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ISRIGHT -銀河英雄(志望の)伝説-  作者: Penjamin名島
motion02 赤の章
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Episode20 「一番大変なのはこのチームだな!」



 カート達が引き受けたのは、この小さな惑星の反対側に、族長ブランカが忘れてきた思い出の品。


「また地下迷宮なのかい?」


「今度のは天然物だ。聞いた話ではそんなに深くもないらしい。その先は平原や森林だということだ」


「なら目的地までモビールで行けばいいのに」


「そうもいかん事は、お前も分かっているだろパメラ=ビオフェルマ」


 目的の洞窟入り口までは夜叉丸で来て、入ると直ぐに異形の怪物が襲い掛かってくる。


 パメラはレーザーガンで3匹のモンスターを退治すると、カートが突っ込んで2匹をレーザーソードで斬り倒す。


「へぇ、良くできてるな」


「確かに敵対キャラの作り込みは素晴らしいが、最大難易度でこの程度か」


 手に持つレーザーソードはほんのり温かく、一番重い物を借りたのに、それでもカートには軽すぎて振るのが難しい。


「この銃もすんげぇ軽いぜ」


 ここフェラーファは、観光惑星ワールポワートから、さほど遠くない宙域に建造された人工惑星だ。


 ノンビリ癒されることを目的とするワールポワートと、直接ゲートウェイで繋がるアトラクション惑星だ。


 滅んだ本当の惑星フェラーファの代わりに、妖精族の生き残りを移住させるために建造され、保護区以外を遊技場とし、得られた収益で維持をしている。


 保護区に入る申請書は、同意する規約が山ほどあり、全てを通過するのに半日ほどかかるが、アトラクション区はチケット一枚で入れるとあって、子供連れで大盛況。


 この洞窟にも2時間待ちでようやく入れたのだ。


 昨晩はパメラに連れて戻されたリリアも一緒に、族長が帰った後の、村長むらおさの家に泊めてもらった。


 一晩経った今もリリアの機嫌は直っていない。


 今もカートの背中で彼女専用ボックスに籠もっている。


「とにかく、族長の忘れ物を見つけないとな」


 この星の住人であるフェラーファ人は、施設の休日に優待されることがあって、遊ばせてもらうことがある。


 族長一家ももちろん何度か招待に応じていて、リリアとソニアも子供の頃にここへ来たことがある。


 捜し物は思い出の品だと言うが……。


 最大難易度と言うだけあって、出てくるモンスターの数は半端ではないが、プロのテイカーなら駆け出しでも簡単にクリアーできるレベルだろう。


「第2ステージ、族長が取ってこいって言った物って、第4ステージにあるんだっけ?」


「ああそうだ。だが1ステージが思った以上に長いな。もう少し歯ごたえがあるといいんだが」


「もう少しはランクアップするはずだけどね」


 アトラクションである以上、「怪我がないように」を大前提に作られてはいるが、万人が楽しめないとリピーターがつかない。


 第1ステージでは補正程度だったレベル変更は、火口エリアの第2ステージになると、プレーヤーに合わせた難易度設定が働き、実力の数十分の一も出していなかったパメラは、半分くらいの力量を使わされる事になった。


「遊びだとしても、まだ物足りない」


「ハンター養成所の実戦訓練レベルと言ったところか。俺達は遊びに来たわけではない。先を急ぐぞ」


「営業日だから止めるわけにもいかない。せめてカーティスの旦那のイズライトが使えればね」


 この星ではフェラーファ人以外は、イズライトを発動できない。


 人工惑星のここで、そんな不思議な現象が起こるのは、イズライトの秘密にフェラーファ人が関係すると仮定されているが、今はまだ何もわかっていないに等しい。


 評議会にイズライトを研究する機関が発足し、惑星の内側にも設置されている。


「これも仕事だ。俺達が手を抜いている訳じゃあないんだ。愚痴はその辺にして行くぞ」


「へいへい……」


 洞窟から平原エリアに入る第3ステージに進んだが、ここでは第2ステージに上がった時ほどの飛躍的なレベルアップはなく、あっさりとクリアした2人は第4ステージを前に、どのエリアからでも入れる喫茶室に立ち寄った。


「美味いなこれ、ランベルト号でも作ってくれないかな」


 パメラが注文したのは、ノインクラッドに本店を構える人気のラーメン店、中でも注文の多い醤油とんこつラーメン。


「あんたも料理上手だと聞いてるけど、これも作れんの?」


「まったく同じものは無理だな。だが俺の作る物も負けているとは思わん」


 カートは少し高級なコース料理から、単品で三皿ほどを注文した。


「まだキリングパズールには行った事がなくてな。あそこの料理はどこも手間も金もかかっているから、レシピ本も少なくて、まさかこんなところで食べられるとは思ってもみなかった」


