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ISRIGHT -銀河英雄(志望の)伝説-  作者: Penjamin名島
motion05 金の章
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Episode22 「リーノ、気張れよ! ソア、待ってるぞ!!」



 ソアのオモチャのような声が、ヘレンに宣言した。ガルガントォーバルを乗っ取ったと。


 やろうと思えば金の船を操作も可能だけれど、操作系はヘレンから奪わず、あくまでサポートをするだけだと、責める声に弁明する。


『ごめんラリー、やっぱり一発撃っただけじゃあ、防御も突破できないみたい』


『ああ、そっちはソアに任せるから、無人モビールを打ち止めにできたら教えてくれ』


『成功したら、ちょっとは私も労いなさいよ、ラリー』


『ああ、アテにしてるぜ、ソア』


 金の巨人は砲艦を失っても、さほど弱くはなっていない。


 316メートルあるのに、30メートルのブレイブティクスに、スピード負けしていない。


「ランベルト号にも負けてませんよ、あの弾幕の量」


 リーノはイズライトを駆使して、攻撃の全てを余裕で躱しながら、ラリーが肩にあるハイランドキャノンを連射する。


『連射だと、あいつの防御フィールドを突破できねぇか』


 ブラストレイカーの武装は、全て音声入力でパワーがアップする。


 しかし連射となれば当然早口が過ぎて、舌が回らない。


『兵器として問題があり過ぎなんだよ』


 カートだってブラストエッジを使う時は、頑張って大きな声を出している。ソードの切れ味が大きく変わるのだ


「そうですよ。カートさんみたいに武器名じゃなくても、気合いの籠もった声を出すんですよ」


 ラリーに偉そうに言うが、操縦担当のリーノに武器の強さの違いは実感できていない。


『そうと分かれば、オラオラオラオラオラ……』


「いえそこは、もう少しだけ丁寧に! ハイランドキャノンと叫んだ後に今のを続けると、もっと威力が上がるはずです」


『そ、そうなのか?』


 珍しくラリーは素直に後輩の言葉に従った。


『リーノ、てめぇ!?』


 従ったがパワー上昇率は、ラリーのかけ声だけの時と、なんら変わりはしなかった。


 リーノは唯一任される粒子加速砲に力を注ぐ。


「今だ、バスターキャノン!」


『だから、無駄に叫ぶな。名前なんか呼んでるから、タイミングがずれるんだろうが」


 おそらくは最大出力の粒子加速砲が被弾しても、金色の巨人ラグランデスボルトは右腕1本で防御してしまう。


 恐らく粒子を分散するラミネートもされているのだろう。全くダメージを受けていないようだ。


『ミスター! チャージが完了した、ブレイブティクスの新必殺技を試してもよろしいか?』


「隊長! なんですか一体。もちろんフォローするんで、是非見せてください」


『おいおいリーノ、勝手に話を進めるなよ。だがそうだな。俺にも見せてくれ』


『了解しました。ミスター』


 かなり数が減ったと言っても、まだまだ邪魔なくらいいる無人モビールが、高エネルギー反応を示すブレイブティクスに叢がってくる。


『やはり御曹司を狙ってきたな』


「ラリーさん、ミサイルの残弾は8基です」


『OKだ。御曹司の合図でミサイルと、ハイランドキャノン、バスターキャノンもぶっ放すぞ』


 ブルーティクスの無人モビールと、ギャレット海賊団のバイク軍団、ソアミニのミニカー、それとエリザベルカ&リリアーナがラリーたちを援護してくれる。


『いくぞ! エネルギー充填120%』


 ラリーがリーノに無駄な音声入力を省略しろと、注意したばかりなのに、フォレックス=マグナは全力でヒーロースタイルを崩さない。


『グラビティーチャンバー解放、充填エネルギー接続』


『おい、まだかよ?』


『発射準備完了、いきます! メガブレイブ・ブラスター!!』


「すげぇ! やっぱりドナりは最高だ!!」


 射線が開いた瞬間、腹部に装備された重力波が、敵の無人モビールを掃討する。


『やれ、リーノ!』


「はい、ラリーさん。バスターキャノン・フルバースト!!」


 ブラストレイカーの満タンまで充填した粒子加速砲が、巨人の腹部に穴を開けた。


 寸前でランベルト号からの砲撃もあり、巨人が右腕を失い、そこへ粒子砲が腹部にヒットしたのだ。


『よし、最後の仕上げだ。リーノ、あいつの中に入るぞ』


「なっ!? 本気ですか?」


 要塞攻略の常套手段だが、300メートルのロボットの中に15メートルのロボット。


 流石に窮屈かと思うのだが。


『入れねぇなら入らなくていいんだよ。ゼロ距離で残弾をぶち込むだけだ』


 しかしまだ敵の無人モビールも全滅したわけじゃあない。懐に入り込むだけでも厄介だ。


 確かにこれこそ絶好のタイミング。リーノはロケットブースターを最大出力にする。


『お待たせ、イグニスグランベルテを黙らせたわよ』


 正にベストタイミング!


