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ISRIGHT -銀河英雄(志望の)伝説-  作者: Penjamin名島
motion05 金の章
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Episode04 「主導権を取り戻してやるぜ!」



 アークスバッカーと夜叉丸は無人機の相手をしながら、徐々にイグニスグランベルテとの距離を詰め、格納庫から潜入して、中に待機中の無人機を完全に潰した。


「さてと、この先の工作機械を黙らせないとな」


 完成したモビールはカタパルトへ移動する。が、その台座を破壊してアークスバッカーは奥の部屋へ。


 夜叉丸は格納庫へ入ろうとする、自動修復マシーンを潰し続ける。


「よーし、アセンブルマシーンは徹底的に潰しておいた」


『こちらに向かってくる修復機ももういないようだ』


「そんじゃあ次、行くか」


 この繰り返しで四カ所ある格納庫を順に潰して回った。


 一応の確認を済ませ、シュピナーグを呼び寄せて金の船へ改めて突入する。


 モビールから降りたラリーは、カートにソアラのガードを任せて走り出した。


 重力波砲を利用して次元震を起こし、ベルトリカでこの巨大船を通常空間に押し出さなければならない。


「……俺だけでやれると思ったんだけどな」


「やっぱりね」


 ラリーは大きな扉の前に立ちつくしていた。扉一つ開けることができない男にソアラはあきれる。


「開けられるか?」


「天に祈りなさい。ここにいるのが私でなく、フランなら何の心配もなかったのだろうから」


「いや、祈る必要なんてないさ。俺の期待を裏切るソアラじゃあないだろ」


 自然と浮かぶ笑顔は自信の表れか? ソアラはパネル下の壁板を外して、配線を弄る。


「なにも、クラッキングだけが対処法じゃあないのよ」


 開かれた扉の向こうは、ガードロボットだらけ。


「ラリー、私は守られるだけのお荷物じゃあないわよ」


 ベルトリカのロボットガールズは、みんな同じように内蔵ウエポンを装備している。


 それぞれの性格や戦闘スタイルに合わせて、機動力やパワーバランスのパラメーターを変えてある。


 中距離支援タイプのソアラロボットは、ガードロボットのただ中に特攻し、あっさりと囲まれてしまう。


「バカか、お前は!」


「いいから見てなさい」


 ソアラの持つトートバッグから、無数の小型ミサイルが飛び出す。


 ガードロボットは一つ残らず動きを止めたが。


「いきなりそんなに使うなよ。ちゃんと配分考えろよ」


「このくらいなら大丈夫。また5分もあれば、また充填されるわ。このバッグは、ここの自動工作機と同じ物だからね」


 と言っても無限にと言うわけにはいかない。作れるのは材料の分だけ。


 配分を考える必要があるのはソアラも分かっている。


「後は任せるわよ。支援はしてあげるから」


「お次はガーディアンかよ。デカイ奴らが出てきやがったな」


 大きいと言っても3メートル程度、ウォーミングアップにちょうどいい。


 ラリーとカートは連携して、4体現れたガーディアンを一体ずつ片づけていく。


 この程度の相手に新装備を使う必要はなく、ガーディアンはあっさりと頭を吹き飛ばされて、ソアラのミサイルが首から入って、内部で爆発する。


「これが重力波砲か。にしても自動防衛装置しか襲ってこないけど、あいつはどこにいるんだろうな?」


『ずっと見てたぜ。見事な手並みだな』


「おめぇこそ、上手い具合に俺たちを分断してくれたよな」


 スピーカーから聞こえる声は確かにヴァン=アザルドのものだが、姿も見えないのでは、それが本物かどうかの判別はできない。


『なんだよ、俺に会いたいのか?』


「そりゃあ会いたいね。わざわざ新米テイカーを攫っていく理由も知りたいね。お前ほどのヤツが拘ってんだ。リーノはお前と同じ場所にいるんだろ?」


『ああ、いるぜ。この船のど真ん中。発令所ってやつによ』


「そうかよ。まぁ、もうしばらく預けておくぜ。腹一杯食わせてやってくれよ」


 ラリーは重力波砲に爆弾をセットし、2人を連れてモビールの戻る。


「ティンク、聞こえるか?」


『ラリーラリー、おかしいことになってるよ。どうしたらいいの?』


