表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら平民でした。生活水準に耐えられないので貴族を目指します。  作者: 蒼井美紗
二章 王立学校編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

115/504

104、国内情勢

 昨日はクレープの屋台を開店させ、今日はまた授業の日だった。先週で学校にも少し慣れたので、落ち着いて一日を過ごせた。

 今はリュシアンと馬車に乗り、屋敷に帰るところだ。


「二週間後に招待されるなんて、予想以上に早かったよね」

「ああ、ステファンもマルティーヌも張り切ってたからな。早いだろうとは思っていた。私たちが一番のようだぞ」

「やっぱりそうなんだ。まあ、俺も楽しみだったからいいんだけどね」


 今日の研究会の時に、ステファンとマルティーヌから昼食への招待状をもらったのだ。

 貴族の子息子女を招待するとは言ってたけど、予想以上に早かった。何か手土産とか持っていった方が良いのだろうか?


「何か手土産とか必要かな?」

「王立学校での招待だから特に必要ないと思うぞ」


 確かに手土産を持っていっても、お昼まで持ってるのも大変だよね。アイテムボックスに入れておけばいいんだけど、まだ秘密にした方が良いと思うし……


「確かにそうだね。一緒にお昼食べるの楽しみだな〜。そういえば、王家の特別食堂って貴族の特別食堂と違うの?」

「いや、作りは全く同じだぞ。ただ、机や絨毯などの家具や装飾品は各家が準備するから、中身は全く違うだろうな」

「え? そうなの? じゃあ公爵家の特別食堂も?」

「ああ、家で用意したものだ」


 そうだったのか……特別食堂ってすごく豪華な内装なんだと思ってたけど、公爵家が用意したものだったとは。

 それは豪華だよね。



 そんな話をしながら公爵家の屋敷に帰ると、夕食の前にリシャール様から話があると言われた。リュシアンも一緒のようだ。

 なんの話だろう……? 俺は何もやらかしてないはずだよな? スイッチや光球については報告したし、屋台についても話は通してるし……多分大丈夫なはず。


 とりあえず悩んでもしょうがないので、リュシアンと共にリシャール様の部屋に向かった。

 怒られるようなことはしてないから多分大丈夫!

 そう割り切って部屋に入ると、リシャール様はいつも通りの表情で迎え入れてくれた。


「急に呼んですまなかった。座ってくれ」

「ありがとうございます」

「失礼いたします」


 俺とリュシアンは、リシャール様の向かいのソファーに並んで座る。この様子だと怒られることはなさそうだな。

 そう安堵した瞬間、リシャール様の表情が真剣なものに変わった。え!? やっぱり怒られるの!?

 何もしてないはずなんだけど……


「夕食まで時間があまりないので本題に入るが、二人は今日の出来事を知っているか?」


 うん? 怒られるんじゃないみたいだ。

 それは良かったけど、今日の出来事ってなんだろう? 今日は先週と同じように授業を受けて、研究会に行っただけだよな?


「私は思いつく出来事がないのですが……」

「そうか。リュシアンはどうだ?」

「私もレオンと同じで、思い当たる出来事はありません」

「そうか……まだ大きく広まってるわけではないのだな」


 何があったんだろう?


「実は本日のお昼過ぎ、中央教会の女神像が光ったと職員が陛下に伝えにきた。私と陛下は実際に中央教会に出向いたのだが、思わず膝をついて祈りを捧げたくなるような神聖な光だった」


 女神像が光った? それってどういうこと?

 誰かが光らせたとかじゃなくて自発的に光ったってことだよね?


「そのようなことが起こっていたのですか! まさか……神託があったのですか!?」

「いや、神託はなかった。ただ、中央教会の女神像は神の遺物だ。それが光ったとなれば、女神様からの何らかの知らせであろう」

「そうですか。確かにそう考えるべきですね」

「ああ、だが陛下とも話し合ったが何の知らせかは分かっていない。ただこれだけは事実だ。女神様は我々の国をお見捨てになったのではないということだ」

「お祖父様……とても喜ばしいことです」

「その通りだ。そこで陛下は決断をなされた。王家は女神様と使徒様の教えを支持するそうだ。必然的に公爵家の勢力を後押ししてくださることになる」

「そこまで話が進んだのですね……では、これからは王立学校で敵対勢力により気をつけます」

「ああ、とりあえず表面上は従うだろうが、ヤケになって何かを起こすかもしれない。一応今までより一層警戒するんだ」

「かしこまりました」


 リュシアン凄いよ。さすが公爵家長男。さすが小さな頃から英才教育を受けてきた子供。

 俺は全く事態が飲み込めてない。話の展開が早すぎるよ!

