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ISRIGHT -銀河英雄(志望の)伝説-  作者: Penjamin名島
motion01 白の章
21/144

Episode21 「ボーナスポイントがやって来やがった!」



 夜叉丸が戻ってきた。


 パイロットも搭乗している。


『こんな場所で開戦か?』


「あの船が通常空間に出てきて選んだ場所だからな」


『それにしてもトンでもない数を引き摺り出したな』


 警察艦隊はラリーからの報告を受けているので、無駄と知りながら全方位から古代船目掛けた一斉射を開始。


「数だけは立派だけど、あれじゃあ何の意味もないな」


『いや、あれだけエネルギーの無駄遣いをしてくれれば、あの船も空間断層から抜け出せない、位相差空間への跳躍もできんだろう』


 カートは敵の手中に落ちたお陰で、色々と重要な情報を得る事が出来た。


「狙いはいいが、あれを起動させる事はなかったんじゃあないか?」


『それは不可抗力だ。俺は俺の仕事をこなした』


 カートの主張としては精神操作を受けて、古代船のシステムユニットに侵入する事を強要された結果、起動させられただけなのだ。


 今はリリアロボットの脳波コントロールユニットと、古代船のコンソールを接続させて、ベックが直接操っているはず。


 カートが我を取り戻したのは、そこまでの段取りが終了した後だった。


 本当なら操られた精神はソニア、あのフェニーナにしか解除できないのだが、精神コントロールはフウマの諜報員なら、最初に訓練を受けさせられる初歩のスキル。


 薬物を使われて自由を奪われた時間もあったが、麻痺が治まれば自我を取り戻すのは難しい事ではない。


 精神操作を脱したカートだったが、脳波コントロールを受けた古代船のシステムを奪う事は敵わず、脱出ポッドを一機頂いて飛び出すのが精一杯だった。


『弱点とまでは言えないが、ヤツのスペックは知る事が出来ただろう?』


「そうだな。それじゃあ俺達もお宝奪還に加わろうか?」


 カートがラリーに合流する直前に通信があった。


 夜叉丸を誘導するアークスバッカーが発進した後、二機のモビールがベルトリカを襲っている。


 その一機はカートに見覚えがある。


『バシェット=バンドールか?』


 あの時放置した機体は回収され、がさつな大男は戦線復帰した。


『もう一方は、デルセン=マッティオと言うエルガンド人です』


「遅くなって悪かったなリーノ」


 大振りのバシェットの機体と違い、デルセンのモビールはパイロットらしく、小振りでスピードと機動力を重視したスタイルをしている。


 小さめのコアユニットの後部にブースターを付けただけの簡単なメインブロックに四本の細いアームを持つ、シンプル機構の体中にスラスターが付けられ、縦横無尽に飛び回る。


 二機の相反する敵対者に足止めを喰らい、ベルトリカは前に出る進路を確保できない。


 チーム一のスピードを持つシュピナーグだが、デルセンの機体に翻弄され、パワーでもバシェット機に押され、ダメージは負ってないものの、打開点は全く見出せない。


「よく持ち堪えたな。これだけできれば上出来だ」


『あ、ありがとうございます。疲れたぁ~』


 能力全開で緻密な操作を続けてきたリーノはパンク寸前。


『私も目が回っちゃったよ』


「あん? おお、ちびスケか」


 子パイとしてシュピナーグに登録し、リリアはロボットの中、レーダー反応をリーノに伝え続けてくれた。


 ルーキーがここまで凶悪な犯罪者や凶暴な無頼漢を相手に頑張ったのだ、指導者としては格好の悪いところは見せられない。


「リーノは少し下がってていいぞ。カート、久し振りにやるぞ」


 アークスバッカーと夜叉丸は奇しくも敵機と同じ、高出力高速型と高機動タイプの組み合わせ。


 だがこちらは連係を得意とする長年のバディーだからこそ、互いの長所を生かした連続攻撃をされて、小型機は為す術なく振り回されて、大型機は回避の一つもできず翻弄される。


