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ダンジョン暮らし!スキル【ダンジョン図鑑】で楽々攻略?  作者: 夢・風魔
第2章:地上へと続くダンジョン暮らし。

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69/207

69-証。

本日2度目の更新となっております。お昼12時更新の分をまだご覧になっていない方は

前のお話からお読みください。


 図鑑で地図を確認――する振りをして、更にテレポートスキルを使う――振りをして1階の階段前へと飛んだ。

 しかも微妙に端っこを狙ってだ。

 よし。見てる人は誰もいないっと。


「じゃあ、これからはあまり無理をしないように」

「……はい」

「レベル4なら、ちょっと無理したところで8階か9階までだな。スキルが欲しいなら5階で粘るしかない」


 誰かが倒したという情報を耳にしたら、その翌日はレベル上げに専念。更に翌日からボス探しをすればいい。

 もちろん『倒した』と公言しないパーティーも多いが、それは仕方がない。ルール違反でもないし、出会えるかどうかは運次第なのだから。


「とにかく無茶はダメだ。家族を探したいといって君たちがここで死んだら……君たちの家族はどんな顔するだろう。月並みなセリフだけどさ、それをよく考えてみて」


 喜ぶはずがない。その事を理解して欲しい。

 そうすればきっと……無茶なんて出来なくなるだろう。


「君たちが生きていることが、ご家族の生きた証になるのだからね」


 もう……生存者はいないと思う。

 九州でも指折りのパーティーが何度も攻略の為に潜っては戻ってきているが、どのパーティーも生存者を発見出来ていない。

 内々にされてはいるけど、遺体や遺品だけはいくつか見つかってはいると聞くけど。それが誰の遺品なのか、確かめようもなく公表もされてない。


 3人は項垂れゆっくりと階段を上っていく。最後まで見送ろうと、俺たちもそれについて行った。

 そしてゲートのある場所で俺とセリスさんは立ち止まる。

 俺たちはここから出られない。25階から生還したが、本当の意味での生還はまだなのかもしれない。

 地上は見れるが、その地を踏むことは許されないのだ。


「俺たちはここまでだから」

「あ……はい……本当に出られないのですか?」

「うん」


 佐々木芽衣さん――二人を守ろうと必死にボスと向き合っていた彼女の質問に、俺は手を伸ばし、それを見せた。


「浅蔵さんっ」


 バチチッと火花が飛び、俺の手が見えない壁に弾かれる。

 それを見てセリスさんが心配そうに駆け寄った。


「大丈夫。静電気程度だしね」

「あ、浅蔵さんっ……申し訳ありません、変な質問してっ。ごめんなさい……ごめんなさい。ありがとう」


 謝りながら、そしてお礼を言いながら彼女は走って出て行った。残りの二人もペコリと頭を下げ出ていく。


「武くん、ごめん」

「あー、いいっすよ。じゃあ瑠璃に言っておいてください」

「うん。ほんと、ごめん。ありがとうな」


 俺は佐々木さん同様に謝っては礼を言って武くんを送り出す。

 3人が心配だから、付き添ってやって欲しかったのだ。その言葉を聞かなくても、武くんは理解してくれたようだ。


「武くんは大雑把なようで、気は利くんだよなぁ」

「もう浅蔵さん! ちゃんと手、見せてくださいっ」

「あ、うん-―イテテテ。も、もっと優しく握ってくれ」

「知りません!」


 今日はちょっと早いけど、あとはのんびりするかなぁ。


「あ、スキル効果調べておこう」

「え? あのゴブリンからスキル貰えたんですか!?」

「あ……う、ん。ごめん、俺だけ貰えたみたいで」

「悔しい」


 唇を尖らせ頬をぷくぅーっと膨らませてると、セリスさんも意外と子供っぽく見える。

 顔を緩むのを感じながらステータス板を見ると……あぁ、うん。ここで確認するのは止めよう。


「行列の出来る人気ステータス板……」

「30分ぐらい掛かりそうですね」

「うん……」






「やっぱり忍者だ……」

「……やだ……鞭の浪漫語りだす浅蔵さんが増えるんですか?」

「え? なにそれ楽しそう。鞭の浪漫分かってくれない人多くてさぁ。これなら俺ひとりで語り合えるってことか」



∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽


     【分身】

 スキルレベルと同数の分身を作ることができる。

 分身は個々で考え活動することができ、スキル使用時の

 術者の思考に大きく影響する。

 分身は瀕死レベルのダメージを受けることで消滅。

 または60分で自動消滅する。


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽



 レベルと同数ってことは、レベルが上がれば人数を増やせるのか。

 そのうち俺だけ野球チームとか出来そうだな。いや、やらないけどさ。


 ステータス板を見るためだけに23階にやってきた。この辺りだと活動している冒険家も少ないから。


「そうだ。少し寄りたい所あるんだけど、いいかな?」

「いいですけど、ホームセンターですか?」

「いや……21階のプールなんだけど。階段で待っててくれないかな? セリスさんに見せるのは……ちょっと……」


 あのプールの脇にあったスライムの山。あそこには遺体がある。

 体は……溶かされてしまっているだろうけど、何か他の物が残っているかもしれない。

 どこの誰か分からないだろうけど、何か……何かを持ち帰ってやりたい。


 佐々木さんたちのように家族を探してダンジョンに来てる人は、他にもきっと居るんだろうな。

 何かひとつでも、持ち帰れるものがあれば……。


「私も行きます。私も……ここで生き残った人間だから」

「でも……。その、辛いよ?」

「いいと。浅蔵さんだって、辛いやろ?」


 そういうセリスさんを連れ、21階にあるプールへと飛んだ。

 相変わらずプールの中にはスライムがぷかぷかしてるな。で、プール脇にあったスライムが集った場所――にスライムは居ない。


 さて、プールのスライムをどうにかして近づけさせないようにしないとな。

 お、そうだ!


「さっそく使ってみるかな。"分身"」


 自分の意思で発現させるスキルは、こうして声に出すことで発動する。慣れてくると意識するだけでいいが、初めて使うので声に出した。

 特になんの効果音があった訳じゃないが、白い煙は出てきた。その煙が晴れると、隣に俺が居た。

 うん。なんていうか……物凄く妙な感じがする。


「ほ、本当に浅蔵さんが二人!? はわっ、はわわっ」


 ん? セリスさんはどうしたんだろう。真っ赤な顔して。


 それにしても、鏡を見ているような気分だ。だけど相手は俺と同じ動きをしていない。


『うわぁー、これ変な感じだなぁ。鏡を見ているようで、鏡じゃないし』


 どうやら考えていることは同じようだ。


「じゃあスライムを――」

『ok。ピーマンボムを分けてくれないか? あと……着ぐるみ……』


 何故か死んだ魚のような目で分身の俺が手を伸ばしてきた。

 あれを着るのか。そうか。向こう側に渡るんだな。


「ちょ、ちょっと……二人して死んだ魚みたいな目せんといてよ」

「『だってさぁ』」


 ボムと着ぐるみを渡すと、分身は後ろの道まで行って着替えてきた。

 うん……自分が着ぐるみ着ている姿とか、見たくなかったな。しかもペッタンペッタン音を立てながら歩いては、ばっしゃばっしゃ水の上を歩いて行くし。なんだよその恰好。鼻で笑うだろ。


「い、今のうちに行こう。でも本当にいいのかい? もしかすると白骨化した遺体とか、あるかもしれないんだよ?」

「ス、スケルトンだって白骨ですから」

「まぁ……そうだけど……あ、言っておくけど、あれは遺体じゃないからね。モンスターだから」

「そ、そうですよね。モンスターですよね。ははは」


 自分で言っておいて怖くなったようだ。

 

「手、握っておくかい?」


 少しでも落ち着くなら――気を紛らわせられるなら――そう思って手を差し伸べた。

 セリスさんは一瞬だけ躊躇したようだが、直ぐに俺の手を取り一歩を踏み出した。

 俺は彼女の前を歩く。

 スライムが集っていた、今は居ないあの場所へ。


 そこで――キラりと光る物を見つけた。

 男性物の、そこそこ高そうな腕時計を。

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