 どういうこと? 女神像が光っただけで、何でこんなに難しい話になるの? というか女神像が光ったって何? イルミネーションみたいにピカピカ光ったの? 女神様が本当に光らせたってこと?

 ダメだ……色々わからなすぎる。


「あの〜……ちょっと話がわかっていないのですが、詳しく説明してもらえませんか?」


 俺がそういうと、リュシアンが驚いたような顔をした。


「レオンはいつも凄く頭がいいのにどうしたんだ?」


 いや、いつものは日本教育の賜物で、この世界の神様の話とか貴族の話には弱いんだよ!


「私は平民なので貴族の話にはまだ疎いのです」

「確かにそうだった……レオンが平民ってことを忘れそうになるな」


 そこ忘れないで! 結構大切なところだから!


「私が質問には答えるぞ」


 リュシアンが少し自慢げな顔でそう言った。絶対俺に教えられることがあって喜んでるな。俺は思わず笑いそうになって、慌てて口元を手で押さえて誤魔化した。

 今のリュシアンは、小学校で習ったことを家で自慢げに話す子供みたいだ。リシャール様も苦笑している。


 最近のリュシアンは、こんな風に子供っぽいところを出すようになったんだよな。俺に気を許してくれたのなら嬉しいけど。


「ではまず、女神像が光ったということですが、これはよくあることなのですか?」

「そこからか!?」


 いや、だってこの世界魔法とかあるし、女神像も光るものかもしれないじゃん! 

 その辺の常識がよくわかってないんだよ。普通は光らないものだろうけど、俺にとっては日本が常識でこの世界は色々非常識だと思ってるから……


「女神像が光るなど普通ありえないことだろう!」


 や、やっぱりそうなんだ。そこは非常識じゃなかった。


「補足すると、女神像が光ったという記録は残っていない」


 リシャール様がそう補足してくれた。ということは、今まで一度も光ったことのない女神像が何故か急に光ったってこと?

 日本に置き換えると、仏像が急に光り輝いたってことだよな…………


「それは異常事態ではないですか!?」

「だからそう言っているだろう! その驚きはさっきやったぞ!」

「そ、そうでしたね……やっと理解しました。それで、何故光ったのですか?」

「だ〜か〜ら、わからないから困っているのだ! 先程の話は聞いていなかったのか!?」


 さっきは前提が理解できてなかったから、話が全く頭に入ってこなかったんだよ。ごめんリュシアン。


「申し訳ありません。とにかく異常事態だということは理解しました。しかし先程王家が公爵家の勢力を後押しするという話がありましたが、何故そのようなことになるのですか?」

「それは、女神様がまだこの国をお見捨てになられていないということが分かったからだ」

「レオン、女神様は使徒様がいらっしゃっていた時代には何度か神託もなされていたのだ。ただそれから数百年、何の音沙汰もなかった。それが今回女神像が光ったことで、女神様がまだこの国をお見捨てになられていないということがわかった。そこで王家は、女神様と使徒様の教えを支持することにされたのだ。今までは内戦の恐れがありできなかったが、今は今回の理由もあり、敵対勢力の貴族も表面上は従うだろうからな」


 そういうことか! やっと理解できたよ……なんかややこしいな。

毎日20時過ぎに投稿しています。読んでいただけたら嬉しいです!

面白い、続きが読みたいと思ってくださった方は、評価、感想、レビューをよろしくお願いします。

とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
スポットライト(ノ◕ヮ◕)ノ*.✧
大仏って光らないの!?
[一言] 正直、あんな女神でこの国の人々に憐れみを感じてしまった笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