Episode20 「これでお別れだぜ! オッサンども!!」
リリアーナを失ったリリアはベルトリカでお留守番。と本人に告げたところ。
「せっかくフェニーナになれたのに、気が付いたら元の体だったのよ。私も暴れないと我慢ならなぁ~い」
本当ならシュピナーグに乗って、リーノと共の出撃したいところだけど、合体するとなるとリリアはお邪魔になってしまう。合体巨人はメインパイロット3人だけの方が、本領を発揮できるとソアラが言った。
「分かった。エリザベルガで我慢する。回収してもらってるんでしょ?」
「なにが我慢よ。お断りに決まってるでしょ?」
「なにを~、エリザのくせに! だったらもう一度私と勝負だ!」
「あんた、ロボットなしで、どうやって私と戦うのよ」
「ぐっ! オリビエぇ~」
「泣いても無理、けどリリアーナはロボットなしでも、リリアは搭乗して操縦できるんだよ」
「へっ?」
ラリーたちのモビールに、AIを戻す作業をしていたオリビエの一言で、騒動は落ち着いた。
戦力としては、ベルトリカとグランテ。ランベルト号とブルーティクス・バトルシップキャリーの4隻。
ベルトリカを預かるのは引き続き、アンリッサ=ベントレー。サポート役にはティンク=エルメンネッタとオリビエ=ミラージュが同乗する。シャトル搭載のAIベルもお手伝いしてくれる。
グランテにはソア=ブロンク=バーガーことフランソア=グランテとソアラ=ブロンクスことソア=ブロンク=バーガーが乗船。ソアロボット×5&サポートAIウロボロスがカバーをする。
ラリーたちテイカーはそれぞれのモビールに。
アークスバッカーには、搭乗者フェゼラリー=エブンソンと搭載AIアースラ。
夜叉丸搭乗者カーティス=リンカナムをと搭載AIカグラがサポート。
シュピーナーグ搭乗者ボサリーノ=エギンスのお守りは、搭載AIシュランがする。
エリザベルガの搭乗者はエリザ=アポース。小型モビールリリアーナ、リリアス=フェアリアと共に3人のテイカーをフォローする。
ミニソア×25も、専用の小型機、ミニカーでメンバーをサポート。
他にもランベルト号からは、スペースバイク×30。
ブルーティクスからも無人モビール×30が参戦する。
対する金色の船イグニスグランベルテは、数えきれないほどの無人モビールを既に発進させている。
「無人機の種類が2つ増えたか?」
『ああ、3種類が飛び回っているな』
発進したアークスバッカーと夜叉丸の傍まで、敵の無人機は接近してきている。
『あいつらの事は、私とエリザに任せて』
リリアーナはエリザベルガとミニカーを引き連れて、突っ込んでいく。
「ああ、そっちは任せるが、あまり無理はするなよ」
ラリーたちはどうやら、無人機の相手をしている場合ではないようだ。
『ロボットですよ。人型ロボット。あれって300メートルはありますよね』
新人テイカーは大はしゃぎ、さっそく2人の先輩に合体をしましょうと、提案するが却下される。
オリビエからラリーだけに通信が入った。
『理由はまだ分からないけど、リーノの気分を下げるのはNGだよ』
「ああ、そうだったな……。あいつの気分次第で古代技術に関わる物の性能が変わるんだったか。ベルトリカやアークスバッカーの戦力が下がっちまうとはバカげた話だ」
人造人間であるリーノは、イグニスグランベルテ内で、船からの干渉を受けて、何らかのアクセス権限を得たのだとオリビエは推測している。
「ヴァン=アザルドのやろうた、リーノをガテンで金ぴかに近付けたのも、同じ理由だったな」
ラオ=センサオが言っていた。リーノは起動キーなのだと。
「と言う事は、あのデカ物も敵じゃあないんじゃあないのか? リーノがこっちにいるんだからよ」
宇宙空間とはいえ、300メートルを超える巨人が、小型機動兵器を相手に遅れを取っていないなんて、古代文明の科学力の高さはリーノが抜けても途方もない。
『あ、あれ! ラリーさん。巨人の持っているのって』
「あれってなんだよ? 人型を援護する為のバトルシップのことか?」
イグニスグランベルテの中から出てきたのは人型と船。
『あれ、重力波砲ですよね』
「なんだと!?」
リーノの指摘にラリーは大袈裟に驚く。船の戦闘に大きな大砲が付いている。
「まさかまた逃げるつもりか?」
船に取り込まれた2人の犯罪者が、意識を残しているとは思えない。それは船そのものの意志なのか?
