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ダンジョン暮らし!スキル【ダンジョン図鑑】で楽々攻略?  作者: 夢・風魔
第3章:拡張ステージへ。

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77/207

77-クエスト1

 小梅と小桃がダンジョンを卒業して5日目。昨日と一昨日は久々に武くんにスパルタ教育を施した。そして俺が疲れた。

 あの野郎。ほんっと無限体力なんだもんなぁ。

 まぁ頑張った甲斐があって、武くんのレベルは大戸島さんの17に並んだ。並んだけど、彼は追い抜いて余裕を持って大戸島さんを守れるようになりたいという。

 まぁそうだろうね。男としてはそう思うよね。


 出来ればレベル25ぐらいには上げたいと言うので、今日は21階からスタートしようと思う。あそこならスーパーもあるし、休憩もしやすい。あとついでだからと、スーパーに予備の食料を届けてくれと協会からも頼まれている。


「食料を届けるだけなのに、5000円も依頼料貰えるなんて……」

「はは。まぁそんなもんだよ。アイテムポケットと階層転移の両方を持ってる冒険家は多くない。スキルならいいけど、アイテムだと消耗品だからね。食料を運ぶためにわざわざ目的地ではない階層には行きたくないもんさ」

「アイテムで階層をワープも出来るん?」

「出来るよ。まぁ下層のボスが落とすアイテムだからね。出回ってないし、売りに出されても百万はするよ」


 俺の話を聞きながら、セリスさんは眉尻を下げて引きつった笑みを浮かべる。

 気持ちはわかる。百万なんて誰が買うんだよと思うけど……それでも買う奴はいるんだよなぁ。

 などと思っていると、


「おっはよーごっざいまーっす!」


 元気過ぎるいつもの声が玄関から聞こえた。


「おはよう武くん。最近来るの早いよね? 送迎バスの時間、変わったのかい?」

「いえ。バイク買ったんっすよ」

「……免許は?」


 もちろん持っていると、武くんが財布から取り出して見せる。小型二輪の免許だ。原付じゃないのか。

 まぁダンジョンの上の地上は荒野だから、原付じゃあ走れないか。


「朝飯食べてくるっすね」

「また食べずに来たのか……」

「通い妻ならぬ通い夫ですよね」


 照れ笑いする武くんを見送った後、俺とセリスさんも食堂を手伝うべく出て行った。それに虎鉄もついてくる。

 ダンジョンでテイムしたモンスター……ということで周囲には説明しているが、既に虎鉄は食堂のアイドルだ。歌だって歌える。


 朝の8時。この時間のダンジョン食堂は客が多い。

 プレハブ小屋の中は6人掛けのテーブル椅子が8セットあるが、それでは足りない。外にあるテントは長テーブルに、ベンチタイプの椅子がついたやつで、40人ぐらいが座れる。