『す、すごい……』


「まだお前とはフォーメーションを組んだり、フォローの仕方を合わせたりしてないからな。仲間と呼吸を合わせられるようになれば、必ず出来るようになるさ」


 そもそもが連携の取れていないスペックの違いすぎる奴等が、勝機を見出す事など出来ようはずもない。


「さっさと捕まえて警察に突き出すぞ。デルセンはもちろん、今回の件でバシェット=バンドールも賞金首として査定が上がったからな」


 今回の件では、経理担当のアンリッサがかなりの好条件をテイカー管理事務所に叩き付け、ほぼ満額で契約を勝ち取っている。


 ここでこいつらを捕まえれば、そのボーナスは自分達で山分けできるに違いない。


『バシェットもお尋ね者か、だったらあの時に放置するのではなかったな』


 二人の英雄級コスモ・テイカーを相手に手も足も出ない犯罪者達は、例によってうまく聞き取れない質の悪いスピーカーを使って合図をし、最終手段に移行する。


 バシェット機はコアユニット下部のハッチを開き、バシェット機の後部ブースターとドッキング、四本のアームを展開した。


『合体したぁ~~~~~!?』

「うっせぇぞ、リーノ!」


 なんともバランスの悪いスタイルだが、無重力下の戦闘機に求めるのは形ではない、その機能性。


 突進力とパワーに優れた機体に、機動性をプラスさせる追加機構は確かによく考えられている。


「アンバランスに見えて、意外と互いの長所を生かした機構のようだな」


 最後に極太のパイプをバシェット機からデルセン機に接続し、ドッキングは完了する。


『やっぱり合体! 合体がいいんですよ』


 無理矢理二機をくっつけはしたが、システムの接続までは考えてなかったのだろう。


「明らかに弱点だな」


 前からでは狙いにくいが、バックを取りさえすれば簡単に切断できそうだ。


『いや、しかしどうやら伊達にくっついたわけではなさそうだぞ』


 動力パイプでジェネレーターを連結させたのだろう、発生するエネルギー反応が桁外れに上昇している。


 大雑把でただ大きな腕を振り回すしか脳のないバシェットを、うまくフォローする形でデルセンがモビールを飛び回らせる。


 二機分のエネルギーを使っての砲撃もバカに出来ない。


「一応、一人は名前の売れた犯罪者だしな」


『バシェットも里ではそれなりに力を認められてはいる。侮る事はできないぞ』


 二機が連携も取れずに飛び回っていた間は与し易かったが、力を合わせたとも言えなくもない状態になり、互いの欠点を打ち消されて、案外厄介な相手になっている。


『ラリーさん、カートさん、やっぱり合体ですよ。やりましょうよ俺達も』


 これを考えた人間は、確かに目の付け所がいいと言えるだろう。


「だがな、この程度で勝てると思うなよ」


 ラリーはリーノにも経験済みのフォーメーションを指示し、三機は縦に並んで敵機に正面から迫る。


 先頭はシュピナーグ。


 リーノは粒子砲を敵の合体接続部に照準を合わせて撃ち放つ。


 当然真正面からの攻撃では簡単に避けられてしまうが、その動きに合わせ修正をしての第二射まで僅か0.2秒。


 合体モビールは二射目を回避出来ず、だがビーム粒子を張ったシールドで堪える。


 二番手に位置づけていたラリーのアークスバッカー、機種先端から大量のビーム粒子を放出し、機体全体を覆うとその状態を保ち、突進を仕掛ける。


「シールドももう限界だろう!」


 合体していなければ、デルセン機は回避もできたのだろうが、衝突の余波だけで残りのシールドエネルギーを空にし、ほぼ全力の突撃攻撃を喰らい、二機のモビールは崩壊寸前。


『警察には連絡済みだ。大人しくばくに付くんだな』


 二刀の巨大な刃で数回斬りつけ、剥き出しの動力パイプと二機のブースターを切り刻み、機動力を奪うと最後に動力部を貫いた。


「よし、つまんねぇことに時間取られたが、ベルトリカで一気に古代船の前に出るぞ」


 ランベルト号とブルーティクスも戦闘に加わったようだが、警察艦隊の犠牲は全体の65%に及んでいると報告を受けた。


「トンでもねぇもんが目を覚ましたもんだぜ」


「やっぱり合体ですよ。なんならベルトリカを変形させて……」

「お前は黙ってろ!」


「いやだって、こっちも……」


 興奮気味のリーノはカートに任せて、事務室に入るとソアがモニターで戦況を分析していた。


「お前はどう見る?」


「ランベルト号の火力で抜けないって言うのは計算外ね。空間断層があると言っても、相手もこの空間にいるんだから、多少はダメージが与えられるって期待してたんだけど」


 ブルーティクスの艦載機にも被害が出ているが、今のところはまだランベルト号の援護に徹している。


「やっぱり凄いな超文明ってのは、まさかあの二隻がこうも苦戦する姿を見るなんて、数年前の俺には想像もつかない状況だな」


 最新鋭のブルーティクスと無人モビール隊が、戦線維持程度にしか役に立っていない。


 敵と同じ発掘船であるランベルト号も、海賊船が特化しているのはその火力なのだが、荷電粒子砲の持つ振動波では空間断層を突破できず、だが敵の古代船の火力ではランベルト号のシールドを破れず膠着状態。


「被害を出さない為なら、ランベルト号だけの方がいいんでしょうけど、そうなるとあの船、跳んで行っちゃうかもしれない」


「ティンク、最高速で頼むぞ」

『もう、やってるよ』


 こうなると振動波をより強く発生する、ベルトリカの粒子加速砲をブチかます他ない。


「俺達の粒子砲で断層を割れば、活路は出てくる」


「荷電粒子砲も粒子加速砲も、この時代で開発されているのに、そんなに違うの?」


「威力だけを取れば、さほどでもないさ。しかし位相差空間のような異空間に干渉する力はこの時代の物にはない。ベルトリカのブラックボックスもオリビエがずっと研究してるが、全く解析できてないらしい」


 そう言えばそんな話もした気がする。


 ソアは最終セーフティーも、この場で解除できるようにし、準備は万端。


 隔壁を開けて入ってきたカートが頭を抱え、その後からまだ喚き続けているリーノに拳骨を与え、三人のテイカーはコントロールルームに入っていった。

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