『パパ、あれは大きいのが武器として使うんだよ』
アースラが、忙しくするオリビエの代わりに説明してくれる。
『大きい人の名前が分かったよ。ラグランデスボルトだって。鉄砲の方はガルガントォーバルらしいよ』
ガルガントォーバルの上部甲板に右手を突っ込み、ガンシップの左側面に現れたグリップを左手で握るラグランデスボルトは、重力波で警察機構軍の艦隊を撃った。
「……予想以上だな。塵も残さず消し去りやがった」
それは重力波砲の本来の使い方。
空間を断裂するほどのパワーを破壊に使えば、この結果は当然と言える。
「おいリーノ、合体するぞ! お前の好きに暴れやがれ」
『は、はい! 頑張ります』
先鋒部隊を振り切って、襲い来る無人モビールを叩き潰していた夜叉丸が、合体フォーメーションに加わる。
『ブラストア~ップ!』
3機は合体ポジションに整列する。
『レッツ レイカー、オン』
各々が合体形態に変形をし、ドッキング態勢に入る。
今回の音声入力は、AI娘任せにはしない。
合体巨兵は搭乗員の精神エネルギーに応えて、パワーアップをする。
ラリーとカートもリーノに倣って、大声で叫ぶ。
『合体巨兵、ブラストレイカー!』
全長は15メートル。敵の20分の1の大きさだが、リーノは負ける気がしない。
『ブレイブティクスも合体が完了したそうです。こちらに続くと仰っています』
索敵担当のカグラが、左斜め後方に位置するブレイブティクスと交信をとる。
『ベルトリカとグランテ、ランベルトとブルーティクスは金の船に向かう。って言ってるぜ、オジキ』
飛び道具の制御担当のシュランが、ティンクの通信をキャッチする。
バイクとモビールとミニカーが敵の小物を蹴散らして、あっと言う間にイグニスグランベルテにとりついた。
「ランベルトの重力砲も、負けてないじゃあないか」
『はい、完全に相殺してしまいました』
カグヤは両者の熱量分布図を、パイロットにも分かり易いようにして映し出す。
『驚きだよねぇ。これもリーノちゃんのお陰なの?』
動力制御担当のアースラが感心する。
『そうだぜ! ウチのリーノはまだまだ新米だけど、潜在能力ならベルトリカで一番なんだぜ』
古代技術の寄せ集めであるランベルト号も、リーノの精神波に反応して、スペック以上の威力を発揮させている。
「俺ら、リーノを奪還出来なかったら、あっと言う間に倒されてたんじゃあないのか?」
ラオ=センサオが望みを叶えるために画策せず、宇宙を荒らし回っていたら、人類は抗う事もなく、全滅していたかもしれないとラリーは、冷や汗をかいた。
「なんてな、いくらなんでも、そいつは大袈裟すぎだな」
しかしこれで重力波砲に対しては、ランベルト号が盾になってくれる。
『もう完全に公僕は形見の見物を決め込んだようだな』
近接戦闘時の操縦担当者カートは、この段階ではやる事がない。
リーノの操縦で戦場の中心に侵入する。
今度は一転して忙しくなるカートは、無数の無人モビールに囲まれたブラストレイカーを、二刀流で護り進路を確保する。
「面倒なやつらだが、先に進むには潰すしかないしな」
『エブンソンさん』
「御曹司か?」
『俺と俺たちの無人機で道を作ります。先へ行ってください』
ブレイブティクスは銀河レースの頃から、また一段と技術を向上させたオレグマグナカンパニーによって、強化改造された30メートルの巨人は、古代兵器にも立ち向かえる力を手に入れた。
『すごいです。フォレス隊長!』
『リーノ君。また機会を設けて、ブラストレイカーと戦いたいと思うのだが』
『あっ、俺もですけど、えーっと……』
「ここを乗り切ったら、一度くらいはお前達に付き合ってやる。なっ、カート」
『ああ、俺が断れば、ラリーが俺に、面倒くさい嫌がらせをしてくるだろうからな。必要なら力を貸してやろう』
先輩達の有り難い言葉をもらって、リーノの心の炎が一段と熱くなる。
『おのれおのれおのれおのれ……』
「この声、ラオ=センサオか?」
真空の宇宙に響く声、発声源は間違いなく金色の巨人、ラグランデスボルトの頭。
「ヤローは機械に、取り込まれたんじゃあなかったのか?」
『この波長は人間の物じゃあないよ、パパ』
『同化した際に、記憶と感情をコピーされたと推測します。ラリー様』
感情をエネルギーに変えるシステムは、イグニスグランベルテにも搭載されている。
「シュラン、ランベルト号に敵重力波砲の射線から外れるように連絡しろ」
『了解だ。オジキ』
エネルギーを充填させるガルガントォーバルを前に、ブラストレイカーもバスターキャノンを発射態勢にする。
「今度の今度の今度こそ、オッサン共に引導を渡してやる」




