抱きしめた。


「た、隊長?」


『くらえ、ブレストブラスター!』


 ロボット同士のハグはお互いの胸元に激しい炎を燃やし、膝を付いて崩れ落ちたのは犯罪者だった。


「まさか放熱板で本当にダメージを?」


「あれは今までのただの熱い鉄板じゃあないわね」


「なんかすごく赤くなってたもんね」


 リリアも自分のモビールをシュピナーグの上部にドッキングさせて、こっちに来ていて騒々しかった。


「もしかして本当に熱線が出るように?」


「そんな訳ないでしょ」


 モニターしていた画面を少し巻き戻し、ソアはカラクリを見抜いた。


「なるほどね。あれはただの演出。せめてもの隊長のこだわりってところね」


「どういう事、リーノ?」


「俺に聞くなよ」


「あの胸の飾りは前回までの発光体じゃあないのよ。見なさい」


 重なり合う二体の胸元をズームして、映し出されたのは多くのビーム発信器。


「赤いパネルの下から顔出したあれで?」


 リーノは目を凝らし、どうなっているのか確認しようとするが、そんな簡単な話ではなく。


「なぁんだ、ただのビームでやっつけちゃっただけなの?」


 リリアがガッカリしたように大きな声を上げる。


「すごい事よ。多分あれならくっついて誤魔化さなくても、あのマンガアニメーションの攻撃みたいに見えるんじゃあない?」


 無数のビームが一斉に照射され、束になって飛んでいく。


 離れれば一個の熱源として、敵に伸びていくように見えるだろう。


「実際に見てみないと、どんなかは想像もできないけどね」


 一つ一つの発信器が小さいので飛距離は短いだろうけど、フォレスの夢は形を為した。


『ま、まだだ』


 胸部装甲板が剥がれ落ち、コクピットが剥き出しになったロボットを立ち上がらせる。


 根性は認めるがそれで何ができるわけでもない。


 既に青皇剣を受領済みのブレイブティクスは大上段からコクピットを避けて袈裟斬りにトドメを刺した。






 オルグマグナカンパニーは本社をキリングパズールに置いてはいるが、工場はノインクラッドにあるこの銀河最大の造船業者。


 トキオーガシティーにある本社にも実験施設があり、ここでは主に宇宙船のデザインと、新型機材の開発が行われている。


 ブルーティクスは特に評議会の認可を受けて、解析された古代文明のデータを元に、超科学を蘇らせることを期待され、いくつもの成功を残してきた。


 前回のランベルト号が大奮闘して、手に入れた重力波ユニットの実戦データを元に、オルグマグナで造り上げたグラビティーウォールが夢を現実に変えた。


「飛ばした拳が戻ってくる。まではいかなかったよ」


 夢にまで見た鉄拳の勇姿が目に焼き付いて、押さえ込まないとまだ興奮しそうな目を輝かせるフォレス。


 仲間のボールズも人型になって、会見の準備中。


 犯罪者がロボットを使って騒動を起こし、それを鎮圧するたびにメディアに報じられるブルーティクス。


 流石に最近は頻度が高すぎて、一週間に一度となっているが、これもまた評議会から課せられた大事な仕事とあって、フォレスは忙しい業務を更に切りつめて時間を作り、寝る間も惜しんで奮闘している。


 夢の飛んでく鉄拳と胸の放熱板を、それなりに形として実戦で活躍させることができた興奮は活力に変わる。


 フォレスには実現させたい夢がまだまだ数多く残っているが、そんなことばかりにかまけてもいられない。


「実際問題、このところのロボット事件はどうなっているんだ?」


 大男のバックスがフォレスの後ろから、彼の旋毛を見つめながら聞いてくる。


「警察も詳しいことは、何も分かっていないって話なんだよね?」


 お調子者の細マッチョ、フォレスの左前を歩く男性型のボールズ、クロードが頭の後ろで手を組み、天井を見上げて疑問を被せてくる。


「そうね、逮捕者はみんなロボットを貰ったと言っているらしいけど、そんな与太話を報告書にして、それがまかり通るとか本気で思っているのかしら、使えない能無しさん達」


 最後尾にいる、フォレスと目線の高さがほぼ同じな長身スレンダーボディーの美女、レイラが一見クールそうな表情の口から毒を吐く。


「ほらほら、今は会議中じゃあないんだから、自分の仕事をこなすことだけ考えてね。特にクロードは何も喋らない約束、忘れないように」


「へいへい、全部お姉様と隊長にお任せしますよ」


 ボールズを束ねる幼顔の美少女、フローラが纏めた資料の入ったタブレットをフォレスに渡した。


「ありがとう、問題は山積みだが、今は今日の勝利を素直に喜ぼうじゃないか。ボク達が無敵を誇れば、この街から犯罪者はいなくなるさ」


 会見場には既に多くの報道陣が集まっていた。

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