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ISRIGHT -銀河英雄(志望の)伝説-  作者: Penjamin名島
motion02 赤の章
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Episode11 「これがチートってヤツか、えっ、違う?」



「いいから脱いで、上半身だけでいいから、早く!」


 理由を聞きたいが、勢いに押されてリリアはロボットを脱がせる。


 ロボットを脱がせないと外に出られないのが弱点だとリリアは感じているが、自分に脱げと言う命令を実行するためには、外に出ないといけない。


「違う違う、脱ぐのはロボットでいいから、そのままでいて」


 服の中は精巧に作られていて、男性には見せたくない姿でストップがかかる。


 こんな姿でいったい何が出来るのか、考えても分からないリリアだったが、外からの衝撃でこのロボットの身に何かが起きている事を実感する。


「クララ、もう一踏ん張り動ける?」


「だ、大丈夫だよ。何本か骨折れたけど、筋肉で固めたから二、三回なら突っ込める」


 筋肉を動かして体の状態を確認したクララは、ふらつきも抑えてしっかりと仁王立ちする。


「それじゃあ……はい、これ持って」


「なんなんです、そのオッパイ?」


「リリアの棺桶」


「ちょっと待てぇ!」


 胸部ユニット、ロボットのコクピットをクララに渡し、ソアはそれを持ってガードロボットの後頭部めがけて跳べと言う。


「跳べって、私一人ならカウンター食らっても耐えられるけど、リリアちゃん持ってだと、そうもいかないよ。あっ、だから棺桶か」


「だから説明しろウガー!?」


 眩い閃光弾で動きを止めてはいるが、あれでは他のセンサーまで狂わせはできない。


「そんなの気にしないでいいから」


「気にするわ。棺桶呼ばわりされて、投げ出されでもしたら冗談じゃあ済まないでしょ!?」


 ソアにリリアの抗議を聞いてやるつもりはない。


「行って!」


 考えている暇もない。


 閃光でショートした視覚回路の修復が終わり敵が動き出す。


 よく分からないままクララは走る。


 後ろからミサイルが一基、巡査の頭の上を通過していく。


 ガードロボットに同じ手は通用しない。


 ミサイルは敵の真正面まで辿り着きはしたが、着弾前に叩き落とされる。


「あれって、スモーク弾ですか?」


「そう、チャフ入りの特別版」


 クララはガードロボットの背後に回り込み、一気に跳ね上がる。


「よし、センサーは働いてない。リリアの背中をそいつの後頭部に押し当てて!」


 ソアに言われるままに胸部ユニットを押し付ける。


 胸の弾力があまりにリアルで、思わずしっかり揉んでから落下していく。


「リリア、8番スロットをオンにして」


「ちょっと説明してよぉ」


 リリアも言われるままに操作する。


「……止まった」


 ガードロボットの足下で尻餅をつくクララは、右でも左でもどちらにも跳べるように構えて立ち上がるが、煙幕が晴れても攻撃がくる事はなかった。


「よし、乗っ取った。リリア、もうちょっと我慢してね」


「だから説明してぇ、えぇ、えーっ……」


 ロボットの後頭部から外れた胸部ユニットは、リリアを乗せたまま落下するが、クララがキャッチして床との激突は回避できた。


「もう大丈夫よ」


「どういう事ですかソアちゃん?」


 胸部コクピットを本体とドッキングさせながらクララは聞いた。


「完全自立型マシンの不変の弱点ね。ロボット工学者ならメインプログラムの書き換えなんて、簡単にできるからね」


 世のロボット工学者のほとんどが首を横に振る離れ業で、ほとんど戦わずして驚異を払いのけ、三人は先に進もうとする。


「……きっとここから次に向かうのよね」


「それらしい物は他に見あたらないものね」


 リリアは大きな扉の前に立ち、ソアは辺りを見渡すが、やはり進めるのはここだけのようだ。


「どうやって開けるの?」


「コンソールも鍵穴もなさそうね」


 ここまではかなり順調だった。


