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転生したら平民でした。生活水準に耐えられないので貴族を目指します。  作者: 蒼井美紗
四章 大公領編

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485/504

465、アルベール様

 アルベール様はニコニコと満面の笑みで、俺とリュシアンの顔を交互に見ながら部屋の中央まで歩みを進める。


「アルベール、良く来たな」

「兄上! 僕も呼んでくださってありがとうございます。こちらの方がお客さまですか?」

「ああ、私の友人でレオンだ」

「レオン・ジャパーニスです。よろしくね。一応使徒です」


 俺がアルベール様と視線を合わせるように少しだけ屈んで挨拶をすると、アルベール様はポカンと俺の顔を見上げた。


「しと、……しと、使徒様!?」


 そして目の前の俺と憧れの使徒様が一致したのか、瞳をこれでもかと輝かせて尊敬の眼差しを向けてくれる。こんなに純粋な瞳を向けられるとちょっと照れるな。


「そうだよ。ミシュリーヌ様の使徒なんだ」

「あの、一瞬で別の場所に、移動できますか!?」

「おいアルベール、まずは挨拶が先だろう?」

 

 苦笑を浮かべたリュシアンに諭されたアルベール様は、はっと何かに気づいたような表情を浮かべてキリッと目元に力を入れた。


「失礼いたしました。アルベール・タウンゼントです。使徒様、お会いできてこうえいです!」

「こちらこそ、また会えて嬉しいよ」

「……また、ですか?」

「そう。君が三歳だったかな。その頃に一度だけ会ったことがあるんだけど覚えてる?」


 俺のその言葉にアルベール様は眉間に皺を寄せて考え込む。やっぱりあんなに小さい頃の記憶はないのかな。実際に相対してた時間なんて数時間もないぐらいだったし。


「……お祖父様と一緒に来てた人、でしょうか?」

「そう! 覚えてるんだ!」

「少しだけですが」

「そっか」


 少しでも覚えていてもらえるのは嬉しいな。


「前にもお会いしていたなんて、嬉しいです!」

「ははっ、そんなに喜んでもらえて良かったよ。それで一瞬で別の場所に移動できる魔法だっけ?」

「はい。兄上がお話ししてくれて、凄いんだって」

「そうなんだ。それは転移って名前の魔法だよ。試してみる?」


 俺のその問いかけにアルベール様が瞳を輝かせたので、俺は了承を得るためにリュシアンに視線を向けた。


「一緒に転移しても良い?」

「構わないぞ。ただアルベールの従者と護衛も一緒に連れていってくれ」

「分かった。じゃあ転移する人たちは俺の周りに集まって欲しい。アルベール様もこっちに」

「はい!」


 どこに転移するかな……とりあえず突然の遠距離転移は心配だろうし、屋敷の庭ぐらいにしておこう。窓の外に見えるあの大きな木の下が良いかな。

 場所を決めた俺は頭の中で転移先を明確に描き、転移魔法を発動させた。


「――わぁぁぁぁぁ、凄い! 凄いです!」


 転移のあと数秒間はパチパチと瞳を瞬かせていたアルベール様だったけど、すぐに顔が喜色に染まって大喜びだ。数秒前までいた屋敷を指差して、「あんな遠くにあります!」と叫んで飛び跳ねている。


「……本当に、凄いですね」

「得難い経験を得ることができました」

 

 アルベール様の従者と護衛の二人も感動している様子だ。その隣で当たり前のようにしているロジェとローランとの対比が面白い。


「楽しんでもらえたなら良かった。もっといろんな魔法があるけど他も見てみる?」

「見たいです! あの、攻撃を防ぐやつが凄いって聞きました」

「ああ、バリアかな。小さく作り出してみるよ」


 バリアは転移ほど楽しい体験ができるわけじゃないけど、アルベール様は楽しそうだ。しかしそれ以上にバリアに興奮している人がいた。それは……アルベール様の護衛の人だ。

 バリアの強度を示すために攻撃してもらったら、その凄さに感動したらしい。


 それから俺のバリア対アルベール様の護衛で軽い模擬戦みたいなことをやり、十分ほどで屋敷の中に転移で戻った。


「おっ、戻ってきたな」

「お待たせ」

「兄上、凄かったです!」

「そうか、良かったな。そうだレオン、先ほど父上から伝言があって、今夜はレオンの分の夕食も準備してあるから食べていくと良いとのことだ。ついでに客室も準備してあるらしいから、泊まっていけるぞ」

「え、そうなの? 良いのかな?」


 久しぶりにクリストフ様達とゆっくり話せるのは嬉しいけど、突然来てめちゃくちゃ図々しいよな。


「遠慮はいらない。というよりも、もう準備されているのだから泊まっていった方が喜ぶと思うぞ」

「確かにそっか……じゃあ泊まっていくよ。ありがとう」

「では、もう少し遊べますか!」

「そうだね。夕食までは一時間ぐらいかな。何したい?」


 俺のその問いかけにアルベール様は「全属性魔法が見たいです!」と元気いっぱい言ってくれたので、俺達は薄暗くなり始めていた外に出て魔法の鑑賞会を開いた。


 そして夕食を食べた後にはアイテムボックスからたくさんのスイーツを取り出して甘いものを楽しみ、久しぶりのタウンゼント公爵家領地邸での夜は更けていった。

転生したら平民でした。コミック二巻に関するお知らせです。

3月30日に発売するコミック二巻ですが、COMIC ZIN様でご購入いただくと特典のイラストカードが付くようです!

マルティーヌのとっても可愛いイラストなので、皆様ぜひ手に入れてみてください!


サンプル画像が漫画を描いてくださっているの須藤怜先生のTwitterなどで見られますので、ご興味がある方はぜひ。


コミックの方もよろしくお願いいたします!


蒼井美紗

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― 新着の感想 ―
[一言] アルベール君は一発で懐いたねぇ(^^)
[良い点] アルベール様にも喜んでいただけたようで。 [気になる点] レオンくんの提供するスイーツの希少性を考えたら、公爵家の皆様の方が得してると思う。 [一言] 次は王族とロニーくんも連れてくると言…
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