 プレハブ内もテントも満員だ。


 俺は料理は出来ないので、出来上がった物を運ぶ手伝いに入る。同じくセリスさんもだ。どうやら料理は得意ではないようで、混雑時には大戸島さんにお断りされているのだ。


『おにゃくさーん。こっち空いてるにゃー』

「ね、猫の従業員!? しかも喋ってる!?」

『あっしは珍しいけっとしーにゃーん。けっとしーは賢いにゃから、喋れるにゃよ』


 虎鉄はテーブルを拭いたり、椅子を綺麗に並べたりして、空いた所にお客を誘導する係りだ。

 まだ料理や水を運ぶことは出来ない。体が小さいし、何より肉球だ。ペンとか細いものはいいんだが、大きな物は掴めない。

 それでも虎鉄がいると、料理が遅いだなんだと声を上げる客が極端に減る。まぁ可愛いからな、当たり前だ。


 武くんが食事を終え、お腹を休める意味で暫く店を手伝っていると、やがて客足も落ち着いてきた。

 食器の後片付けをしていると、虎鉄がてててとやって来て俺の服をひっぱる。


『あさくにゃ。あれはなにか?』

「あれ?」


 虎鉄が指さす方を見る。そこには三角帽子を被った、ハロウィンに出てくる魔女のような格好をした女の人と、数人の男たち。

 男は女性にお金を渡しているようだ。受け取った女性はにっこり笑って、男たちを食堂の裏手へと誘って消えていく。


『にゃっきから、あの雌の人はにゃんども雄の人をあっちに連れて行っているにゃ』

「あぁ。それが仕事なんだよ。あぁやってあの女性はお金を稼いでいるんだ。別に悪いことなんてしてないから」

「そ、そうなん?」

「あれ? セリスさんも気になってたのかい? って、なんで顔が赤いの?」


 布巾を片手に、女性と男たちが消えていった方角を見つめるセリスさんは、何故か顔が赤い。

 あ、まさか……。


「いかがわしいお店の客引きみたいなものだとか、思ってる?」

「はぅっ。お、思ってませんよ」


 顔真っ赤だよセリスさん……。

 まぁ知らない人が見ればそう思うのも仕方ないか。

 基本、冒険家は男の方が人口が多い。だから必然的に客として集まってくるのも男の割合が高くなる。

 人気の無い場所に移動するのは、周りの冒険家を驚かせたり、タダ乗り(・・・・)を避けるためだ。


「あれはね、『階層転移』のスキルを使って、お客の目的階層まで送り届けている人なんだよ」

「階層……」

「転送屋って言われててね、普通はダンジョン入り口に居るもんだけど、ここは1階が安全地帯になっているから」


 食堂に居るのは、これから下に降りようとしている冒険家が多い。だから食堂の近くで客待ちしているんだろう。

 虎鉄が言った「にゃっきから=さっきから」っていうのは、送っては戻って来て次の客を探しているからだ。


「ほら、戻って来た」


 魔女コスプレの女性が戻って来たのは、地上へと続く階段がある方角から。

 階層転移のスキルは、出発地点はダンジョン内ならどこでもいい。ただ転移先は階層の入り口か出口側の階段横と決まっている。

 女性は食堂の様子を見て溜息をつく。こっちの客足も止まったし、転送屋も暇になることだろう。


 そんな話をセリスさんと虎鉄にしていると、件の転送屋がこっちにやってきた。食事だろうか?


「あの――」


 俺……だろうか?

 女性は俺たちの前で立ち止まり、そして俺を見て声を掛けてきた。


「その猫、ケットシーですよね?」

「え、ええ。そうですが」


 何か感づかれてる?


「どこでテイミングできますか!?」


 あぁ……魔女ルックだし、猫のパートナーが欲しいのか。


「ごめん。こいつはここのダンジョンに1匹しかいない希少種で、俺がテイムしちゃったもんだから……」

「あう……そうですかぁ……まぁいいです。黒猫じゃないですし」


 魔女の使い魔の猫といったら黒猫、か。こだわってるなぁ。

 そんな魔女さんが再び振り向いた。


「あのっ。ケットシーをテイムしたってことは、結構下層まで行かれてるんですか?」


 その質問に答えたのは武くんで、ドヤ顔で「19階まで行ってるっすよ」と話す。

 うん、まぁ君はね。19階だね。俺とセリスさんは25階だけど。まぁ行ったというか、落ちた?

 武くんのセリフを聞いて魔女さんは目を輝かせ、お祈りポーズで迫ってくる。

 俺に迫る前にセリスさんが間に入ってくれたので、なんとか襲われずに済んだ。


「わ、私を19階に連れて行ってくれませんか! 13階までは転送できますっ。もう少し深いところまで転送出来るようになりたいんです! もちろん護衛料は支払いますからっ」

「え? あ、ああ。あなたは13階までしか下りてないんですね」

「はい。私、『階層転移』以外のスキルが無いので、攻略パーティーにお金を払って同行させて貰ったのですが」

「そのパーティーが13階で引き返した、と」


 こくりと頷く魔女さん。護衛も兼ねたパーティーのレベルが高くなかったようだ。


「俺はいいけど、武くんはどう? 13階から進まないといけないから、君のレベル上げが遅くなってしまうけど」

「んー……まぁいいっすよ。自転車で抜けられるところは自転車使えば早いっすし」

「セリスさんは?」

「相場くんがいいなら、私はついて行くだけやけん」


 13階が森林タイプの階層で、14階からは自転車での移動も可能だ。

 4人分の自転車もギリギリ入るだろう。食料は俺のポケットに入れればいいし、寝る時はここに戻ってくればいい。


「じ、自転車って?」


 驚く彼女に俺は、


「自転車ですよ」

 そう言って笑顔を見せた。

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