「おいおい、慌てるな。何があった?」


『金ピカが重力波砲を出したんだけど』


「想定内だな」


『うぅ~うん、その砲台を船から分離しちゃってるんだけど』


「なに!?」


 ラリーが爆弾をセットしている間に、ソアラが基盤を弄って重力波砲にエネルギーを充填させていた。


 エネルギーを蓄えた砲台に、大きな衝撃を与えれば次元震が起こる。


 船の中だろうと外だろうと問題じゃあない。


 イグニスグランベルテは多重構造で、表層のワンブロックが吹き飛んだところで、轟沈する恐れはない。


 次元震で通常空間と繋げられれば、ベルトリカで位相差空間から押し出すことができる。


『はずだったのに』


 ソアラの計算は外れた。


 荒くれどもの中に、古代船の配線を弄れる技術者がいるはずがない。あのヘル・サンクスペストことドクトル・ヘルだってそう簡単には出来っこない。そう細工をしておいた。


 自分たちがモビールで脱出する頃には充填が完了し、爆弾を起爆すれば作戦は成功する。


 それを見抜いたからなのか、ヴァン=アザルドにとっても大事な機能のはずの物を、あっさりと切り捨ててしまうなんて。


『エネルギー充填率60%、船とケーブルでも繋がっていれば、次元震を発生できたでしょうけど、あの状態では無理ね』


 宇宙に飛び出したシュピナーグから漂う砲台を見て、ソアラがきっぱりと言った。


「他に方法は?」


『あれがなかったら、あいつらだって、この異次元から抜け出すことは出来ないのよ。もちろんベルトリカもだけど』


 ご丁寧にヴァン=アザルドは重力波砲をミサイルで破壊した。自動工作機もラリーたちに破壊されているのに。


「何考えてんだ、あのヤロー!?」


『ブラストレイカーへの合体ができればな』


 そうだ。カートの言うとおり、ブラストレイカーのバスターキャノンなら次元の壁に穴を開けることが出来る。


『ごめんね。古代遺産の超兵器一つも自由にできないくせに、宇宙1のロボット工学者なんて呼ばれてて』


「なにも言ってないだろ。拗ねるな」


 やはり先にリーノを救出するべきなのか?


 敵の戦力が判明しない今、この3人だけで突っ込んでもいいものか。


「せめてティンクが出られれば、状況も変わるんだけどな」


 ベルトリカの守りをAIだけにするのは得策ではない。せめてアンリッサが同乗してくれていたならと悔やまれる。


 アンリッサはこの作戦に、警察機構軍が介入してくるのを抑えるために、ノインクラッドに残ってもらっている。


『ラリー、敵の主砲がそっちを狙ってるよ』


「動き出しやがったな。2人ともベルトリカに戻るぞ」


 こうなったら撃ち合いで金色の船を黙らせて内部へ突入、総力を挙げて制圧する他ない。


 もっと慎重に考えれば、妙案が浮かぶかもしれないが、現状打破が先決な場面。


 全員が疑問も抱かずラリーの指示に首を縦に振った。






 通常空間では騒動も収まり、ジャッジメントオールも合流した。


 イグニスグランベルテの無人モビール達を全滅させたグランテのソアは、大慌てでベルトリカの現在地を探るが、手掛かりの一つも見つけることができずにいた。


「焦らないでお姉ちゃん」


 オリビエはソアをチーム1早く、フランとして受け入れて、昔のように呼んでいる。


「焦るに決まってるでしょ! あいつは私が無茶すんなって言っても、昔っから一度たりとも聞いてくれたことなんてなかったわよ。本当に人の気も知らないで」


「それ、お姉ちゃんが言う?」


 つい最近まで人のことを言えない行動を取っていたソアは、胸に手を当てて黙ってしまう。


「ワンボック・ファクトリーのオルボルト代表から、連絡があったんでしょ?」


「うん、ベルトリカにも念のために積んでいる、ランベルト号担当の反応弾を断層の表と裏から、同時に同じ座標で爆発させたら、次元震を発生させることができるって」


 それでイグニスグランベルテを取り逃がすことになったとしても、ベルトリカは通常空間に引き戻すことができる。


 だがその肝心の現在地と、情報を届ける手立てがない。


 無駄と分かっていても、ソアがキーボードを叩く手を止めることはできなかった。

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