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ダンジョン暮らし!スキル【ダンジョン図鑑】で楽々攻略?  作者: 夢・風魔
第3章:拡張ステージへ。

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92/207

92-スケッチ

「ただいまー」

『にゃらいまー』


 27階の攻略に二日掛かった。自転車で走らせやすい石畳タイプだったけども、地図を全埋めするとなると時間が掛かる。


 二日間、俺はずっと考えまいと必死に自分の気持ちを押し殺してきた。

 順応力スキルでなんとかならないかと期待したが、案外ならなかったようで。

 やっぱり彼女の気持ちが気になって仕方がない。 


 が、なんとか27階の攻略は出来た。

 28階の階段の場所も見つかったが、下りずにそのまま引き返して地図を埋め、今戻ってきたところだ。


『んにゃ〜ん』


 俺たちの帰宅を待ってくれているのはミケだ。

 やはりミケはただの猫のまま、成長速度も早くならなければ言葉も話せない。

 ただミケの言葉は虎鉄が翻訳してくれるので、それを考えると喋っているも同然かもしれないな。


 虎鉄は生後一か月近くになるが、地上で換算すると300日。ダンジョンであと六日も過ごせば一歳か。

 ――にしてもだ。


「お前。もうかーちゃんよか大きいだろ。なんでまだ甘えてんだ」


 ゴロゴロと喉を鳴らしてミケの前にごろんと転がる虎鉄。ミケは甘えん坊な息子の毛づくろいをしてやっていた。

 それにしてもすくすく成長してるよなぁ……。


「浅蔵さん。27階攻略完了の報告、上にしとく?」

「あ、うん……まぁ一階分ならすぐ終わるかな」

「じゃあ私、上に報告してそのままお風呂いくけん」

「あ、ごめん。ありがとう」


 ニコっと微笑むセリスさん。いつもの事ながら眩しい。

 彼女が玄関から出ていくのを最後までガッツリ見送ってから、もう一度虎鉄に視線を戻す。


 猫って、親より大きくなるのが当たり前なんだろうか?

 いや、その法則だと今頃世界は猫の肉球によって滅んでるだろ。

 

 虎鉄は雄だ。だから少し大きくなるのかも?

 そんな事を思いながら、ミケの1.5倍ほどに成長した虎鉄を見つめた。


 ……もしかしてケットシーだからか?


 暫くして地上から協会職員の男の人が来て、図鑑情報を書き写す。

 書きながら「何か必要な物あります? 新しい装備とか、あ、新しいゲームとかは?」と尋ねてくる。


『にゃっ。あっしは? あっしは?』


 職員の足元にしがみつき、キラキラした目を向ける虎鉄。その目に感染したのか、職員の鼻の下がでれーっと伸びた。


「何か欲しいものある? 猫じゃらし? それとも爪とぎ?」

『服!』

「そうかそうか。服か――え? 服?」

『んにゃー』


 おいおい、服が欲しいって虎鉄……。毛があるんだからいいじゃないか。

 キラッキラの目で虎鉄はセリスさんの部屋へと向かう。また無断侵入か。くっ。羨ましいっ。

 絵本を持って戻ってきた虎鉄は、職員にそれを見せた。


 あぁ。アレか。


 長靴を履いた、あれの絵本だ。

 西洋の騎士というか、銃士隊っていうのかな。そんな格好をしている猫が、レイピアを手にして船の甲板に立っている絵が描かれている。


 でもな虎鉄。

 お前、今だって時々四本足で走ってるだろ?

 ズボンとか穿いたら絶対、関節を動かしにくくなるぞ。

 職員の人も少し困ったような顔をして虎鉄を見ていた。


 だが翌日――。


「採寸取りにきましたー」


 という女性職員がやって来た。






「では猫ちゃんの服はこんな感じでー」


 スケッチブックにさらさらと描かれた絵はベストだ。

 ズボンはやっぱり動きやすさを考えたら、穿かない方がいいだろうってことに。長靴も同じ意味で履かせないことにした。


「虎鉄、よかったわね」

『にゃー』


 ベストだけでも虎鉄は満足なようだ。

 俺たち人間が毎日着替えるように、虎鉄もそれを真似したい――というのが、服を欲しがった理由だった。

 ベストは素材や柄、ちょっとした小物を変えた物を五着作って貰うことになった。予算は五万円以内でお願いします……。


「それじゃあ時籐さんの装備はこんなのでどうですか? 武器は薙刀だって事ですしー、ちょっと和風で攻めてみました」


 この女の人、絵上手いな。

 着物にしては袖は短く、帯もあまりごつくない。動きやすさを重視した下半身はミニスカートタイプ。GJ!!

 胸元は弓道で使う胸当てのような防具。ミニスカの下はスパッツか。いいねいいね。眩しいね。


「な、なんだか可愛すぎて……は、恥ずかしいばい」

「え? いや、可愛いのいいよ。きっと似合う。それに動きやすそうじゃないか」


 絶対これを着て欲しい。


「そ、そうなん? じ、じゃあ……うん。これでお願いします」

「はーい。任せてねー。じゃあ浅蔵さんは、ダンジョン産の革ベストでいいですねー。結構頑丈ですからー」


 なんか俺だけ……スケッチ無しなんですけど?


「完成は明後日になりますー」

「え? そんなに早く作れるんですか?」

「はい。スキルですからー」


 そう言って彼女は地上へと戻って行った。


「スキルって、いろいろあるんやね」

「うん。ゲームで言う生産系も充実しているよ」


 布製品を作るスピードが異様に早い『裁縫』。

 思い通りに鉱物の形を変えられる『鍛冶』。

 大戸島さんの料理も、生産スキルという枠組みに入っている。

 もちろん仕分けしているのが俺たち人間で、便宜上、分かりやすくしているだけだ。


「明日と明後日は休むか。装備が出来てから28階の攻略をするのでもいいだろう?」

「え……うぅん。28階の様子だけでも見ませんか? ちょっと気になることあるけん」

「気になる?」


 セリスさんは頷いて、小さく笑った。


『にゃっにゃっ。あっしの服。あっしの服にゃ』


 虎鉄は職員の人に描いてもらったベストの絵をそのまま貰い、それを抱えて踊っていた。

 もう、お前ら……可愛い過ぎ。

 俺を殺す気ですか?

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