「行った事ないって、あんたらが一躍有名になった時に行ってるだろ?」


「いや、俺は……行ってない」


 カートは更に追加注文をし、ここから後は無言となる。


 もう会話を続ける事はできそうもない。


 重い空気がさっきまで楽しく、美味しかった食事の味を落とすのだった。






 森林エリアの第4ステージ、このエリアの最奥部が目的地である。


 衝撃を受けるほどの変化、モンスターロボットの攻撃力の向上。


「何があったっての!?」


 パメラは先程のインターバルで銃を追加し、気軽に気楽にクリアーしようと考えたが、ここのモンスターは武器を増やしたところで、玩具のレーザーガンでは一匹たりと倒せやしない。


「パメラ=ビオフェルマ、銃を抜け!」


「なに言ってんだい、他に銃なんて」


「惚けてる場合じゃあない、さっさとこいつらを動けなくするぞ」


 カートは烏丸を抜き、遠慮なくロボットを斬った。


「お、おいおい」


「お前も早くしろ!」


 迷いなく次々とモンスターを切り捨てていくカートだが、パメラにはまだ戸惑いがある。


「首だ。そこに集中しろ」


 この施設で使われているのは、一般普及率が70%を超えるワークロボットだと、昨夜ベルトリカに連絡した時に確認している。


 首のケーブルさえ切れば、体が動かなくなる。


「被害は最小限で済むと言われても……、責任取ってくれるんだろうな」


 パメラは玩具を投げ捨てて、小型だが十分殺傷能力のあるハンドガンで、次々と湧いて出るモンスターを停止させていく。


「ど、ど、どうなってんだ、どこからこんな数が湧いて出てくるんだよ。旦那?」


「おそらくこの施設で運用中の全てだ。と言う事は……」


 カートの投げた小刀は、目標に刺さる前に地面に叩き落とされた。


「やはりお前の仕業か、ヘレーナ=エデルート」


「あらあら、ばれちゃった」


 物陰に隠れてこちらの様子を窺っていたのは、お馴染みとなっている幼馴染みだった。


「ソニアル=フェアリアだけか?」


「他の連中はここを封鎖するのに手が塞がってるから、私達2人だけよ」


「それでなんの用だ?」


「ただの嫌がらせよ。ここで手に入る物を横取りするのもいいかな。と思ってね」


 他の二件に手を出しても無駄足になる。けれどカートのチームになら手を出せると思い、ちょっかいを出しに来たのだ。


「お前の相手は俺だ」


「二人だけじゃあないじゃあないか?」


 パメラが突っ込みを入れるが、ヘレン達とは敵対しているのだから、こちらを出し抜こうとするのは当たり前のことだ。


 背後に回ったベックが斬りかかってくるが、気配ならヘレンを見つけた時点から感じていた。

「嫌がらせにしては手の込んだイタズラだな」


 モンスター相手はパメラに任せ、カートはエデルート兄妹の相手をする。


「ここならあなたはイズライトを使えないからね。ロボットのプログラムをちょっと弄っただけよ。可愛いイタズラでしょ」


 何が可愛いものか。このチームにソアがいれば、同じような事をしていただろうが、冗談で済まされる状況ではない。


「さあ、この間にあなたは先に、こいつらの狙っている物を押さえに行きなさい」


 イズライトが使えない以上、ソニアにも戦闘能力はない。


「わかった」


「待ちなさいよ、姉さん」


「やっと出てきたか、リリアス」


 姉の声を聞いて、いてもたってもいられなくなったリリアが飛び出してくると、カートはウイスクを操作して、夜叉丸から新装備となるモジュールを呼び寄せた。


「追うならこれを使え」


 それは夜叉丸とブラストレイカーの新武装。今まで飛び道具のなかった夜叉丸の砲台として上部にドッキングし、合体巨兵時には連射可能なハンドビームガンとなる。


 そして単体でも、体高2メートルほどの人型となる。


「これを私に?」


「こいつはお前専用のモビールだ。オリビエの傑作だからな。上手く使いこなせ、普段使ってる物とさほど変わらんそうだ」


 このサイズでも大気圏を越えられる性能があるらしく、クリミナルファイターとも戦えるという、制作者が自信を持って渡してくれた代物だ。


「頼んだぞ」


「任せて!」


 塞ぎ込んでいた妖精族は、意気揚々で姉ソニアを追いかけていった。

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