 ソアからの報せと、爆音が響いたのはほぼ同時。金色の船は轟沈した。






 ソアはヘレンを手伝い、ガルガントォーバルの制御をする。


 ヘレンが何を考えて、どんな行動を取ろうとしているのかを読んで、操作をカバー、同時に制御プログラムの不備を改善していく。


『下手くそヘレン』


「なによ、……誰?」


『おかしな声だけどね。ソア・ブロンク・バーガーよ』


「確かに変な声ね、フランソア・グランテ」


『私がフォローしてあげるから、あんたはモビールにでも乗っているつもりで、気楽に船を動かしてちょうだい』


 ヘレンのモビール操作は申し分ない。


 彼女の言うように、ただ船の操舵が不慣れなだけなのだ。


 ならばガルガントォーバルの操作感を、彼女の使い易いようにしてやればいい。


『あくまで急拵えの間に合わせだから、後でオリビエの能力をコピーしたその子に、コミュニケーションAIを作ってもらうといいわ。その船、乗り逃げするつもりなんでしょ?』


 危険を冒して一度脱出したイグニスグランベルテに、再度潜り込んでまでして手に入れた船。


 ちゃちな処理と無駄の多い操作と言われたからと、諦めるつもりはない。


「わ、私だって時間さえあれば、自分で何とかできたんだからね」


『何も言ってないでしょ? 私のライバルだって言うんなら、そんなのできて当たり前。聞くまでもないわ』


「ああ、うう~う」


『はいはい、照れてないで前を見る』


「へっ、ふっ、うわぁ~!?」


 船首をイグニスグランベルテの主砲が掠める。


 もし、ソアの改善前に撃たれていたら、直撃を食らっていた。


『ほら、ランベルト号とブルーティクスが助けてくれるから、ベルトリカの先導に従って、後方はグランテが盾になってくれるから』


 グランテもまた古代遺産の産物。隅々まで調査した結果、速力の他にも防御力に特化している事が分かった。


 グランテのAI、ウロボロスはソアをマスターとして登録している。


 今のソアの意識は、ガルガントォーバルに付きっきり。


 ウロボロスの制御だけでも、警察機構軍の特殊強襲部隊オッグスにも負けないほどの戦闘力を持っているが、ここは防御に徹してもらう。


『目の前のお邪魔虫は、ベルトリカとミリーシャ達とで片付けてあげるから、今度こそ発射態勢を見逃さないで、一撃で動力炉を潰しなさいよ』


 何度も何度もチャンスを作ってもらった。その全てを潰した。


 これ以上言い訳もしたくない。


 ヘレンは額に浮かぶ汗も拭わず、操舵に集中する。


「ヘレン、いつものあなたはどこへ行ったの?」


「い、今はあなたの相手をしている余裕はないの、後にして」


「……だから、そうじゃあなくて、肩の力を抜きなさい」


 ソニアはヘレンの放漫な二つのかたまりを……。


「ちょっ、ちょっとこんな時に、なにをしてるのよ」


「今日もヘレンのオッパイは最高だ。いいから肩の力を抜いて」


「まったく、もぉ~! ……ありがとう」


『イチャイチャは後にしてねぇ~』


「ひぃ、の、のぞきなんて趣味悪いわよ、フラン」


『いや、私がいるの忘れてイチャつくほうが悪いのよ』


 改めて発射態勢を整えるために、ベルトリカの誘導が始まる。


『フラン、このタイミングですまない』


『なによ、ミリーシャ』


『どうもラリー達のほうが、思わしくなさそうなんだが』


『あら、そうみたいね。だったらランベルト号とモビール部隊でお手伝いしてあげて』


 ランベルト号の穴を埋めなくてはならなくなった。


『ヘレン、グランテも攻撃に加えることにするから、防御はなし! 一撃必中! 速攻離脱! いいわね』


 4隻は編隊を保ち、多少の被弾は物ともせずに、イグニスグランベルテに向けて突進する。


 ベルトリカとブルーティクスの主砲、グランデの拡散粒子砲が邪魔物を排除し、ガルガントォーバルの重力波砲が目標を撃つ。


『やったぁ!! ……あっ、お待たせ、イグニスグランベルテを黙らせたわよ』


 ソアのラリーへの報告と、爆音が被る。金色の船は轟沈した。

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