 何か見落としがあったとしても少し考えれば、その何かを見つける事ができる予感がある。


「もしかして……」


 ガードロボットのプログラムに検索を掛ける。


「……あった」


「何が?」


 クララが巨大な隔壁を殴り壊せないか試し、ビクともしないことに悔しがっている。それを楽しげに眺めていたリリアがソアに向き直る。


「このガードロボットを破壊したら連動して、この扉が開くようになっていたのよ」


 プログラムの内容を一部変更すると、音を立てて隔壁が開いた。


「さあ行きましょう」


 次で最後だといいのだが、それぞれに疲労感と武装の浪費は、ギリギリまで切羽詰まっている。


「よう、思ったより早かったじゃあないか」


「パメラさん、お待たせしましたか?」


 三人がリーノチームと合流したのは、さっき潜った隔壁と同じサイズの扉の前、パメラは地べたに腰を降ろし、手に持っているのはラガーの缶。


「そんなに待ってないよ。まだこれも三本目だし」


 リーノは横になり、いびきを掻いて寝ている。


「無事に合流できたようですね」


 ノエルは読んでいた紙の本を閉じ、顔を上げて三人を迎える。


「ちょっとリーノ、起きなさい」


 リリアはリーノの肩を揺さぶり、クララはパメラの横で正座をする。


 自然ノエルに声を掛ける役回りとなるソアは、状況の確認をする。


 リーノチームもノエルのお陰で最小限の戦闘で、ここまで来る事ができた。


 ただリーノの残弾が心許なくなっており、軍用機との戦いでパメラが負傷し、待っている間に手当は終わらせたものの、ゆっくりと休息が取れてたわけではない。


「彼も随分と疲労を溜めたみたいですね」


「そうですね。正直、エギンスさんの働きがなければ、あなた達を待たせたのは私達だったでしょう。それにしても……」


 ソアの後ろに控えるガードロボットに目を向けて、ノエルは頭を抱える。


「あなたの手に掛かれば、フィッツキャリバーのロボットも無力に等しいのですね。まさか無傷で手に入れてしまうとは」


 しかしそうなるとである。


「我々はそのガードロボットを簡単に無力化する方法がなくて、仕方なく破壊したのですが、となるとつまりそちらは、鍵を手には入れてないという事になりますよね」


「鍵?」


「少々荒事が過ぎて、いったいロボットのどの部分から出てきたのか分かりませんが、これです」


 ノエルは手の平サイズのメダルを取りだし、それを鍵と呼んだ。


「あそこにコンソールがあります」


「へぇ。……あっ、ピッタリ合う」


「そうなんです。いったい何のためにと少し調べたところ、メダルの中にマイクロチップが埋め込まれてました」


 マップにある最後のエリア、その奥にある宝物庫。そこへ入るための鍵はロボットの中というわけだ。


「わざわざ無傷で無力化してもらったのですが、解体しなければ最後の鍵を手に入れられないようで」


「ノエルさん、ノエルさん」


 パメラとお喋りをしていたはずのクララに声を掛けられ、顔を上げれば彼女は何かを指さしていて、その視線を追いかければ。


「あれじゃないんですか?」


 ガードロボットの腰の辺りに、確かにノエルが手に持っているのと、同じエンブレムの入った円章が付いている。


「クララ、それ取れそう?」


「試してみますね、ソアちゃん」


 ブーストアンクルを使って跳び上がり、エンブレムに手を掛ける。


「あっさり取れちゃいましたよ」


 ノエルはそのメダルを受け取り、チェックすると、こちらにもマイクロチップが入っている事が確認できた。


「さて、どうしますか?」


 パメラが4本目を開け、リーノはまだ少し寝ぼけている様子。


「休憩しますか?」


「いや、今すぐに進んでもかまわないよ」


 一気飲みで缶を空にするパメラと、伸びをするリーノ。


「俺ももう十分休めました」


 ソアのチームも休む必要はない。


「では行きましょう」


 最後の扉が開き、その向こうが見えてくる。


 一同は唖然とし、ノエルは頭を抱えた。

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